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桃青

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33.覗く

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「とりあえずそのサイトを見てみましょう」
「そうですね。こちらがそうです、ここがメイン画面。ざっと最新の情報、チャット、書き込みが分かるページですね。で、一番分かりやすいのは、過去のチャットかな。こうやってスクロールすると、書き込まれたチャットを、最初から最後まで一気に見ることができますが……。ここですよ」
 雄大君は不思議そうに言った。
「随分空白の部分がボコボコありますね」
 小川さんは深く頷いて言う。
「そうです。見ている人達の書き込みが、意味もなくバタッ、バタッ、と止まっている。それもかなり長い時間」
 私はチャットを読みながら言った。
「文章の内容的には盛り上がっているし、どうして急に」
「そう、不自然なんですよ。しばらくの間の後にまた盛り上がりますが、それもバタッと途切れる。交流して盛り上がりを楽しむサイトなのに、それができないなんて、誰かのせいなら営業妨害もいい所です」
 私はちょっと考えてから質問した。
「過去にもこういうことはあったのですか? 」
「ないです。きっぱりないと言えます。ここ最近に起きたことで、近頃サイトのアクセス数も減り始めているし、マジで困っています」
「雄大君、何か分かったことある? 」
「そうだな、オーラってか、空気感がどこか静かですよねえ」
「悪霊でも取りついているんですか? 」
 小川さんの発言に、雄大君は首を振って答えた。
「そういう霊的な影響は全くないです。それよりも、パワーバランスがぶっ壊れている感じ。水希さんだったら、何か分かるんじゃないですか? 」
「そうね。小川さん、リアルタイムで活発にチャットが書き込まれているページを、見せてもらえませんか? 」
「分かりました。この雑談ルームのページなら、いつも人がいますよ。こんな感じ」
 雄大君は面白そうに言った。
「おー、どんどん言葉が流れていく。見ていて楽しいっすね」
 小川さんは何故か嬉しそうに言う。
「少しだけ、ニコニコ動画をパクっています」
 私は文章を目で追いながら言った。
「今の所何も問題はなさそう……、あ」
「出た。これだ」
 小川さんの言葉で三人とも沈黙した。賑やかだった画面が突然黒一色になり、書き込みが止まったのだ。すぐに私は流れの一時停止を感じた。大袈裟に言えば、それはこのサイトで展開される、世界の停止みたいなものだ。私は言った。
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