一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?

たまご

文字の大きさ
上 下
144 / 212
第6章 消えた村。

急襲。

しおりを挟む
「りゅうたろう、ドラゴンちゃんと上空で待機」

 ドラゴンちゃんの背中に、ひらりとりゅうたろうが飛び乗った。
 これで盗賊の気はそらせるだろう。

「せり、〈隠密〉」

 せりを抱きかかえる。
 せりと一緒に、私の姿も見えなくなったはずだ。

「キング、〈空間転移〉」

 村の中に移動すると、突然現れたドラゴンに大騒ぎになっていた。

「おかしら、どうします!?」
「ド、ドラゴンなんて、どうすりゃ……」

 上空ではドラゴンちゃんが旋回している。
 下からは、背中に乗っているりゅうたろうの姿は見えない。

「騒ぐんじゃねぇ!」

 座ったまま怒鳴り付けているあの男が、こいつらのリーダーか。

「村の連中を喰わせりゃいいだろ。腹一杯になりゃ帰るさ」

 そう言って、品のない笑い声をあげた。

 ……クズだな。

「頼む! 村のみんなには、手を出さないでくれ!」

 縛られていた男の人達が叫んだ。
 顔が腫れ上がり、身体中アザだらけだ。
 足が変な方向に曲がっている人もいた。

 チャビがちらちらと私の顔を見た。
 うん、分かってる。
 私はチャビの頭を撫でた。
 もう少しだけ、待っていて。

「もちろん、一番最初に喰わせるのはお前らだ」

「……」

「逆らったら、あいつらのいる建物に火をつけるからな」

 人質がいるのか。

 男の人達は、悔しそうに盗賊どもを睨み付けた。

「なんだ、その目は!」

 蹴られた男の人が吹っ飛んだ。

 !
 
 いや、まずは人質を解放してからだ。

「よつば、村の中にいるやつらを〈魅了〉」

 村人は閉じ込められているようだから、今いるのは全て盗賊の一味だろう。

 よつばは、もふもふのしっぽをぴんと立てて歩きだした。

「あん、なんだ、ありゃ?」
「猫じゃねぇか、ほっとけ」

 こういう時、猫はいいな。
 怪しまれずにすむ。

 しばらくして、よつばが戻ってきた。

「にあん!」

 よし、終わったか。

「行くよ!」

 突如、姿を現した私達に盗賊どもはぎょっとした様子だった。

「な、なんだ!?」
「てめえ、どっから来やがった!?」

 答える義理はないな。

「チャビ、〈雷魔法〉!」

「にゃお!」

 轟音と共に、雷が落ちた。

「おこん、行け!」

 おこんが盗賊どもを引っ掻いて回る。
 チャビの〈雷魔法〉とおこんの〈引っ掻き〉を組み合わせると、麻痺の確率がほぼ百パーセントになるのだ。

「こいつ、《猫を連れた冒険者》か!」
「逃げろ!!」

 おこんが引っ掻きそこねた連中が慌てて逃げ出した。

 橋もないのに、どこに逃げる気だ。
 まぁ、逃がす気もないけどな。

「キング、〈影魔法〉で拘束!」

「にゃう!」

 キングが鳴くと、盗賊どもの影が地面に張り付いたように動かなくなった。
 それと同時に、本体も一歩もそこから動けなくなった。

 あとは。

「くぅ、やっておしまい」

「あぉぉぉ!」

「あれは、まさか、《黒の魔王》!?」
「ひぃぃ!」

 盗賊どもに、容赦なく火をまとった岩が降り注ぐ。

「ぎゃあああ!」
「助けてくれー!!」

 ふむ、駆除完了だな。













しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

失われた力を身に宿す元聖女は、それでも気楽に過ごしたい~いえ、Sランク冒険者とかは結構です!~

紅月シン
ファンタジー
 聖女として異世界に召喚された狭霧聖菜は、聖女としての勤めを果たし終え、満ち足りた中でその生涯を終えようとしていた。  いや嘘だ。  本当は不満でいっぱいだった。  食事と入浴と睡眠を除いた全ての時間で人を癒し続けなくちゃならないとかどんなブラックだと思っていた。  だがそんな不満を漏らすことなく死に至り、そのことを神が不憫にでも思ったのか、聖菜は辺境伯家の末娘セーナとして二度目の人生を送ることになった。  しかし次こそは気楽に生きたいと願ったはずなのに、ある日セーナは前世の記憶と共にその身には聖女としての癒しの力が流れていることを知ってしまう。  そしてその時点で、セーナの人生は決定付けられた。  二度とあんな目はご免だと、気楽に生きるため、家を出て冒険者になることを決意したのだ。  だが彼女は知らなかった。  三百年の時が過ぎた現代では、既に癒しの力というものは失われてしまっていたということを。  知らぬままに力をばら撒く少女は、その願いとは裏腹に、様々な騒動を引き起こし、解決していくことになるのであった。 ※完結しました。 ※小説家になろう様にも投稿しています

うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました

akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」 帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。 謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。 しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。 勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!? 転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。 ※9月16日  タイトル変更致しました。 前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。 仲間を強くして無双していく話です。 『小説家になろう』様でも公開しています。

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明

まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。 そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。 その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

公爵家三男に転生しましたが・・・

キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが… 色々と本当に色々とありまして・・・ 転生しました。 前世は女性でしたが異世界では男! 記憶持ち葛藤をご覧下さい。 作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。

悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。

向原 行人
ファンタジー
死にかけた拍子に前世の記憶が蘇り……どハマりしていた恋愛ゲーム『ときめきメイト』の世界に居ると気付く。 それだけならまだしも、私の名前がルーシーって、思いっきり悪役令嬢じゃない! しかもルーシーは魔法学園卒業後に、誰とも結ばれる事なく、辺境に飛ばされて孤独な上に苦労する事が分かっている。 ……あ、だったら、辺境に飛ばされた後、苦労せずに生きていけるスキルを学園に居る内に習得しておけば良いじゃない。 魔法学園で起こる恋愛イベントを全て無視して、生きていく為のスキルを習得して……と思ったら、いきなりゲームに無かった魔法が使えるようになってしまった。 木から木へと瞬間移動出来るようになったので、学園に通いながら、辺境に飛ばされた後のスローライフの練習をしていたんだけど……自由なスローライフが楽し過ぎるっ! ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~

於田縫紀
ファンタジー
 ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。  しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。  そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。  対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。

処理中です...