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47.導き
しおりを挟む森林公園の駐車場に車を止め、二人で公園に入っていって、すぐ管理事務所を目指した。いつ見ても可愛らしい、白いちんまりとした建物に入っていくと、私と雄大君は受付窓口を覗き込み、父は私がその存在に気が付く前に、仕事場から飛び出してきて言った。
「水希! 来たね! 」
「お父さん、少し話せる? 」
「ちょっとなら構わないよ。君が、竹田雄大君かい? 」
「はい! 水希さんのパートナーです」
「水希の恋人なのかい? 」
「いえ、まあ、その、仕事上のパートナーですよね。ええ」
「じゃ、公園で話すか。二人ともこっちへおいで」
私と雄大君が父の後について、公園内を歩き始めると、色々な花が咲いていて、心が優しい気持ちになる。私は雄大君に、花を眺めながら訊ねた。
「お花って本当に可愛いけど、オーラってあるのかな」
「ありますよ。人間の出すオーラと性質は違いますけど、俺にはキラキラ光って、銀色の粉を振りまいているのが見えています。輝いているって感じですかね」
そこへ父が口を挟んだ。
「竹田君もやっぱり、不思議なものが見えるのかい? 」
「見えますね。その点で水希さんとは似た者同士です」
「水希、心強い仲間がいるじゃないか。よし、そこのベンチに座ろう」
私を真ん中にして、私達はベンチに並んで座った。爽やかな鳥の声が聞こえ、自然が気持ちよくて思わず大きく息を吸い込む。二人が私の言葉を待っていることに気付き、私は心を決めてから話し出した。
「私は物心ついた時からずっと世界を調和させてきたけれど、思ったの。私自身を調和させたら、どうなるのだろうって」
父は目を丸くして言った。
「自分が整って、心や体の調子が良くなるんじゃないのかい? いいことしか起きないんじゃないかな」
「私の妙なこの力は、不調和だからこそ生まれてきた力なの。壊れている自分だからこそ、使える能力。それが完全に調和したら―」
雄大君は驚きを隠そうともせず言った。
「調和師の能力が消えるってことですか」
「そうかもしれない。二十八年向き合ってきた才能と、おさらばするかもしれない」
父はちょっと気難しい顔をして言う。
「でもそれなら今までで、すでに調和してしまうことがあったんじゃないのかい? 水希がそのことに思い至らずに、いたずらに自分を調和させようとしたことが、あったかもしれない。その時はそんなことなんて起きていないんだろう、能力がなくなるなんて」
「自分を調和させるって、自分の中にぐっと入っていくことだから、世界や他人のハーモニーを操るのと違って、発狂と向き合うような、かなり怖いことなのよ。自分で自分を操る感じと言えば、分かってもらえるかしら。だから完全調和させることはなかったし、できなかった。でももし、誰か他人が私を操ったとしたら、」
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