おとぎの世界で

再び日常へ

　それから生き物たちは荷物をまとめて、三々五々自分の家へと帰り始めました。賢者たちも一旦集まり、問題は一応解決したと結論を出し、再会を皆で誓ってから、それぞれ目的の場所へ帰ることにしたのでした。私は賢者の皆に別れの挨拶をした後、シュリの元へ行き、彼女に言いました。
「シュリ、この奇跡を起こす葉は、少々私が貰った後、シュリの家に置いていく。天気のいい日に、月の光を浴びさせて乾かすといいよ。そうすれば力が強まる上に、長持ちするから」
「トイ、ありがとう。この草はきっと、これから後も必要になります」
「また、何か起きるかもしれないけれど。この草の力で」
「何も起こらない人生などありませんよ、トイ」
「人は誕生して、死ぬ」
「そうそう、それだけでも、一大イベントです」
　私とシュリは笑い合い、私もシュリに別れを告げて、家へ帰ることにしたのでした。