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第1章 異世界探索。

風魔法と猫。

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 スキルを確認すると、福助は風魔法が使えるらしい。

「へぇ、風魔法か……」

 私には、魔法スキルは一切なかったけどね。

 つーか、「猫じゃらしレベルMAX」 って何?
 この世界で、何か役に立つのか。

「そうか、ふぅん、風魔法か……」

 ……さては猫達に先にスキルを授けやがったな、アホ女神。

「まぁ、それはいいとして」

 うん、いいことにしておこう。
 しばらく、猫達の動画は送ってやらないけどね!
 涙にくれながら、己の所業を反省するがいい!!

「次は、どこに向かえばいいのやら……」

 多分、女神様が言っていたのは、福助の事なんだろう。
 見つかった以上、ここには用はない。

「……とりあえず、森を抜けようかな」

 木ばかり見ているのにも、飽きてきてたところだし。



 しばらく歩いて行くと、りゅうたろうが立ち止まった。
 耳を伏せて警戒している、いわゆるイカミミだ。

 魔物!?

 周囲を見回しても、何の姿も見当たらない。

 ……隠れて様子をうかがってるのか?

 いくら大きくなったりゅうたろうが無双状態でも、不意討ちをくらったらマズイ。

「福助!」

「?」

 私に呼ばれて、福助がキャットハウスから出てきた。

「『風魔法』で、この辺の木をなぎ倒して」

 見晴らしさえよければ、こっちのものだ。
 りゅうたろうの ぷちっ! をくらうがいい!

「にゃ!」

 福助が張り切って、一声鳴いた。

 ……って、ん!?

 福助の起こした風は、あり得ないほどに大きく強かった。

「待て、待て、待て!!」

 りゅうたろうにさらに大きくなってもらい、慌ててその下にもぐり込んだ。

 そうだった。
 福助は常に全力な猫だった。

 ……つまり、手加減など無理。

 さっき突然現れたと思ったら、さては、自分の使った風魔法に巻き込まれたな?

 「ちょっと、これ、どうするの!?」

 私に抱きかかえられた福助が、無の顔になった。

 なるほど、つまり無理だと。

「そうだ!」

「よつば、『風魔法』を『解除』!!」

 よつばがキャットハウスから出てきて、ちょいちょいと前足を動かした。
 とたんに、ぴたりと風がやんだ。

「助かった……」

 りゅうたろうもご苦労様。

 通常サイズに戻ったりゅうたろうが、肩に飛び乗ってきた。

 うん、頑張ったもんね。……痛いけど。

 私達の周りには、森どころか一本の木すら生えていなかった。

 あ、向こうに海が見える……。



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