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第4章 地下迷宮。

依頼内容。

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「炎水晶が見つかったのが、始まりじゃ」

「炎水晶?」

 聞き慣れない言葉に、私は首を傾げた。

「そうじゃな。うーん……」

 ナロクは握り拳を作った。

「炎鉱石がこれくらいだとすると」

 次に、両手を大きく広げた。

「炎水晶は、これくらいの力がある」

 分かったような、分からんような……。

「つまり、スゴいんじゃ」

「……なるほど」

「サナ達は依頼を受けて、その炎水晶を採掘しに行ったんじゃが……」

「戻ってこない、と?」

 ナロクはこっくりと頷いた。

「予定を一週間も過ぎておる」

 ……それはマズいな。

 二、三日遅れるのは、まぁ、よくある事だ。
 冒険者達もそれを想定して装備を整えている。

 しかし、一週間となると……。

「あの子らに、冒険者の心得を叩き込んだのはワシじゃ」

 ナロクは、きっと顔を上げた。

「絶対に、無理はせん」

 確かに、一緒にキャラバンの護衛をしていた時も用心深く行動していた。

「もしかして、どっちかが怪我をして動けない、とか」

「……そうかもしれん」

 優しい子達じゃからな、とナロクは呟いた。

 本来なら、怪我人を置いて一度戻ってくるべきなのだが。
 サナ達にそれが出来るとは思えない。

 まぁ、でも、見つけさえすれば、チャビの〈回復〉があるから大丈夫だろう。
 知り合いだから、せりの〈気配察知〉も使える。

 ナロクが私に依頼したのは正しかった。
 おそらく、私達以上の捜索者はいないだろうから。

「場所は、どこですか?」

「ここから少し行ったところにある、地下迷宮と言われている場所じゃ」

「地下迷宮……」

 猫達はいいが、私には明かりが必要だ。
 まずは、装備を整えないと。

「水と食料、明かりと……」

「明かりなら、これを持って行ってくれ」

 そう言って、ナロクは手のひらに乗るほどの透明な玉をよこした。
 玉の中では、赤々と炎が燃えている。

「炎鉱石で作った明かりじゃ。それ一つで十日はもつ」

「じゃあ、これをあるだけ買います」

「金などいらんわい!」

 そう言って、ナロクは袋いっぱいに入った明かりの玉を私に押し付けてきた。

「いや、でも」

 炎鉱石で作った魔道具は、結構値が張るのだ。

「サナ達に比べりゃ、安いもんじゃろ」

「……分かりました」

「もう少しワシが若かったら、自分で行ったんじゃが……」

 ナロクは、深々と頭を下げた。

「頼む! ワシの子供達を助けてやってくれ」






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