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第3章 黒のキャラバン。

価値。

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 無事に街まで着いた。
 これで、私達の役目は終わった。

「ありがとうございます」

 キャラバンの隊長さんが、私達に向かって頭を下げた。

「いいえ」

 あ、そうだ。

「図々しくて悪いんですけど、砂糖を少し売ってもらえませんか?」

 キャラバンから直接買えば、お店を通さない分少しは安くあがるはずだ。

「大丈夫ですよ。香辛料などは、いかがいたしますか?」

「じゃあ、胡椒も」

 隊長さんは、びっくりするような値段で売ってくれた。
 店で売っている物より、ずいぶんと安い。

「これじゃ、儲けが出ないんじゃ……?」

「ほんの気持ちです。本当は、お金などいただくべきではないのでしょうが」

 商人としての信念がありまして、と照れ臭そうに隊長さんは言った。

「その代わり、依頼料は弾みますので」

「いいですよ、別に」

 ただでさえ、緊急依頼は通常の二倍の料金なのだ。
 盗賊捕縛の報償金も出るし。

「安売りなさっては、いけません」

 きっぱりとした口調で、隊長さんが言った。

「価値のないものに高値をつけるなどあってはいけないし、逆に、価値のあるものを安売りしてもいけないのです」

 そこまで言ってから、隊長さんははっとした様子で頭をかいた。

「すみません。恩人に向かって、説教じみた事を……」

「いいえ。それだけ、私達をかってくれたって事ですよね」

 猫達の事を評価してくれたのは素直に嬉しいし、ありがたく受け取る事にしよう。

「出来れば、このあとの護衛もお願いしたかったのですが」

 キャラバンの人達にも、サナ達にも何度も言われた。
 特に、もふもふの虜になったナルシは残念そうだった。

「ほかの依頼も受けているので……」

 真珠国まで、手紙を届けなければいけないのだ。

「そうですよね。それだけの腕利きなら、引っ張りだこでしょうし」

「……」

 今まで受けた依頼は、お化け屋敷の調査と、薬草採取だけです……。



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