buroguのセカイ

桃青

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ラストシーンの光景

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 空は車窓から見たピンク色から一変して、鮮やかで濃いオレンジ色になっていた。波の音が涼やかに聞こえ、それを時折、海鳥の声が邪魔をした。ぼうっとして、輝く太陽を見つめ、ダイナミズムを感じさせる海をじっと眺めていると、自然を無くして人が生きていくことはできないんだなと、しみじみ思う。人間だって、自然そのものだ。生物だし、死にもするし、死ねば腐りもする。息をしないだけで、たちまち死んでしまう儚いものだ。リアリティである環境が破壊されれば、人が生きていけなくなるのは、至極真っ当な道理なのである。
 今私が感じているものこそ、現実。私と川村さんはブログを始まりとして、夢想に溺れていた。今こそその混乱に、別れを告げるべきだ。
「さようなら、川村さん。さようなら、ブログの世界」
 海に向かって、小さな声で、そう叫んだ。数的涙をこぼしたら、何かが吹っ切れた。日が沈んでゆく。明日から、私は生きていける。確かにそう思えたのは、自然の力が起こした奇跡だったのかもしれない。
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