りぷれい

桃青

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33.旅の終着点1

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「道子」
「はい?」
「お母さん、……生き返らなければよかったね」
「……。何でそう言う考えになるの」
「私がいない方がよかったね」
 そう言うと母は涙を零し始めた。何だか困ったことになったぞと思いながら、私は言った。
「私はどうしたらいいの」
「……っ、おっ、お母さんだってねえ、どうしたらいいか分からないんだよ。道子とねえ、うまくいけばいいなと思って、楽しく生き返ったのに。なのに、道子には絶望するわよ。
 私がっ、私が消えればいいのよね」
「そんなこと一言も言っていないじゃない」
「言わなくたってね、伝わるものはあるんです。……それとも道子が消えればいいのかしら」
「お母さんがそう言わずとも、私は自分がろくでもない人間だってことが、よく分かっているから」
「え。そうなの?」
「そうだよ。確かに、お母さんより私が死んだ方がましかも」
「そ、そんな風に思っているの?」
「うん。今までそう思いながら、この三十年間を生きてきた。だから私って、他人から酷い否定の言葉を言われても、傷つくけれど、怒る気にはならないんだよね。確かにその通りだなって思うから」
「心が広いわね」
「そういう訳じゃなくって……。私は元々敏感な人間だし、傷つきやすい質なの。そんな自分を守るために、最終的に辿り着いた秘策なんだと思う」
「道子は―」
「うん」
「辛かったね」
「……うん?」
「きっと、そう考えられるようになるために、あなたは戦った」
「……」
「必死に戦ったのね」
「戦ったのかな。私的には現実から逃げた気がしていたんだけれど」
「お母さんはね。……人生で一度も戦わなかったの。そういう性格じゃないから。流れて、流されて生きていたわ」
「それはそれでいいんじゃないの。日本人らしくて」
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