一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?

たまご

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第4章 地下迷宮。

炎の竜の寝床。

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「あたしが、ドジ踏んじまってさ」

 蜜飴をなめながら、サナが言った。

 チャビのスキルで二人とも回復はしているが、少し休んでから移動する事にした。

「ゴーレムに追われて、ここに逃げたら岩で塞がれちまったんだ」

「ゴーレム?」

「魔導人形だ。……戦わなかったのか?」

 チャビを撫でながら、ナルシが首を傾げた。

「ここに来るまで、魔物も何もいなかったよ」

 私の返事を聞くと、サナ達は顔を見合わせた。

「変だな」
「ここは、ダンジョンの中でも難度の高い方なんだよ」

 やっぱり、普通は魔物が出てくるのか。
 少なくとも、サナ達が入った時には魔物がいたのだ。

 ……魔物が消えた理由は何だ?

「つかさは、炎水晶を採ったかい?」

「いや、見かけなかったから採ってないよ」

 最短ルートで来たから、採掘場所を通らなかったしな。

「こっちの奥にあるんだけど、見るだけでも行ってみなよ。スゴいから」

 そう言って、サナはにんまりと笑った。

 うーん、なら、見るだけ見てみようかな。

 すっかり元気になったサナ達に案内されて、私達は奥に進んだ。

 ん?
 気のせいか、暑くなってきたような……?

「炎の竜の寝床だからな」

「何、それ?」

「見れば分かるよ」

 狭い通路を抜けると、広い空間に出た。

「うわ、すご……」

 壁は一面きらきらと赤く光る結晶で埋め尽くされ、天井からは鍾乳石のように垂れ下がっている。
 赤く光るつららの先から、ぽたり、ぽたり、と滴が垂れ、その下にはひときわ明るく光る赤い塊があった。

「これが、炎水晶?」

「ああ。この大きさになるまで、数百年はかかるらしいよ」

 恐る恐る触ってみると、ほんのり温かいくらいで別に熱くはない。

「……加工する過程で熱くなる」

 ぼそりとナルシが言った。
 そうか、鍛冶職人のナロクの養い子だからそういう事にも詳しいのか。

「ここが、炎の竜の寝床さ」

「へぇ」

 そう言えば、さっき見たタイルに竜が描いてあったな。

 不意に、せりが全身の毛を逆立てた。 
 瞳孔が見開き、耳を伏せている。

〈気配察知〉だ!

 せりは、奥に向かって走り出した。

「せり!」

 急いで、せりを追う。

 まさか、炎の竜が目覚めた?

「いや、炎の竜というのは例えで、本当にはいない」

 ナルシはそう言ったが、なら、さっきのタイルの絵は何だ?

 行き止まりの先で、せりはうろうろしていた。

「にゃあああ!」

 壁に向かって、せりが鳴いた。

 この向こうに何かあるのか?
 触ってみると、壁の岩が熱を持っている。
 炎水晶より熱いくらいだ。

 ナルシも、私と同じように壁に触れた。

 しばらく、あちらこちらを触っていたナルシが小さく頷いた。

「隠し扉だ」

 やはり、向こうに何かあるのか。

「よつば、〈解除〉!」











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