ABC

桃青

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50.WAIT

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 夢を見た。

 私は宇宙にいた。宇宙空間に、洋服一枚で漂いながら、青い地球を見下ろしている。ポンと地球に触れると、地球全体にピンク色のオーロラが降る。世界中にオーロラは広がっていき、大気がピンクに染まっていった。とても奇麗だ。私は地球を染めて遊ぶ。青、緑、紫、黄色、赤。世界は虹色に輝く。
 その世界の外側にいる私。
 地球の中に入ることはできない。そう思っていたが。
 ちょん、と指先で地球に触れると、水紋が広がっていった。入れる、私はそう思う。まずは足から。下半身、上半身、私はずぶずぶと地球に溺れてゆく。苦しくはないけれど、不安感が募る。両手、首、そして顔……。全てが地球の中に入ると、青い地球ではなく、何故か地球の夜景が見える。黒い地球に灯る人工の明かり。人間の力で輝く大地。
 これでいいのだろうか。このままでいいのか?
 私には分からない。でも今となっては落下することしかできず、もう地球を外側から眺めることはできないのだ。
 落ちてゆく。大気を破り、空間を破って。
 これは終わりじゃない。これから、始まるのだ。色々な感情が胸の内でよぎってゆく。
 そう私は―。地上の光を眺めるのではなく、これからは灯台のような、光のひとつになる。それから世の中というものに、モールス信号を送るのだ。独自でも、スペシャルでもなく、ただの光になる。
 もうすぐ地上に着くだろう。そうすれば私は―。
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