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第3章 黒のキャラバン。

女神の怒り。

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「……」

「……」

 キャラバンと別れたあと、女神様に呼びつけられた私は正座をさせられている。

 理由は。

「何で、スマホの電源を切っていたんですか!?」

「いや、だから、ほかの人達も一緒だったし……」

 キャラバンの護衛は昼夜を問わない。
 交代で休憩を取るが、基本的には待機の扱いなので一人きりになる時間はほとんどなかった。

「少しぐらい、連絡出来ましたよね!?」

 いかん。
 女神様が、面倒くさいカノジョみたいになっている。

「……すみませんでした」

 こういう時は、変に言い訳をせずに謝るにかぎる。

 ……何で、男は謝らないのかな。
 言い訳したって、状況が悪化するだけなのに。

「……つかささん?」

 私が現実逃避をしている事に気付いた女神様が、じと目でこちらを見ていた。

「すみませんでした。以後、気を付けます……」

「心配したんですからね!」

「女神様……」

「よつばさんがお腹空かせてないか、福助さんが迷子になっていないか、もう心配で心配で」

「……」

 危うく、反省しかける所だった。

 うるさい!

 この、姑女神!!

「……何か言いました?」

「いいえー」

 あ、そうだ。

「これ、お土産」

 キャラバンで珍しいお菓子が売っていたので、女神様の分も買っておいたのだ。

 コレイトという甘いお菓子で、大きな街でしか買えない高級品だ。
 味も形もチョコレートに似ている。

 多分、真珠国以外にも、遠い遠い国から流れ着いた人達がいるのだろう。

「これは……」

 女神様は手にしたコレイトを凝視したまま、ふるふると震えている。

「コーヒーと紅茶、どっちに………」

「紅茶でお願いします!」

 被せぎみにそう言うと、女神様はにんまりと笑った。

「……」

 チョロすぎませんか、女神様?



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