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桃青

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26.痕跡

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 花の絵がちりばめられている、メルヘンチックな家のような外観の案内所へ入っていくと、こっちから言わずとも、藤田さんの方から私達の元へ飛んできて、言った。
「どうでしたか? これからどんてんフラワー植物園は、どうなるのですか? 」
 私は冷静に言った。
「今の状態が保たれるなら、人が来るようになるはずです。私達がそう調整しました。ただ……。お聞きしたいのですが、新しく雇ったアルバイトの人達がいると。そうおっしゃっていた」
「ええ。三人ほどいます」
「その中に、白井タクヤという人はいませんでしたか? 」
「いえ、いません。彼らが何か、問題でも? 」
「今いるなら、その三人と会わせていただけないでしょうか」
「? ええ。なら呼んできましょうか」
「お願いします」
 藤田さんがちょこまかとした足取りで、どこかに消えてゆくのを見届けると、雄大君が言った。
「あいつが偽名を使っている可能性がありますもんね」
「そう。それと、他にも調和師がいるかもしれない。私と白井タクヤ以外にも」
「新たな登場人物が、何かをやったと」
「とりあえず会ってみないことには分からないわ。雄大君も探りを入れてみて」
「わっかりました。少し楽しみだな」
 そんなことを言いながら、世間話をしつつ待っていると、藤田さんが二人の若者を連れ、私達の前に現れて言った。
「彼らがそうです」
「新しく入った? 」
 私の言葉に、彼はこくりと頷いた。雄大君がそこに口を挟んで訊ねた。
「アルバイトの人は三人雇ったんじゃ……」
「それが、昨日一人辞めていまして」
「辞めた? 何て名前の人ですか? 」
「ええと、菊池君ですね。菊池巧君」
「どんな髪型の人でした? 」
「髪型? こう、髪を真ん中で分けて、ピタッとさせて」
「つまり五分分けにした、」
「そうそう。ちょっと古臭い感じの髪型で。ほのかに存在感のある若者でした」
 雄大君が私に耳打ちをした。
「そいつが白井タクヤで間違いないと思いますね」
「私もそう思う。一応他の二人にも探りを入れてみるね」
「僕もオーラをよく見てみます」
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