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第3章 黒のキャラバン。
真珠国の神様。
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「すいません。質問してもいいですか?」
私の言葉に、お稲荷さんはこくりと頷いてみせた。
「はい、もちろんです」
「この国の神様は、どこにいるんですか……?」
まさか、御神体と一緒に連れ去られたのか?
「まずは、この国の神について話をした方が良さそうですね」
ふむふむと、お稲荷さんは頷いている。
「現在、真珠国には神はおられません」
「……は?」
「この国の神は、代替わりするのです」
えーと……?
前の神様がいなくなって。
その御神体が盗まれた、って事なのか?
私がそうたずねると、お稲荷さんは首を横に振った。
「そうではなく、御神体は神になる途中だったのです」
「……」
「この国では、信仰を集める事で御神体は神へと変化するのです」
「はぁ……」
「先代から指定され十数年、もう少しで神へとなられるはずでしたのに」
そう言って、お稲荷さんはうなだれた。
「ああ、私がいなり寿司など買いに行かなければ……」
それは、もういいです。
神様になる途中だった御神体が盗まれた。
うん、大丈夫。理解した。
「盗まれたのは、いつですか?」
「2ヶ月ほど前でしょうか」
「誰に盗まれたのかは、分かりますか?」
お稲荷さんは、首を傾げた。
「氏子の方達に聞いた話では、この辺では聞きなれない言葉を話していたとか」
うーん、あまり参考にならないな。
真珠国周辺では特になまりが強く、ほかの地域に住む人達からはニホ語と言われているくらいだ。
買い付けにきた商人もよそからきた冒険者も、みなこの辺では聞き慣れない言葉を話しているはずだ。
……ん? ちょっと待て。
「氏子の人達に、御神体が盗まれた話をしたんですか?」
「いいえ」
ただ、とお稲荷さんは言った。
「誰か、御神体を持ち出した人はいないか、と聞いただけです」
「……」
「そうしましたら、この神社に聞きなれない言葉を話す人達が来ていたと」
「…………」
つまり、氏子の皆さんは盗まれた事を知っているという事だな。
……まぁ、いい。
「御神体っていうのは、どんなものなんですか?」
「真珠です。これくらいの大きさの」
お稲荷さんは、サッカーボールくらいの大きさに前足を広げた。
大きいな。
そんな大きさの真珠なら、盗む奴だっている……。
まさか。
最近やたらと盗賊が多いのは、盗まれた御神体を狙っているって事なのか?
つまり、どこかのキャラバンが盗み出した……?
少なくとも、盗賊の情報網ではそうなっているって事か?
ダメだ、情報が足りない。
「あの……」
うんうんと考え込んでいる私に、お稲荷さんは声をかけてきた。
「助けてもらえますか……?」
相変わらず、尻尾がしょんぼりと垂れている。
「……」
仕方がない。
猫神様には、恩もあるし。
ここで見捨てられるようなら、こんなに猫を拾ってませんよ……。
私の言葉に、お稲荷さんはこくりと頷いてみせた。
「はい、もちろんです」
「この国の神様は、どこにいるんですか……?」
まさか、御神体と一緒に連れ去られたのか?
「まずは、この国の神について話をした方が良さそうですね」
ふむふむと、お稲荷さんは頷いている。
「現在、真珠国には神はおられません」
「……は?」
「この国の神は、代替わりするのです」
えーと……?
前の神様がいなくなって。
その御神体が盗まれた、って事なのか?
私がそうたずねると、お稲荷さんは首を横に振った。
「そうではなく、御神体は神になる途中だったのです」
「……」
「この国では、信仰を集める事で御神体は神へと変化するのです」
「はぁ……」
「先代から指定され十数年、もう少しで神へとなられるはずでしたのに」
そう言って、お稲荷さんはうなだれた。
「ああ、私がいなり寿司など買いに行かなければ……」
それは、もういいです。
神様になる途中だった御神体が盗まれた。
うん、大丈夫。理解した。
「盗まれたのは、いつですか?」
「2ヶ月ほど前でしょうか」
「誰に盗まれたのかは、分かりますか?」
お稲荷さんは、首を傾げた。
「氏子の方達に聞いた話では、この辺では聞きなれない言葉を話していたとか」
うーん、あまり参考にならないな。
真珠国周辺では特になまりが強く、ほかの地域に住む人達からはニホ語と言われているくらいだ。
買い付けにきた商人もよそからきた冒険者も、みなこの辺では聞き慣れない言葉を話しているはずだ。
……ん? ちょっと待て。
「氏子の人達に、御神体が盗まれた話をしたんですか?」
「いいえ」
ただ、とお稲荷さんは言った。
「誰か、御神体を持ち出した人はいないか、と聞いただけです」
「……」
「そうしましたら、この神社に聞きなれない言葉を話す人達が来ていたと」
「…………」
つまり、氏子の皆さんは盗まれた事を知っているという事だな。
……まぁ、いい。
「御神体っていうのは、どんなものなんですか?」
「真珠です。これくらいの大きさの」
お稲荷さんは、サッカーボールくらいの大きさに前足を広げた。
大きいな。
そんな大きさの真珠なら、盗む奴だっている……。
まさか。
最近やたらと盗賊が多いのは、盗まれた御神体を狙っているって事なのか?
つまり、どこかのキャラバンが盗み出した……?
少なくとも、盗賊の情報網ではそうなっているって事か?
ダメだ、情報が足りない。
「あの……」
うんうんと考え込んでいる私に、お稲荷さんは声をかけてきた。
「助けてもらえますか……?」
相変わらず、尻尾がしょんぼりと垂れている。
「……」
仕方がない。
猫神様には、恩もあるし。
ここで見捨てられるようなら、こんなに猫を拾ってませんよ……。
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