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39.おんなのこバージョン2
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「ね、どう。私、細くなったんじゃないかしら」
目を爛々と輝かせたオキヨの発言に、マリアとナツは難しい顔をして、彼女を眺める。ナツは言った。
「健康について、何か開眼でもしましたか、オキヨさん」
マリアも言う。
「こんなに難しい質問を、ここ最近聞かれたことなんてないわね」
三人は再びナツの家に集結していた。前回の時は三人揃って、バリバリと何かを食べていたが、今は全員無糖のアイスコーヒーを飲んでいる。オキヨはしゅんとして言う。
「私、八キロ痩せたのよ。頑張ったの」
マリアはズズッとコーヒーを啜りながら訊ねる。
「で、オキヨは今何キロなの」
「百二十二キロよ」
「凄いじゃない。でもはっきり言うわ。見た目では、分からないわね、まだ」
ナツは突然、会話に割り込んできた。
「そう言えばマリアさんも痩せてきていません? そんな気がするんですが」
マリアは鼻を鳴らして答える。
「仕事をしていますから。体力を消耗しているのよ。そうしたら自然に、ね」
オキヨは感無量、といった感じで、目を閉じて言う。
「マ・リ・ア・が、し・ご・と」
マリアは言った。
「仕事って、楽しくもつまらなくもないのね。まあ、そんなに大変な仕事場じゃないからかしら」
ナツはちょっと考えてから言う。
「私は、お花とか植物が好きだから、そういった物に囲まれていると思うだけで、嬉しくなっちゃいますけどね。そういえば私、最近彼氏ができました」
「えっ、ナツが」「男の影を全く感じないけれど」
「彼と会う時に、オキヨさんに選んでもらったスカート、はいていったんですよ。私にとっての勝負服です」
オキヨはブンと頷いてから言った。
「ね、私達三人とも、新しい何かに踏み出していない? 私はダイエット、ナツには恋人ができて、マリアは驚くべきことに、仕事よ」
マリアはアイスコーヒーを飲み干してから、片肘をついて言う。
「だからといって、私達が変わったわけじゃないけどね。私達は、オンナノコ、だもの。私がサンリオを好きなことに、変わりはありません」
ナツも言う。
「私、ますますお花が好きになりました。彼との縁を繋いでくれたから、幸福のシンボルのように見えてきて」
オキヨも言った。
「私も服ってか、ファッションは好きなまま。女が女の子していると、何だそれ、みたいな反応をする男の人って、それなりにいるじゃない」
ナツは勢い込んで言う。
「そうそう、あれですよ。自分はアダルトビデオを見たり、変な収集癖があったりするくせに、女の人がネイルしていると、爪剥がせ、みたいなことを言う人。います、います」
マリアはフッと笑みを浮かべ、言った。
「まあ、爪剥がせには私も同感だわ。確かにネイルはキラキラして奇麗よ。でも冷静に見ると、かなり邪魔。缶ジュースのプルトップも開けにくくて、手を使う度に爪に神経持っていかれるなんて、私は耐えられない。爪剥がせ、とまでは思わないけれど、女だから気持ちは分かるし。でも、ま、男の人から見ると、『何で? 』でしょうね」
「女はオンナノコしている時が、最高に幸せなんです、いくつになっても。十才でも、九十才でも、この幸せは奪ってほしくない。そこを生温かい、じゃない、温かい目で見守ってくれる男性には、拍手喝采を送りたいです。私もセクシー女優に惚れていても、何も文句は言いませんから」
そう力説するナツに、マリアは言う。
目を爛々と輝かせたオキヨの発言に、マリアとナツは難しい顔をして、彼女を眺める。ナツは言った。
「健康について、何か開眼でもしましたか、オキヨさん」
マリアも言う。
「こんなに難しい質問を、ここ最近聞かれたことなんてないわね」
三人は再びナツの家に集結していた。前回の時は三人揃って、バリバリと何かを食べていたが、今は全員無糖のアイスコーヒーを飲んでいる。オキヨはしゅんとして言う。
「私、八キロ痩せたのよ。頑張ったの」
マリアはズズッとコーヒーを啜りながら訊ねる。
「で、オキヨは今何キロなの」
「百二十二キロよ」
「凄いじゃない。でもはっきり言うわ。見た目では、分からないわね、まだ」
ナツは突然、会話に割り込んできた。
「そう言えばマリアさんも痩せてきていません? そんな気がするんですが」
マリアは鼻を鳴らして答える。
「仕事をしていますから。体力を消耗しているのよ。そうしたら自然に、ね」
オキヨは感無量、といった感じで、目を閉じて言う。
「マ・リ・ア・が、し・ご・と」
マリアは言った。
「仕事って、楽しくもつまらなくもないのね。まあ、そんなに大変な仕事場じゃないからかしら」
ナツはちょっと考えてから言う。
「私は、お花とか植物が好きだから、そういった物に囲まれていると思うだけで、嬉しくなっちゃいますけどね。そういえば私、最近彼氏ができました」
「えっ、ナツが」「男の影を全く感じないけれど」
「彼と会う時に、オキヨさんに選んでもらったスカート、はいていったんですよ。私にとっての勝負服です」
オキヨはブンと頷いてから言った。
「ね、私達三人とも、新しい何かに踏み出していない? 私はダイエット、ナツには恋人ができて、マリアは驚くべきことに、仕事よ」
マリアはアイスコーヒーを飲み干してから、片肘をついて言う。
「だからといって、私達が変わったわけじゃないけどね。私達は、オンナノコ、だもの。私がサンリオを好きなことに、変わりはありません」
ナツも言う。
「私、ますますお花が好きになりました。彼との縁を繋いでくれたから、幸福のシンボルのように見えてきて」
オキヨも言った。
「私も服ってか、ファッションは好きなまま。女が女の子していると、何だそれ、みたいな反応をする男の人って、それなりにいるじゃない」
ナツは勢い込んで言う。
「そうそう、あれですよ。自分はアダルトビデオを見たり、変な収集癖があったりするくせに、女の人がネイルしていると、爪剥がせ、みたいなことを言う人。います、います」
マリアはフッと笑みを浮かべ、言った。
「まあ、爪剥がせには私も同感だわ。確かにネイルはキラキラして奇麗よ。でも冷静に見ると、かなり邪魔。缶ジュースのプルトップも開けにくくて、手を使う度に爪に神経持っていかれるなんて、私は耐えられない。爪剥がせ、とまでは思わないけれど、女だから気持ちは分かるし。でも、ま、男の人から見ると、『何で? 』でしょうね」
「女はオンナノコしている時が、最高に幸せなんです、いくつになっても。十才でも、九十才でも、この幸せは奪ってほしくない。そこを生温かい、じゃない、温かい目で見守ってくれる男性には、拍手喝采を送りたいです。私もセクシー女優に惚れていても、何も文句は言いませんから」
そう力説するナツに、マリアは言う。
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