buroguのセカイ

桃青

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 SNSを否定するつもりはない。いや、すでにあるものを、『ない』と主張しようとする方が、無駄な努力というものだ。ただネットの世界は、既存の世界の成り立ちをどんどん破壊してゆく。悪意も罪の意識もなく、別の何かに変えてゆく。
 その結果、生み出されたぬえの正体を、まだ誰も解明できていない。何となく理解している人はいると思うし、ぬえの扱いにたけている人もいると思うが、ぬえはぬえのまま、意味も、正体も不明だった。

 私の中にも、訳の分からないものがいる。どんなに悟りを開いている人でも、己を百パーセント扱える人はいないし、それはきっと、神などと呼ばれる者から授かったもので、大切にしながら育てていくのが、正しい付き合い方だと思う。
 でも、ネットの中の謎の存在、つまりぬえは―。
 電源さえダウンしないなら、コンピューターの中に、すでに完全な形で存在することができる。血も涙も、生も死もない、論理を基盤にしたストラクチャー。ほぼ無限に全てを吸収しつつ、私達をどこかへ導いてゆく……のか?

 私は再び言った。
「きっきさんに会いたい」
 私の心は叫んでいる。『私は生きている、私は生きている』と。リアルに触れて、もう一度そのことを感じたい。
 


 そうだ、私は生きているのだ。
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