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後に残された俺は、しばらく意味もなく、小川のいなくなった座席をじっと眺めていた。そして残ったホットコーヒーを少しずつ飲みながら、もうちょっとこの喫茶店で、小川の言った事や、それから自分の考えを纏めるために、しばらく考えてみる事にしたのだった。
… … …
(俺が、・・・この俺が善人になる?)
俺は心の中で首を傾げながらそう考えた。
今までクールな自分になることばかりを追い求めてきた俺にとってそれは、根本から考えを改める選択になるはずだった。
クールな悪魔になるのではなく、人に温かさをもたらす優しさの象徴、天使になるべしと言っているようなものだ。
(善人になるって、どんな感じだろう・・・?)
俺はしばらくそのテーマについて、じっくり考えてみた。
極悪人というのは、おそらく誰からも嫌がられ、寂しく孤独な、一匹狼の道を歩んでいくものだが、(またそれこそが格好いいと、今までの俺は思い込んでいたのだが、)もし俺が善人になれたなら・・・。
きっと人から好かれて、明るい人生になることだろう。
それって、もしかすると、
・・・素晴らしいことなんじゃないか?
人から必要とされる俺。人から歓迎される存在である俺。
そうやってどんどん考えていくと、俺は何だか楽しくなってきてしまった。
(―もしかすると善人になるって、楽しい事なんじゃないのかな?)
俺はハタとそう考え、もう一度小川が僕に言った言葉を頭の中で繰り返した。
俺は俺にできる事をやる。
それは無理のない行為であり、きっと俺はその事を心、・・・いや、小川の言葉を拝借するなら、魂の底から納得する事ができて、充足感に満ちた毎日が送れるに違いないんだ。
満たされた日々・・・。
今までの俺が見落としていたもの・・・。
そしてきっと、何よりも大切なこと。
そう考えるうちに、俺は次第に、もし自分が善人を目指す人間に生まれ変わったなら、その事で周囲がどう反応し、変化していくのか、知りたくなってきた。
そして俺は決意したのである。
(よし。俺は試しに善人になってみよう。)
俺は早速、行動を開始する事にした。
何でも思い立ったらすぐ行動に移す。これは俺自身が唯一理解している、俺の長所(そして時に短所)でもあるのだ。
… … …
(俺が、・・・この俺が善人になる?)
俺は心の中で首を傾げながらそう考えた。
今までクールな自分になることばかりを追い求めてきた俺にとってそれは、根本から考えを改める選択になるはずだった。
クールな悪魔になるのではなく、人に温かさをもたらす優しさの象徴、天使になるべしと言っているようなものだ。
(善人になるって、どんな感じだろう・・・?)
俺はしばらくそのテーマについて、じっくり考えてみた。
極悪人というのは、おそらく誰からも嫌がられ、寂しく孤独な、一匹狼の道を歩んでいくものだが、(またそれこそが格好いいと、今までの俺は思い込んでいたのだが、)もし俺が善人になれたなら・・・。
きっと人から好かれて、明るい人生になることだろう。
それって、もしかすると、
・・・素晴らしいことなんじゃないか?
人から必要とされる俺。人から歓迎される存在である俺。
そうやってどんどん考えていくと、俺は何だか楽しくなってきてしまった。
(―もしかすると善人になるって、楽しい事なんじゃないのかな?)
俺はハタとそう考え、もう一度小川が僕に言った言葉を頭の中で繰り返した。
俺は俺にできる事をやる。
それは無理のない行為であり、きっと俺はその事を心、・・・いや、小川の言葉を拝借するなら、魂の底から納得する事ができて、充足感に満ちた毎日が送れるに違いないんだ。
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そして俺は決意したのである。
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