りぷれい

桃青

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 私は敢えて夕食の手伝いをしなかった。皿を並べる程度のことはしたけれど、父がピュアに母だけで作られたものを望んでいることが、分かっていたからだ。夕食になって、母の煮物に手をつけたとき、私の選択は正解だったと思った。この不思議と濃厚になる母のテイストは、どうやっても私には作り出せない味だったからだ。父は口数少なく、煮物を静かに食べていた。私は―、自分がいてもいなくても同じなのではないかと思っていた。

 母と父、そして私。夕食をともにしながら、ふと思う。私は何のために生まれてきたのだろう。
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