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第3章 黒のキャラバン。

見え始めた光明。

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「本当ですか!?」

 お稲荷さんが身を乗り出した。

「情報料は払いますから、それを教えて下さい」

「……」

 隊長さんはしばらくの間考え込んでいたが、やがて首を横に振ってみせた。

「いえ、お金は結構です」

「でも……」

 通信の発達していないこの世界で、情報は貴重な財産だ。

「真珠国の神使様やつかささんに恩を売っておく方が得だと、商人として計算したまでです」

 そう言って、隊長さんは笑った。

「ありがとうございます」

 お稲荷さんが深々と頭を下げた。

「では、早速ですが」

 隊長さんが声量を落としたので、私とお稲荷さんは声が聞こえる距離まで近づいた。

「黒のキャラバンには、いくつか取り引き先があるのですが」

「はい」

「その一つが、アレキサンドライトの魔導の塔でした」

「……は?」

 一瞬驚いたが、すぐに納得した。
 やつらなら、よその国の御神体だって買いつけるだろう。

 だが、魔導の塔はすでにない。

 そう言うと隊長さんは頷いた。

「そうなのです。それで、やつらは貴重なお宝をもて余したらしく、ほかのキャラバンに商談を持ちかけたようです」

「それじゃ、キャラバンがやたらと盗賊に襲われているのは……」

「どこかのキャラバンが買い取ったのかもしれません」

「……」

 そして、その情報が盗賊に流れたという事か。

 まいった。
 黒のキャラバンを追うだけでは、すまなくなりそうだ。
 盗賊を片っ端から捕まえて、情報を聞き出すか?
 いや、そもそも盗賊も正確な情報を持っていないから、やたらとキャラバンを襲っているのだ。
 かと言って、キャラバンのめぼしが……。

 んー?

「……ここは、真珠国だった」

「そうですけど、何か?」

 お稲荷さんも隊長さんも、不思議そうに私を見ていた。

 ほかの国よりも、確実にキャラバンが集まる国だ。

 ならば。

「せり、御神体の気配って残っている?」

 せりはひげをぴくぴくさせていたが、ふんっと胸を張った。

 よし、いける!





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