9 / 48
7.
しおりを挟む
私のブログには、毎日五十人から二百五十人程度の人が来る。たま~に、コメントをしてくれる人がいるけれど、ほかのブロガーとの繋がりは皆無だった。自分がしたいことや繋がりたい人達がいて、その目的に沿ってブログを始めたなら、人と知り合っていけるのかもしれないが、私がやっていることは、『ウケる』のさらし首である。誰がそんな人と繋がりたいと思うだろうかと、自分でも思うし、繋がった所で、ダークな話をして、ニヒルに笑うくらいである……。そう思っていた。
だが、ある日。私にメールでコンタクトをとってきた人がいた。私は心から驚いたが、その人が自分のブログを見てくださいと言うので、見てみたら、スナップ写真を中心にアップする、写真がメインのブログをやっている方だった。
それをきっかけに、私たちは互いのブログにコメントしあうようになり、さらにメールをやり取りするようになり、さる日、こんなお誘いが来た。
『よかったら、一緒に街に写真を撮りに行きませんか』
その時には、その人が男性であることも、年齢が三十五歳であることも、工場で働いていることなんかも知っていて、見知らぬ男性と会うのは多少の勇気がいったが、好奇心が勝ち、私はその人と会うことになった。
場所と日程を調整して、生まれて初めてネットで知り合った人と、対面することになったのである。
約束の日、駅前にある指定された店の前で待っていると、背後からいきなり、
「シンシンさん? 」
と、ハンドルネームで呼ばれた。ハッとして振り返ると、すでに送られてきていた見覚えのある顔写真の人物が、そこにいた。私もハンドルネームで訊ねた。
「きっきさん? 」
「そう。自画像、盛っていないんだね。送られた写真のまんまだ」
「きっきさんも。顔を見てすぐ分かりました」
「今日はよろしくお願いします」
「こちらこそ」
「で、これからどうする? 写真を撮りに行くか、どこかの店にでも入って、話をするか―」
「私達の目的は写真です。だから写真から始めましょう」
「よし、分かった。ならこの街をぶらぶら歩いていくか」
「ええ」
だが、ある日。私にメールでコンタクトをとってきた人がいた。私は心から驚いたが、その人が自分のブログを見てくださいと言うので、見てみたら、スナップ写真を中心にアップする、写真がメインのブログをやっている方だった。
それをきっかけに、私たちは互いのブログにコメントしあうようになり、さらにメールをやり取りするようになり、さる日、こんなお誘いが来た。
『よかったら、一緒に街に写真を撮りに行きませんか』
その時には、その人が男性であることも、年齢が三十五歳であることも、工場で働いていることなんかも知っていて、見知らぬ男性と会うのは多少の勇気がいったが、好奇心が勝ち、私はその人と会うことになった。
場所と日程を調整して、生まれて初めてネットで知り合った人と、対面することになったのである。
約束の日、駅前にある指定された店の前で待っていると、背後からいきなり、
「シンシンさん? 」
と、ハンドルネームで呼ばれた。ハッとして振り返ると、すでに送られてきていた見覚えのある顔写真の人物が、そこにいた。私もハンドルネームで訊ねた。
「きっきさん? 」
「そう。自画像、盛っていないんだね。送られた写真のまんまだ」
「きっきさんも。顔を見てすぐ分かりました」
「今日はよろしくお願いします」
「こちらこそ」
「で、これからどうする? 写真を撮りに行くか、どこかの店にでも入って、話をするか―」
「私達の目的は写真です。だから写真から始めましょう」
「よし、分かった。ならこの街をぶらぶら歩いていくか」
「ええ」
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/essay.png?id=5ada788558fa89228aea)
ぼくはヒューマノイド
桃青
現代文学
自分は人間だと思っていたのに、実はロボットだった……。人間になれないロボットの心の葛藤が、固めに、やや哲学的に語られていきます。SF色は強くなく、純粋で真摯な話です。ほぼ朝にアップします。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
六華 snow crystal 5
なごみ
現代文学
雪の街、札幌を舞台にした医療系純愛小説。part 5
沖縄で娘を産んだ有紀が札幌に戻ってきた。娘の名前は美冬。
雪のかけらみたいに綺麗な子。
修二さんにひと目でいいから見せてあげたいな。だけどそれは、許されないことだよね。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
遅れてきた先生
kitamitio
現代文学
中学校の卒業が義務教育を終えるということにはどんな意味があるのだろう。
大学を卒業したが教員採用試験に合格できないまま、何年もの間臨時採用教師として中学校に勤務する北田道生。「正規」の先生たち以上にいろんな学校のいろんな先生達や、いろんな生徒達に接することで見えてきた「中学校のあるべき姿」に思いを深めていく主人公の生き方を描いています。
尖閣~防人の末裔たち
篠塚飛樹
ミステリー
元大手新聞社の防衛担当記者だった古川は、ある団体から同行取材の依頼を受ける。行き先は尖閣諸島沖。。。
緊迫の海で彼は何を見るのか。。。
※この作品は、フィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
※無断転載を禁じます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる