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第3章 黒のキャラバン。
キャラバンの積み荷。
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先頭を私と猫達が、しんがりをサナ達がつとめる事になった。
せりがいれば魔物や盗賊が襲ってくる前に分かるし、大きくなったりゅうたろうがずんずんと歩いていれば目立つ。
これで厄介事も減る。
そう思ったのが甘かった。
「福助、〈風魔法〉!」
「にゃ!」
魔物は寄って来なかったが、約十日の道のりで二度も盗賊に襲われた。
一度目は撃退し、二度目はそのほとんどを捕縛した。
捕縛した盗賊達を紐でぐるぐる巻きにし、さらに大きくなったりゅうたろうにその紐を繋いで盗賊どもを歩かせた。
その後は、キャラバンを襲撃してくる連中はいなかった。
多分、手を出すとヤバい連中だとようやく認識されたのだろう。
昼食を取るための休憩になり、見張りを兼ねながら食べる私やサナ達はキャラバンから少し離れた所に座った。
「それにしても、なんだろうね、こりゃ」
サナが呆れたように言った。
「このキャラバン、よっぽどのブツでも積んでるのかね」
「盗賊が多すぎるよね」
元々、香辛料や砂糖、絹などの珍しい物を運ぶ事の多いキャラバンは盗賊に狙われやすい。
商会の荷馬車と違って、家族なども同行しているから移動の速度が緩やかなのも狙われやすい理由の一つだ。
それにしても多すぎる。
「……せり、〈気配察知〉」
こっそりとせりに探らせてみたが、特に反応はない。
積んでるいるのは、ごく普通の交易品のようだ。
「……噂が出回っているんじゃないか」
ぼそりとナルシが言った。
「噂?」
「このキャラバンに、お宝が積んでるという噂だ」
「え? 積んでるのかい?」
目を見張るサナの言葉に、ナルシがため息をついた。
「本当に積んでいたら、最初からもっと用心するだろう」
「つまり、事実はともかくとして、盗賊の間でそんな噂が出回っているって事……?」
街までは、あと三日で着く。
ギルドに盗賊を引き渡せば、何か情報を聞き出せるかもしれない。
まぁ、私はそこまでで護衛は終わりなんだけど……。
せりがいれば魔物や盗賊が襲ってくる前に分かるし、大きくなったりゅうたろうがずんずんと歩いていれば目立つ。
これで厄介事も減る。
そう思ったのが甘かった。
「福助、〈風魔法〉!」
「にゃ!」
魔物は寄って来なかったが、約十日の道のりで二度も盗賊に襲われた。
一度目は撃退し、二度目はそのほとんどを捕縛した。
捕縛した盗賊達を紐でぐるぐる巻きにし、さらに大きくなったりゅうたろうにその紐を繋いで盗賊どもを歩かせた。
その後は、キャラバンを襲撃してくる連中はいなかった。
多分、手を出すとヤバい連中だとようやく認識されたのだろう。
昼食を取るための休憩になり、見張りを兼ねながら食べる私やサナ達はキャラバンから少し離れた所に座った。
「それにしても、なんだろうね、こりゃ」
サナが呆れたように言った。
「このキャラバン、よっぽどのブツでも積んでるのかね」
「盗賊が多すぎるよね」
元々、香辛料や砂糖、絹などの珍しい物を運ぶ事の多いキャラバンは盗賊に狙われやすい。
商会の荷馬車と違って、家族なども同行しているから移動の速度が緩やかなのも狙われやすい理由の一つだ。
それにしても多すぎる。
「……せり、〈気配察知〉」
こっそりとせりに探らせてみたが、特に反応はない。
積んでるいるのは、ごく普通の交易品のようだ。
「……噂が出回っているんじゃないか」
ぼそりとナルシが言った。
「噂?」
「このキャラバンに、お宝が積んでるという噂だ」
「え? 積んでるのかい?」
目を見張るサナの言葉に、ナルシがため息をついた。
「本当に積んでいたら、最初からもっと用心するだろう」
「つまり、事実はともかくとして、盗賊の間でそんな噂が出回っているって事……?」
街までは、あと三日で着く。
ギルドに盗賊を引き渡せば、何か情報を聞き出せるかもしれない。
まぁ、私はそこまでで護衛は終わりなんだけど……。
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