一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?

たまご

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第3章 黒のキャラバン。

帰還。

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「ああ、ああ、よくぞ、ご無事で……」

 御神体を見たお稲荷さんはそう言ったきり、うずくまってしまった。
 その肩が小刻みに震え、小さな嗚咽が聞こえてくる。

「……」

 いや、うん、私も良かった……。

 万が一と思って、最低限しか御神体には触れないようにしたのだ。
 気にしすぎだ、とみう達には笑われてしまったが。

 だって、私が触れたせいで穢れたりでもしたら、どう責任を取ったらいいのか……。

 お稲荷さんが、前足でぐしぐしと涙を拭った。

「つかささん、本当にありがとうございました」

 私に向かって、深々と頭を下げる。

「はい」

 私は、にっこりと笑ってみせた。

「これで、もう大丈夫だよね?」

「はい。来年の神在月には、新しい神が誕生なされます」

 えーと、神在月って10月だったかな? いや、旧暦?
 で、この世界だと……?

 ややこしいな、おい。

「依頼料なのですが、ギルドを通した方がよろしいでしょうか?」

 お稲荷さんが、首を傾げてそう言った。

「やめて下さい……」

 猫神の紹介で。

 お稲荷さんに依頼されて。

 御神体を取り返して。

 そんなトンデモ依頼を受けたなんて、ほかの冒険者に知られたりしたら……。
 下手に目立つと、ろくな事にならない。

「では、こちらを」

 お稲荷さんは、金糸で刺繍してある小さな巾着を差し出してきた。
 中には、大粒の真珠がぎっしりと入っていた。

 いや、多い、多い!

「こんな高そうなもの、受け取れないよ……」

「いえ、受け取ってもらわねば、私が困ります」

 今日のお稲荷さんは圧が強い。

「それとも、我が真珠国の神には、これだけの価値もないとおっしゃるおつもりですか」

「ええー……」

 それを言われたら、断れないでしょうが……。

「はい、いただきます……」

 私が受け取ると、お稲荷さんは満足そうにふさふさのしっぽを揺らした。

「それと、こちらも」

「御守り?」

 小さな袋を渡された。

「私の神通力が込めてあります。三回まで、つかささんの身代わりをさせる事が出来ます」

「へぇ、スゴいね」

 昔話で、そんなのがあったような……?

「本当に、お世話になりました」

 お稲荷さんが、また頭を下げた。

「もう、いいよ」

「これから、どうされるのですか?」

「一回、女神様のところに顔を出して……」

 んー?
 何か、忘れているような……?
 何だったかな?

「あ!」

 黒のキャラバンの連中、大草原に置いてきたままだった……。





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