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41.女の子の秘密
しおりを挟む「あなたの彼氏についてはよく知らないけれど、もしかしたら。その人って今、浮気でもしているんじゃないの」
「……。えっ」
「今までの彼らしくない態度が、無意識のうちにオキヨを不安にさせている。自信を必要以上に無くさせている。そんな可能性を考えてしまう私なのだけど」
「う、浮気。彼が」
「ただの可能性よ。でも自分が百二十二キロもあるから、仕方がないと、無理に思おうとしている。
違うでしょ。太っていても、オキヨはオキヨ。そう思えない男と結婚したとしても、幸せはないんじゃないかしら」
台所からコーヒーのおかわりを持ってきたナツは言った。
「私達、肥満系女子は、確かに自分に自信を持ちにくい人が多いっていうのも、あると思いますよ。彼の態度が少し変わったことで、その気持ちが前面に出てきちゃったんじゃあないですか? 」
マリアはさらに言う。
「今の彼の話はひとまず置いておいて、オキヨは結婚したいの? 」
「できたら、したいわ」
「できたら、は余計よ。したいわ、でいいじゃない。いつもたらればで考えるのは、オキヨらしい悪い癖ね」
「……それと似たことを、彼にも言われたの」
ナツはコーヒーのおかわりを注ぎ終わると、よいしょっと座布団に座って言った。
「今、私やマリアさんに話したことを、素直に全部、彼に向かって話してみてはどうでしょうか、オキヨさん」
「ナ、ナツやマリアだから話せたのよ。こんな女々しいこと、彼には……」
「私達、オンナノコじゃないですか。女々しくていいんです。もしそれができないのなら、自分の本当の思いを、素直に彼にぶつけてみる」
「ナツ、どうやって? ああダメ、変なプライドが邪魔をするわ」
「結婚したら、本心を言い合えないまま家庭を作っていくなんて、無理です。それじゃ仮面夫婦まっしぐらだと思います。幸せな結婚がしたいなら、プライドを少し壊してみるのも、悪くないのかも」
マリアはフッと口を挟んだ。
「後はオキヨ次第ね」
オキヨは俯きがちだった顔を上げた。すると目の前には、柔らかい表情でオキヨを見つめるナツとマリアがいる。思わず笑顔になったオキヨは言った。
「分かった。やってみるわ」
三人の話題はいつしか、今自分が夢中になっているものの話に移っていた。男の影がなく、伸び伸び話せるって素晴らしい。男の人といる時の、ちょっと愛、という感じも悪くないが、訳の分からんことを爆笑しながら喋るのが、オンナノコは心から楽しいのである。
男の人に教えたい、女の子の秘密、その一。
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