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桃青

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41.信頼

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「あなたって、友達とかいる? 自分の仲間のような人は」
「……。何を急に」
「なんか桜を見ている後姿が、孤独で寂しそうだったから」
「あなたは? 」
「私は、雄大君がほぼ友達のようなものだし、あと男女とも友達が数人いる」
「コーヒー、ありがとう。人付き合いをする意味が、よく分からなくなるんだよ」
「といいますと? 」
「人と話したり、遊んだりして何になるのか。僕に未来は見えているし、だから人と交わって、明日を語る楽しさが理解できない」
「やっぱり。雄大君の言った通りだ」
「あの男、何か言っていた? 」
「あなたが本当の幸せを知らないだろう、みたいなことを言っていたの。ありきたりな人としての幸せを知らないんだね」
「そうかな」
「私も人の影響を受けすぎるから、独りを選びがちだけれど、あなたは遥かにその上を行く。白井さんって、お金持ちなんでしょう? 」
「お金の流れなんていくらでも読めるし、欲しい時に欲しいだけ、手に入れることができる」
「じゃ、今日はそのお金を使いましょ。今日のファッション、決まっているけれど、全然楽しくない。だから私と一緒に、まずあなたの服を探すの。私が女受けのいい服を探してあげるから」
「……この格好、駄目? 」
「何ていうか、四十年前からタイムスリップしてきたかのような、古くて硬いファッションだよね。あっちに商店街があるから、そこでショッピングしようよ。そんなデートもいいでしょう? 」
「まあ、いいけど」
「なら、桜を見ながらこの通りを真っ直ぐに歩いて、商店街へ向かおう」
「うん」
 ☆☆☆
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