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桃青

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65.一つの終わり

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 そう言い合って、互いに黙々とチキンを食べた。涙は馬鹿みたいに止まらず、それでもむしゃむしゃと私は食べ続けた。
 ずっとありきたりな生き方をしてきた人が、その素晴らしさを理解することは、なかなか難しい。でもチキンの美味しさも含めて、今私は平凡という幸せに触れている。白井タクヤもそうであってほしいと、そっと願ったのだった。

 この道を進んで、その先にあるものは何だろう。見えないからこそ、楽しい。その感覚を、私は初めて知った。
 ☆☆☆
 ジャンク故に美味しいご飯を食べ終え、父と家まで帰ってくると、私は真っ直ぐ自分の部屋へ直行し、ノートを見つけ出して、手紙を書き始めた。雄大君にあてた手紙だ。今の私の気持ちを、彼には伝えるべきだろうと思ったのだ。独りよがりな気もしたが、それが正しいことだと、私は思っている。
 読んでくれたら、彼は何と思うだろうか。そんなことを夢見ながら、考え考え文章を綴ってゆく。二十八年の自分史を顧みながらの作業は、悲しさもあったが、概ね面白いことでもあった。

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