おんなのこ

桃青

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40.井戸端会議

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「ナツの彼氏は、オンナノコを認めてくれる寛容さのある、男の人なのかしら? 」
「えっと……。彼にはちょっと複雑な事情があって。私、まだ彼に気を使っています。だからそこまでの我がままは言えない感じ」
「まあ、結婚でもしたら、お互いにプライバシーとか言ってられないし、大暴露大会になるもの。化けの皮は剥がれるわ。ときめいて、気を使うなんて可愛い気持ちは、恋愛の最初だけだから、楽しみなさい」
「マリアさん、彼氏はいないのに、まるで分ったようなことを……。理屈だけは立派というか」
「それが私の性格ですから」
 マリアとナツがそうやりあっていると、オキヨは突然、笑いだした。
「ははは、あはは、アッハッハッハ」
「……?」「どうかした、オキヨ? 」
「アハハハ、二人の会話を聞いていたらね、何だか私の、最近の悩みが馬鹿馬鹿しく思えてきてね」
「え、オキヨさんが悩みですか? どんな? 」
 目を丸くしてナツが問いかけると、オキヨは笑いを収めて答えた。
「何で私が、ダイエットを始めたと思う? 」
「痩せたいからじゃないの? 」
 マリアの当たり前すぎる言葉に、オキヨはかぶりを振った。
「もちろん、それもあるけれど、自分に自信を無くしてしまったの」
「自信。そんなもの、私なんて無くしっぱなしよ。仕事の面接に三十も落ちたのよ。それに、モテる気配も全くないし」
「マリアのそれとは、多分少し意味が違うの。彼と結婚について話をしてね」
「結婚。ついにするんですか」
 ナツの驚きの声に、オキヨはぶんぶんと首を横に振った。
「いえ、できないわ。私は結婚できる自信がないの。それはつまり、自分に自信がないってことなのよ。彼からもしプロポーズされたとしても、素直にイエスって言えないのよ、私」
 ナツはちょっと考えに耽ってから言う。
「えー。私だったら、好きな人からそんなこと言われたら、はいって、すぐ言っちゃいそうだけどな」
「それですぐ別れたりするのよね」
 マリアはナツにコーヒーのおかわりを頼みながら、目を閉じて言った。オキヨは俯き加減のまま言う。
「彼のことは好きよ。でも男の人って、百三十キロの女を、好きになれるものかしら? 」
「百二十二キロね」
 マリアは訂正した。
「私、以前はそんなこと、あまりなかったのに、最近は不安で一杯なの。私らしくないわ。私ってこんなに弱かったかしら、とか、このままでいいの、私、とか」
「オキヨ」
「何? マリア」
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