17 / 67
16.邂逅
しおりを挟む
「では、白井さんはどうなりたいと思いますか? 」
「もっと、何ていうのか、普通になりたいというか……。体の不調もなくなってほしいし、恋人だって欲しいし。あの、あなたのお名前を教えていただけませんか? 」
「あ、はい。私は吉野水希で、こちらの彼が、竹田雄大と言います」
「吉野さんは恋人とかいらっしゃる……? 」
「恋人はいないですけれど、男女とも友達なら、少しはいますよ」
「僕の気持ち、分かりますか」
「分かると思います。なぜなら私も、白井さんと似たような体験をしていますから。普通になりたくても、普通になれない、みたいなね」
「辛いです。考えても、答えには辿り着けない。僕なりにベストを尽くしていますが、どうにもならないままです」
「分かります」
「ずっと僕、このままなのかな……」
「ちょっとあなたを見させていただきますね」
私はそう言ってから、雄大君に訊ねた。
「白井さんって、どんな感じに見えているのかしら」
「そうですね、オーラのメインカラーは白。非常に健全な印象ですよ。白って周囲に染まるカラーなので、他者とズブズブになりやすいから、それが苦しみの原因じゃないですかね」
「ズブズブって表現を気に入っているの? でもオーラのカラーを簡単には変えられないし、どうしたらいいんだろうね。オーラの強さは? 」
「やや強め。今の段階では」
私は気を取り直して言った。
「白井さん、私があなたをちょっと探ってみますね」
「はい」
彼の承諾を得てから、気配を探り出してみた。
(ハーモニーのズレはない。ちゃんと調和が取れていて、音色もいい音。爽やかで気持ちのいい気配がする。特に問題はなさそう。……あれ? 読もうとするとブロックされて、弾かれるな。これは何? )
(自然のようでいて、深く探ろうとすると、越えられない壁のようなものが存在している。白井さんの心の壁? 他者を拒絶しているの? 他人に振り回される気質故に、自分を守るためにこんな強力な壁を作り出したのか)
(自然……。何かが引っかかる。自然なのに、自然じゃない。不自然という名の自然。どういうことだろう)
(もしかすると、このハーモニーや壁は、全て彼の操作の上で作り出された、仮想の世界? そんな人っている? 全知全能のような調和師でもない限り、そんなことは―)
(調和師でもない限り……)
「もっと、何ていうのか、普通になりたいというか……。体の不調もなくなってほしいし、恋人だって欲しいし。あの、あなたのお名前を教えていただけませんか? 」
「あ、はい。私は吉野水希で、こちらの彼が、竹田雄大と言います」
「吉野さんは恋人とかいらっしゃる……? 」
「恋人はいないですけれど、男女とも友達なら、少しはいますよ」
「僕の気持ち、分かりますか」
「分かると思います。なぜなら私も、白井さんと似たような体験をしていますから。普通になりたくても、普通になれない、みたいなね」
「辛いです。考えても、答えには辿り着けない。僕なりにベストを尽くしていますが、どうにもならないままです」
「分かります」
「ずっと僕、このままなのかな……」
「ちょっとあなたを見させていただきますね」
私はそう言ってから、雄大君に訊ねた。
「白井さんって、どんな感じに見えているのかしら」
「そうですね、オーラのメインカラーは白。非常に健全な印象ですよ。白って周囲に染まるカラーなので、他者とズブズブになりやすいから、それが苦しみの原因じゃないですかね」
「ズブズブって表現を気に入っているの? でもオーラのカラーを簡単には変えられないし、どうしたらいいんだろうね。オーラの強さは? 」
「やや強め。今の段階では」
私は気を取り直して言った。
「白井さん、私があなたをちょっと探ってみますね」
「はい」
彼の承諾を得てから、気配を探り出してみた。
(ハーモニーのズレはない。ちゃんと調和が取れていて、音色もいい音。爽やかで気持ちのいい気配がする。特に問題はなさそう。……あれ? 読もうとするとブロックされて、弾かれるな。これは何? )
(自然のようでいて、深く探ろうとすると、越えられない壁のようなものが存在している。白井さんの心の壁? 他者を拒絶しているの? 他人に振り回される気質故に、自分を守るためにこんな強力な壁を作り出したのか)
(自然……。何かが引っかかる。自然なのに、自然じゃない。不自然という名の自然。どういうことだろう)
(もしかすると、このハーモニーや壁は、全て彼の操作の上で作り出された、仮想の世界? そんな人っている? 全知全能のような調和師でもない限り、そんなことは―)
(調和師でもない限り……)
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
S級騎士の俺が精鋭部隊の隊長に任命されたが、部下がみんな年上のS級女騎士だった
ミズノみすぎ
ファンタジー
「黒騎士ゼクード・フォルス。君を竜狩り精鋭部隊【ドラゴンキラー隊】の隊長に任命する」
15歳の春。
念願のS級騎士になった俺は、いきなり国王様からそんな命令を下された。
「隊長とか面倒くさいんですけど」
S級騎士はモテるって聞いたからなったけど、隊長とかそんな重いポジションは……
「部下は美女揃いだぞ?」
「やらせていただきます!」
こうして俺は仕方なく隊長となった。
渡された部隊名簿を見ると隊員は俺を含めた女騎士3人の計4人構成となっていた。
女騎士二人は17歳。
もう一人の女騎士は19歳(俺の担任の先生)。
「あの……みんな年上なんですが」
「だが美人揃いだぞ?」
「がんばります!」
とは言ったものの。
俺のような若輩者の部下にされて、彼女たちに文句はないのだろうか?
と思っていた翌日の朝。
実家の玄関を部下となる女騎士が叩いてきた!
★のマークがついた話数にはイラストや4コマなどが後書きに記載されています。
※2023年11月25日に書籍が発売!
イラストレーターはiltusa先生です!
※コミカライズも進行中!
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
猫神様のお気に召すまま
結香こっこ
ライト文芸
職場の後輩に彼氏をとられ、また別の後輩には出世を先越され…。
ツイてない続きの主人公、相原池鶴の部屋に突然“猫神様”が現れた!
なんでも願いが叶うように導いてくれるとか?叶えてくれるんじゃなくて?
よくわからない上に、願いが叶うまで同居すると言い出して?!
なんとも強引に猫神様との同居生活が始まった…。
イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で最強に・・・(旧:学園最強に・・・)
こたろう文庫
ファンタジー
カクヨムにて日間・週間共に総合ランキング1位!
死神が間違えたせいで俺は死んだらしい。俺にそう説明する神は何かと俺をイラつかせる。異世界に転生させるからスキルを選ぶように言われたので、神にイラついていた俺は1回しか使えない強奪スキルを神相手に使ってやった。
閑散とした村に子供として転生した為、強奪したスキルのチート度合いがわからず、学校に入学後も無自覚のまま周りを振り回す僕の話
2作目になります。
まだ読まれてない方はこちらもよろしくおねがいします。
「クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される」
勇気の指輪
森乃あかり
絵本
森の奥にあるお城に少しだけ臆病な王子様が住んでいました。王子様は自分より背の高い大人が怖くて、挨拶することができません。そんな王子様は、森で金色の指輪を見つけます。指輪をはめた王子様は、不思議と勇気が湧いてきました。
.・。.・゜✭・.・✫・゜・。.
この絵本を読んだ王子様のお話「指輪を見つけた王子様」もあわせてお楽しみください。
※表紙の画像はAIで生成しています。
※挿絵はありません。
人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)
葵セナ
ファンタジー
主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?
管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…
不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。
曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!
ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。
初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)
ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる