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第5章 神の息吹。
海戦。
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「せり、〈召喚魔法〉。クラーケン!」
「にゃあ!」
せりが鳴くと、しゅわわわと煙を立てて巨大なクラーケンが姿を現した。
へぇ、召喚魔法って、こんな感じなんだ……。
「クラーケンに海賊船を捕まえさせて!」
「にゃあ!」
クラーケンが海賊船に向かって素早く移動した。
十四本の足を船にからめて、動きを止める。
慌てたのか、クラーケンをからめたまま船は大砲を撃った。
クラーケンの足が吹き飛ぶ。
「!」
千切れた足が、うねうねと動いたまま海に落ちた。
「チャビ、クラーケンを〈回復〉!」
チャビがごろごろと喉を鳴らすと、千切れた所からまた足が生えてきた。
「にゃああああ!」
せりが、大きな声で鳴いた。
その声を聞き、クラーケンは海賊船を締め付けた。
めきめきと音を立てて海賊船はばらばらになった。
さっきのせりの鳴き声は「やっちまえ!」だったんだろうな……。
海賊どもが海に飛び込むのが見えた。
どこに隠れていたのか、小舟に乗った連中の姿も見える。
海の中でクラーケンにかなうはすがない。
上陸してくる気なのだろう。
ふふふふ。
飛んで火に入るなんとやら。
思う存分、八つ当たりさせてもらいましょうかね。
「りゅうたろう、大きくなって!」
肩からひらりと飛び降りたりゅうたろうが、虎ほどの大きさに姿を変えた。
「福助、全力で〈風魔法〉!」
「にゃ!」
福助が張り切って鳴いた。
「くぅ、好きなだけやっちゃって!」
「あぉぉぉぉ!」
魔王モードでこそないが、眠っていたところに騒ぎを起こされたので、くぅは機嫌が悪い。
ほかの猫達が近寄らないほどだ。
小舟が近付いてくる。
「福助!」
「にゃ!」
ごうごうと音を立て、強い風が吹いた。
陸からの風で波が沖に向かって逆流し、小舟が宙に巻き上がる。
舟に乗っていた海賊どもが、ぼちゃんぼちゃんと海に落ちていくのが見えた。
海の中では、クラーケンが待ち構えている。
十四本の足を使い、海に落ちた海賊どもを拘束する。
「あおぉぉ!」
泳いで上陸しようとする海賊どもの頭上から、巨大な岩が降り注ぐ。
くぅは、よほど機嫌が悪いようだ……。
その間を死に物狂いですり抜けて上陸した海賊どもに、りゅうたろうが飛びかかる。
「ぎゃあああ!」
「た、助けてくれぇぇ!」
あちらこちらで、海賊どもの悲鳴がきこえきた。
倒れている海賊どもを、おこんが容赦なく引っ掻いて回っている。
阿鼻叫喚って、こういう事を言うんだな……。
そんな中、よつばだけは千切れたクラーケンの足に興味津々のようだった。
よつば、それはダメだ、それは!!
「にゃあ!」
せりが鳴くと、しゅわわわと煙を立てて巨大なクラーケンが姿を現した。
へぇ、召喚魔法って、こんな感じなんだ……。
「クラーケンに海賊船を捕まえさせて!」
「にゃあ!」
クラーケンが海賊船に向かって素早く移動した。
十四本の足を船にからめて、動きを止める。
慌てたのか、クラーケンをからめたまま船は大砲を撃った。
クラーケンの足が吹き飛ぶ。
「!」
千切れた足が、うねうねと動いたまま海に落ちた。
「チャビ、クラーケンを〈回復〉!」
チャビがごろごろと喉を鳴らすと、千切れた所からまた足が生えてきた。
「にゃああああ!」
せりが、大きな声で鳴いた。
その声を聞き、クラーケンは海賊船を締め付けた。
めきめきと音を立てて海賊船はばらばらになった。
さっきのせりの鳴き声は「やっちまえ!」だったんだろうな……。
海賊どもが海に飛び込むのが見えた。
どこに隠れていたのか、小舟に乗った連中の姿も見える。
海の中でクラーケンにかなうはすがない。
上陸してくる気なのだろう。
ふふふふ。
飛んで火に入るなんとやら。
思う存分、八つ当たりさせてもらいましょうかね。
「りゅうたろう、大きくなって!」
肩からひらりと飛び降りたりゅうたろうが、虎ほどの大きさに姿を変えた。
「福助、全力で〈風魔法〉!」
「にゃ!」
福助が張り切って鳴いた。
「くぅ、好きなだけやっちゃって!」
「あぉぉぉぉ!」
魔王モードでこそないが、眠っていたところに騒ぎを起こされたので、くぅは機嫌が悪い。
ほかの猫達が近寄らないほどだ。
小舟が近付いてくる。
「福助!」
「にゃ!」
ごうごうと音を立て、強い風が吹いた。
陸からの風で波が沖に向かって逆流し、小舟が宙に巻き上がる。
舟に乗っていた海賊どもが、ぼちゃんぼちゃんと海に落ちていくのが見えた。
海の中では、クラーケンが待ち構えている。
十四本の足を使い、海に落ちた海賊どもを拘束する。
「あおぉぉ!」
泳いで上陸しようとする海賊どもの頭上から、巨大な岩が降り注ぐ。
くぅは、よほど機嫌が悪いようだ……。
その間を死に物狂いですり抜けて上陸した海賊どもに、りゅうたろうが飛びかかる。
「ぎゃあああ!」
「た、助けてくれぇぇ!」
あちらこちらで、海賊どもの悲鳴がきこえきた。
倒れている海賊どもを、おこんが容赦なく引っ掻いて回っている。
阿鼻叫喚って、こういう事を言うんだな……。
そんな中、よつばだけは千切れたクラーケンの足に興味津々のようだった。
よつば、それはダメだ、それは!!
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