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いくつものためらい
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家に帰りつくと、僕は真っ直ぐ台所に向かい、インスタントのコーヒーを手早く作ると、マグカップを片手に自分の部屋へ行き、机の前に鎮座してノートを開いた。
「ストーリー、ストーリー……。」
そう呟きながら、小説の試行錯誤が始まったのである。
最初は軽いものから書いてみようと考えて、ライトな恋愛小説のプロット作りから始めた。でも発想のきらめきが感じられない、どこにでも転がっているような話しか書けず、自分に恋愛小説を書く能力はないと早々に見切りをつけた。
次の日も、その次の日も、とにかくずっと、僕は訳が分からなくとも自分を追い込んで、大げさに言うならば命をかけて、文章を綴り続けた。ファンタジー、ライトノベル、サスペンス、コメディ、エトセトラ、エトセトラ。最後までプロットを書いたものもあったし、途中で放り投げたものもあったが、文章を書くことは苦痛じゃなかったし、だらだらと書き続けることもできた。ただ、自分の書いた文章に意味があるのかと考えると、どうもその辺があやふやなままだった。意味のない文章なぞ、だれが読みたがるというのだろう?
僕は僕の作品の無意味さを薄々と感じ始めた。自分のやりたいことが分からなくなり、おのれの文才についても危ぶむようになっていき、その思考の辿り着く先は、自己否定だった。
… … …
完全に自分の小説の方向性に行き詰ったある日、僕の足は自然とドリンクcafeに向いていた。店へ向かう間のすっかり見慣れた景色が、なぜか自分を落ち着かせ、なぐさめを与えてくれる気がした。アウェイではなく、故郷のようにここは自分のホームなのだ、と思えたからかもしれない。店の扉を開けると、ざっと店内に目を走らせ、窓辺の席でゆったりとコーヒーを飲んでいるあかりの姿を見出した途端、体の力がすとんと抜けていった。僕はゆっくりと彼女の側に近づいていき、静かに声を掛けた。
「あかり。」
彼女は振り返って僕を見た。そして目を丸くすると笑みも浮かべず、
「どうしたの?」
と言う。僕は意味が分からず問い返した。
「何が?」
「何をそんなにやつれているの?」
「えっ、僕ってやつれている?」
「げっそりって感じね。」
そう言って彼女はポンポンと自分の隣にある椅子を叩くので、僕はそこに素直に腰を落ち着けて言った。
「やつれている、か。そうかもしれない。今小説書きで八方ふさがりになっているから、その辛さが滲み出たのかも。」
「それなら書くのをやめたら?」
「いや、今はどうしても書きたいんだ。」
「なら、仕方ないわ。」
あかりは微かに笑うと、僕から目を逸らして静かにコーヒーを飲んでいた。また彼女特有のだんまりだなと思いながら、なんとなく次の言葉を待っていると、突然こんなことを言い出したのである。
「光、これから私とデートしましょう。」
「エ、今から?」
「私たちも太一さんと奈々さんに負けていられないわ。今こそ本格的に恋愛ごっこを始めるべきだと思うの。」
「フフフ、幼稚園児のおままごとみたいに、仲のいい夫婦、ではなく、カップルを演じるんだね?」
「そうよ。」
「何か元気が出てきたな。よし、行こう。」
「そのフットワークの軽さは、光の長所ね。」
そして僕たちは座席を立ち、レジまで行くと、太一が飛んできて会計をしながら訊ねた。
「二人とも、どこかに行くの?」
「実はね、これからこのあかりさんと、デートなんだ。はっはっはっは。」
僕はそう言い残し、驚いている太一にゆったりと手を振りながら店を出た。あかりは自然な態度で僕と手を組み、隣を歩きながら言った。
「行先はもう決めてあるの。」
「そうか。どこへ行きたいの?」
「水族館。太一さんと奈々さんが感じたことを、私たちも追体験するのよ。」
「悪趣味のような気もするけど、面白そうではある。で、あのどこへでも繋がっている扉は使わないの?」
「より現実感を出すため、今回は一切魔法を使いません。」
「なるほど。」
そして僕とあかりは駅に向かって意気揚々と歩いていった。
とある駅から直結している水族館に、僕らは入っていった。かなり遅めの時刻なのに、まぁまぁ人がいた。ときどき取りつかれたように水槽に張り付いて、ひとりで延々と眺めている人がいたり、スーツ姿のままデートをしているカップルがいたりした。あかりはあまりぱっとしない見栄えの魚を指して、
「これ、何?」
と問うので、僕がうーんと言葉に詰まると、
「光って、何も知らないのね。」
と手厳しく言う。僕は少し怒って言った。
「神様じゃないんだから、何でも知っているわけないじゃないか。隣に説明が書いてあるから、それを読めば分かるだろう。」
「そういえばそうね。自慢じゃないけれど、私、知識の吸収は相当得意なの。」
「そうみたいだね。お利口すぎて時々君が宇宙人じゃないかと思うことがあるよ。」
「その考え、結構いい線いっているかも。」
「えっ、そうなの?」
その時僕らは顔を見合わせて、思わず吹き出した。そして色鮮やかな小魚を眺めながら思った。
(太一と奈々もこんな感じだったのかな。仲良く、楽しげに、ひとつひとつの水槽を見て回って、ささやかな会話をしながら……。)
その考えは温かくも悲しい気分にじんわりと僕の心を染めていくのだった。
頭の中で魚の残像が泳ぎ回る中、水族館を出ると、僕らは夜の街を当てずっぽうに歩き出した。そしてたまたま行き当たった、人気のない小さな公園に入って、ベンチに腰を下ろすと、一息ついた。空を見上げると雲ひとつなく、月すらない。きっと新月なのだろうと僕は考えた。闇の中ですべてがリセットされ、これから満月へと新たな成長が始まるのだ。
「僕は……、いつか作家になれるのかな。」
「光?」
「作家になる夢を諦めるべきなのかな。そして人生をリセットして、新しい方向性でやり直して……。」
「光。」
「ん?」
「人生はリセットできない。人生とは、良いものも悪いものも、すべて積み重ねていくものだわ。」
「じゃあ仮に僕が罪や間違いを犯したら、その汚点は一生消えないんだね?」
「その通りよ。その上に立ち、あなたは存在している。」
「そういうものか。」
僕はずっと見つめていた空の星から視線を逸らして、今度はあかりを見つめた。あかりはまるで母親の反応を窺う子供みたいに僕を見つめ、その姿はどこか純粋で愛らしかった。思わず笑みを浮かべた僕は訊ねた。
「あかり、君にキスしてもいいかな。」
「……。私のことを愛していないでしょう?」
「愛している、という感情とは違うかもしれないけれど、でもとても大切に思っているよ。まるで宝箱みたいにね。」
「確かに私の中からは色々なものが出てくるもの。」
僕はふっと吹き出すと言った。
「その通りだ。君はいつだって正しい。」
その時あかりは、いつもの落ち着いた様子が消え失せて、おどおどしたり、キョロキョロしたりして、僕の方を見まいと努力しているようだった。それでも何とか落ち着きを取り戻すと、自分の手元を見つめつつ、僕に訊ねた。
「恋愛ごっこにキスは必要かしら。」
「あってもいいと思うよ。」
「愛している女性でなくても、キスはできるの?」
「試してみるのも悪くない。」
僕は彼女の手の上に自分の手の平を重ねた。そしてあかりが顔を上げた瞬間、何かに駆られたように唇を重ねた。時が止まった、気がした。その時僕の心の内では温かい源泉が生まれ、その奔流で溢れ返っていた。しばらくそうしてから、どちらからともなく唇を外すと、目を潤ませてあかりは、魚のように口をパクパクしていたが、体をずらして僕に背を向けてから、囁き声で言った。
「光、私に依存してはだめよ。」
「依存?そんなつもりは――。」
「あなたの優しさと、人を信じやすい性格は、欠点でもある。人から何かを与えられたときにあなたは疑うことを知らないの。自分が優しいから、全ての人たちもきっとそうだろうと思っているのね。」
「あかりは何が言いたいんだ?」
「私を、そんなに信じてはだめ。」
「なぜ君を信じてはいけないんだい?」
「愛は幻、だから。」
「愛は幻? そんなことはないだろう。」
「私と光は今幻影を追いかけているの、〈愛〉という名の幻影を。」
「……。」
「なぜなら、幻影はとても美しいものだから。」
あかりによって次から次へと紡ぎ出される言葉に対し、僕は何も言えなかった。言うべき言葉が見つからなかったとも言える。その言葉たちはモザイクみたいで、意味が分からないくせにその裏には、図太い筋が一本通っている気がした。
(あかりを失いたくない。)
ふっとそんな思いが僕の中でよぎった。それと同時にいつしかあかりを頼りにしている自分の心に、ふと気がついたのだった。
「ストーリー、ストーリー……。」
そう呟きながら、小説の試行錯誤が始まったのである。
最初は軽いものから書いてみようと考えて、ライトな恋愛小説のプロット作りから始めた。でも発想のきらめきが感じられない、どこにでも転がっているような話しか書けず、自分に恋愛小説を書く能力はないと早々に見切りをつけた。
次の日も、その次の日も、とにかくずっと、僕は訳が分からなくとも自分を追い込んで、大げさに言うならば命をかけて、文章を綴り続けた。ファンタジー、ライトノベル、サスペンス、コメディ、エトセトラ、エトセトラ。最後までプロットを書いたものもあったし、途中で放り投げたものもあったが、文章を書くことは苦痛じゃなかったし、だらだらと書き続けることもできた。ただ、自分の書いた文章に意味があるのかと考えると、どうもその辺があやふやなままだった。意味のない文章なぞ、だれが読みたがるというのだろう?
僕は僕の作品の無意味さを薄々と感じ始めた。自分のやりたいことが分からなくなり、おのれの文才についても危ぶむようになっていき、その思考の辿り着く先は、自己否定だった。
… … …
完全に自分の小説の方向性に行き詰ったある日、僕の足は自然とドリンクcafeに向いていた。店へ向かう間のすっかり見慣れた景色が、なぜか自分を落ち着かせ、なぐさめを与えてくれる気がした。アウェイではなく、故郷のようにここは自分のホームなのだ、と思えたからかもしれない。店の扉を開けると、ざっと店内に目を走らせ、窓辺の席でゆったりとコーヒーを飲んでいるあかりの姿を見出した途端、体の力がすとんと抜けていった。僕はゆっくりと彼女の側に近づいていき、静かに声を掛けた。
「あかり。」
彼女は振り返って僕を見た。そして目を丸くすると笑みも浮かべず、
「どうしたの?」
と言う。僕は意味が分からず問い返した。
「何が?」
「何をそんなにやつれているの?」
「えっ、僕ってやつれている?」
「げっそりって感じね。」
そう言って彼女はポンポンと自分の隣にある椅子を叩くので、僕はそこに素直に腰を落ち着けて言った。
「やつれている、か。そうかもしれない。今小説書きで八方ふさがりになっているから、その辛さが滲み出たのかも。」
「それなら書くのをやめたら?」
「いや、今はどうしても書きたいんだ。」
「なら、仕方ないわ。」
あかりは微かに笑うと、僕から目を逸らして静かにコーヒーを飲んでいた。また彼女特有のだんまりだなと思いながら、なんとなく次の言葉を待っていると、突然こんなことを言い出したのである。
「光、これから私とデートしましょう。」
「エ、今から?」
「私たちも太一さんと奈々さんに負けていられないわ。今こそ本格的に恋愛ごっこを始めるべきだと思うの。」
「フフフ、幼稚園児のおままごとみたいに、仲のいい夫婦、ではなく、カップルを演じるんだね?」
「そうよ。」
「何か元気が出てきたな。よし、行こう。」
「そのフットワークの軽さは、光の長所ね。」
そして僕たちは座席を立ち、レジまで行くと、太一が飛んできて会計をしながら訊ねた。
「二人とも、どこかに行くの?」
「実はね、これからこのあかりさんと、デートなんだ。はっはっはっは。」
僕はそう言い残し、驚いている太一にゆったりと手を振りながら店を出た。あかりは自然な態度で僕と手を組み、隣を歩きながら言った。
「行先はもう決めてあるの。」
「そうか。どこへ行きたいの?」
「水族館。太一さんと奈々さんが感じたことを、私たちも追体験するのよ。」
「悪趣味のような気もするけど、面白そうではある。で、あのどこへでも繋がっている扉は使わないの?」
「より現実感を出すため、今回は一切魔法を使いません。」
「なるほど。」
そして僕とあかりは駅に向かって意気揚々と歩いていった。
とある駅から直結している水族館に、僕らは入っていった。かなり遅めの時刻なのに、まぁまぁ人がいた。ときどき取りつかれたように水槽に張り付いて、ひとりで延々と眺めている人がいたり、スーツ姿のままデートをしているカップルがいたりした。あかりはあまりぱっとしない見栄えの魚を指して、
「これ、何?」
と問うので、僕がうーんと言葉に詰まると、
「光って、何も知らないのね。」
と手厳しく言う。僕は少し怒って言った。
「神様じゃないんだから、何でも知っているわけないじゃないか。隣に説明が書いてあるから、それを読めば分かるだろう。」
「そういえばそうね。自慢じゃないけれど、私、知識の吸収は相当得意なの。」
「そうみたいだね。お利口すぎて時々君が宇宙人じゃないかと思うことがあるよ。」
「その考え、結構いい線いっているかも。」
「えっ、そうなの?」
その時僕らは顔を見合わせて、思わず吹き出した。そして色鮮やかな小魚を眺めながら思った。
(太一と奈々もこんな感じだったのかな。仲良く、楽しげに、ひとつひとつの水槽を見て回って、ささやかな会話をしながら……。)
その考えは温かくも悲しい気分にじんわりと僕の心を染めていくのだった。
頭の中で魚の残像が泳ぎ回る中、水族館を出ると、僕らは夜の街を当てずっぽうに歩き出した。そしてたまたま行き当たった、人気のない小さな公園に入って、ベンチに腰を下ろすと、一息ついた。空を見上げると雲ひとつなく、月すらない。きっと新月なのだろうと僕は考えた。闇の中ですべてがリセットされ、これから満月へと新たな成長が始まるのだ。
「僕は……、いつか作家になれるのかな。」
「光?」
「作家になる夢を諦めるべきなのかな。そして人生をリセットして、新しい方向性でやり直して……。」
「光。」
「ん?」
「人生はリセットできない。人生とは、良いものも悪いものも、すべて積み重ねていくものだわ。」
「じゃあ仮に僕が罪や間違いを犯したら、その汚点は一生消えないんだね?」
「その通りよ。その上に立ち、あなたは存在している。」
「そういうものか。」
僕はずっと見つめていた空の星から視線を逸らして、今度はあかりを見つめた。あかりはまるで母親の反応を窺う子供みたいに僕を見つめ、その姿はどこか純粋で愛らしかった。思わず笑みを浮かべた僕は訊ねた。
「あかり、君にキスしてもいいかな。」
「……。私のことを愛していないでしょう?」
「愛している、という感情とは違うかもしれないけれど、でもとても大切に思っているよ。まるで宝箱みたいにね。」
「確かに私の中からは色々なものが出てくるもの。」
僕はふっと吹き出すと言った。
「その通りだ。君はいつだって正しい。」
その時あかりは、いつもの落ち着いた様子が消え失せて、おどおどしたり、キョロキョロしたりして、僕の方を見まいと努力しているようだった。それでも何とか落ち着きを取り戻すと、自分の手元を見つめつつ、僕に訊ねた。
「恋愛ごっこにキスは必要かしら。」
「あってもいいと思うよ。」
「愛している女性でなくても、キスはできるの?」
「試してみるのも悪くない。」
僕は彼女の手の上に自分の手の平を重ねた。そしてあかりが顔を上げた瞬間、何かに駆られたように唇を重ねた。時が止まった、気がした。その時僕の心の内では温かい源泉が生まれ、その奔流で溢れ返っていた。しばらくそうしてから、どちらからともなく唇を外すと、目を潤ませてあかりは、魚のように口をパクパクしていたが、体をずらして僕に背を向けてから、囁き声で言った。
「光、私に依存してはだめよ。」
「依存?そんなつもりは――。」
「あなたの優しさと、人を信じやすい性格は、欠点でもある。人から何かを与えられたときにあなたは疑うことを知らないの。自分が優しいから、全ての人たちもきっとそうだろうと思っているのね。」
「あかりは何が言いたいんだ?」
「私を、そんなに信じてはだめ。」
「なぜ君を信じてはいけないんだい?」
「愛は幻、だから。」
「愛は幻? そんなことはないだろう。」
「私と光は今幻影を追いかけているの、〈愛〉という名の幻影を。」
「……。」
「なぜなら、幻影はとても美しいものだから。」
あかりによって次から次へと紡ぎ出される言葉に対し、僕は何も言えなかった。言うべき言葉が見つからなかったとも言える。その言葉たちはモザイクみたいで、意味が分からないくせにその裏には、図太い筋が一本通っている気がした。
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