49 / 57
鼓舞するシュリ
しおりを挟む
「皆さん! 」
シュリの声が響き渡り、ざわざわした空気が一瞬消えて、ピリリと場を支配しました。シュリ様だ、という声があちこちから沸き起こり、シュリは椅子の上に立ち、一段高い所から皆を見下ろして言いました。
「シュリが、シュリがお伝えしたいことがあります! 食事の用意ができました。それと飲み物や、軽いお酒も用意してあります。これからどんどん運んできますので、皆さん召し上がって下さい」
誰かがありがとう! と叫びました。シュリはその声に頷いてから、フッと瞳に真剣な光を宿し、続きを話しました。
「皆さんにお願いがあるのです。さっき、ここにいる者たち全員に、葉を食べてもらったのですが、きっと皆は色々なことを思い出したことと思います。私も食べているので分かりますが、それは未来へと続く、未来に繋がる記憶だったはずです。とても良い気持ちになれたのではないでしょうか」
「そうだけど、今は何だか息詰まるような気持ちだ! 」
誰かがそう叫ぶと、皆がざわざわし始め、そうだな、とか、何でだろう、とか、口々にぼやく声が聞こえてきます。シュリは何と言ってこの場を収めるのか、ハラハラしながら見守っていると、彼女は小さく頷きつつ言いました。
「皆さんは多少なりパニックを起こして、私を頼りにこの家を訪れました。だから私としては自分自身のため、それと周囲にも良い影響を及ぼすため、正しい未来像をしっかり手にしてから、この家を去ってほしいのです。
葉によって引き寄せられたもの。それは未来へと続く道。ここに今、これだけの者がいるのです。皆でそのことを話し合い、未来を掴み取って下さい。他者と話をすることで、己の思いが明確になります。その上、人と繋がることで一体感が増し、さらに自分の潜在的なパワーが花開くことを感じ取れるはずです。その力こそ、未来へ繋がる道なのです。皆さん、どうでしょう? 」
シュリの問いかけに、私も話したいと思っていたのよ、とか、いいじゃないか、とか、望むところだ、といった賛同の声が上がるのを聞いて、私はほっとしました。何よりも感動的だったのが、ここにいる者たちの目が、キラキラ輝きだしたことでした。シュリは側にいるボウイから飲み物の入ったグラスを受け取り、それを高く掲げて、天を見つめ、響き渡る美しい声で、決然と言いました。
「ではこれから、未来を勝ち取るためのパーティを開きます。皆さん、乾杯! 」
シュリの声が響き渡り、ざわざわした空気が一瞬消えて、ピリリと場を支配しました。シュリ様だ、という声があちこちから沸き起こり、シュリは椅子の上に立ち、一段高い所から皆を見下ろして言いました。
「シュリが、シュリがお伝えしたいことがあります! 食事の用意ができました。それと飲み物や、軽いお酒も用意してあります。これからどんどん運んできますので、皆さん召し上がって下さい」
誰かがありがとう! と叫びました。シュリはその声に頷いてから、フッと瞳に真剣な光を宿し、続きを話しました。
「皆さんにお願いがあるのです。さっき、ここにいる者たち全員に、葉を食べてもらったのですが、きっと皆は色々なことを思い出したことと思います。私も食べているので分かりますが、それは未来へと続く、未来に繋がる記憶だったはずです。とても良い気持ちになれたのではないでしょうか」
「そうだけど、今は何だか息詰まるような気持ちだ! 」
誰かがそう叫ぶと、皆がざわざわし始め、そうだな、とか、何でだろう、とか、口々にぼやく声が聞こえてきます。シュリは何と言ってこの場を収めるのか、ハラハラしながら見守っていると、彼女は小さく頷きつつ言いました。
「皆さんは多少なりパニックを起こして、私を頼りにこの家を訪れました。だから私としては自分自身のため、それと周囲にも良い影響を及ぼすため、正しい未来像をしっかり手にしてから、この家を去ってほしいのです。
葉によって引き寄せられたもの。それは未来へと続く道。ここに今、これだけの者がいるのです。皆でそのことを話し合い、未来を掴み取って下さい。他者と話をすることで、己の思いが明確になります。その上、人と繋がることで一体感が増し、さらに自分の潜在的なパワーが花開くことを感じ取れるはずです。その力こそ、未来へ繋がる道なのです。皆さん、どうでしょう? 」
シュリの問いかけに、私も話したいと思っていたのよ、とか、いいじゃないか、とか、望むところだ、といった賛同の声が上がるのを聞いて、私はほっとしました。何よりも感動的だったのが、ここにいる者たちの目が、キラキラ輝きだしたことでした。シュリは側にいるボウイから飲み物の入ったグラスを受け取り、それを高く掲げて、天を見つめ、響き渡る美しい声で、決然と言いました。
「ではこれから、未来を勝ち取るためのパーティを開きます。皆さん、乾杯! 」
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
側妃に追放された王太子
基本二度寝
ファンタジー
「王が倒れた今、私が王の代理を務めます」
正妃は数年前になくなり、側妃の女が現在正妃の代わりを務めていた。
そして、国王が体調不良で倒れた今、側妃は貴族を集めて宣言した。
王の代理が側妃など異例の出来事だ。
「手始めに、正妃の息子、現王太子の婚約破棄と身分の剥奪を命じます」
王太子は息を吐いた。
「それが国のためなら」
貴族も大臣も側妃の手が及んでいる。
無駄に抵抗するよりも、王太子はそれに従うことにした。
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
お馬鹿な聖女に「だから?」と言ってみた
リオール
恋愛
だから?
それは最強の言葉
~~~~~~~~~
※全6話。短いです
※ダークです!ダークな終わりしてます!
筆者がたまに書きたくなるダークなお話なんです。
スカッと爽快ハッピーエンドをお求めの方はごめんなさい。
※勢いで書いたので支離滅裂です。生ぬるい目でスルーして下さい(^-^;
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる