おとぎの世界で

桃青

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決定

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 はっと気がつくと、私は床にうずくまり、ボロボロと涙を零し、大泣きしていました。ふと顔を上げると、シュリが心配そうな顔をして、私を見ています。私はなんとか自分を取り戻しながら、言いました。
「シュリ……」
「トイ、大丈夫ですか? 」
「うん。大丈夫。シュリはどうだった? 」「それが―」
 シュリが口を開くより先に誰かが言いました。
「光だ」
「光がやってきて、私を包んでいきました。とても、とても温かかったです」
「近頃忘れていたような気がするが、確かに今沸き起こった気持ちが、『幸せ』だ」
「先の方に、輝いている何かがあった。あれが未来ですな」
「この草はおそらく、今と未来を繋ぐのでは」
「いや、これは驚きましたな。皆さん、私を見てください」
 灰色のドラゴンの言葉で、皆が彼に目をやると、唖然とせずにはいられませんでした。
 彼の頭上には、可愛らしい角がすくっと生えていたのです。
 彼はなぜかウキウキした様子で、皆に語りました。
「これは嬉しいですな。わたしはずっと、ユニコーンの角に憧れていたのです。あの神々しい角が、まさか私の頭に生えてくるなんて! 自分が新しい何かに進化したような気持ちですよ」
 シュリが皆の気持ちをまとめる発言をしました。
「私たちはあの草によって、カベーが言う所の、新しく輝きだした光を見たのではないでしょうか。つまりそれは、私たちが行き着くべき、『正しい』未来です」
 馬頭の方がぶんぶんと頷きながら、言いました。
「少なくとも悪影響らしきものは、見受けられない。それに我々が今感じている幸福な気持ちは、確かに混乱している者たちを救いますよ」
 そのとき、ガターンと大きな音がして、全員が一斉に窓の外を見ると、激しすぎる雨が降り、さらに窓が割れてしまうような強風が吹いて、私は世界が吹き飛びそうな天気だと思いました。シシが、嵐が来ると予報していたけれど、それが確かに当たったようです。
 仙人のような老人が、厳しい顔をして言いました。
「外にはまだ、多くの者がおるじゃろう。彼らをこの家へ避難させねば。そして皆にこの草を、とりあえず一枚ずつ配って、食べさせる。それで結論ということにしてはどうかの? 」
「異論なし。誰か反対する人はいるでしょうか? 」
 青年の言葉に、皆は沈黙を貫いて肯定を示しました。シュリはそっと手を挙げて、意見を述べました。
「男性の方は、外にいる人たちをどんどんこの家の中へ連れてきてください。女性陣で、家の中にいる悩める者たちに、草を配ります。それでどうでしょう? 」
「異議なし! 」
「そうしましょう」
「決まりだな」
「決まったなら、行動を開始しよう」
「事は急ぐぞ」
 それから賢者たちは、一斉に行動を開始しました。

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