buroguのセカイ

桃青

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「別れるって、付き合いをやめるってこと? 」
「そう。永遠に」
「……。君にはさ、失望したよ」
「……」
「もっと物分かりのいい女かと思っていた。その年で、少女みたいな屁理屈を振りかざすんだね。男と女の核こそ、性行為だろ。割り切れていないのは、君の方だ」
「―川村さん。あなたの答えは? 」
「俺も言わせてもらう。君みたいな面倒な女は願い下げだって。いつか自分の間違いを後悔する日が来るはずだ。俺は親切―」
「さようなら」
「……」
「今まで、色々ありがとうございました」
 私はそう言い、ぺこりと頭を下げると、川村さんに背を向けた。もう一生見ないであろう、彼の姿。二度と聞くことのないあの声。
(それでいい)
 心の中で静かにそう断言すると、明るさの漂う表通りを目指して、真っ直ぐに歩き始めた。何かを振り払うように、正しさと光を求めながら。それはまるで、祈るような気持ちで―。
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