34 / 57
賢者たち
しおりを挟む
返事をして、少年に導かれて家の中へ入ると、様々な生き物たちがリビングで思い思いに時間を潰していました。うろつく者、唸る者、うずくまる者、ぼーっとしている者。前に来たときよりさらに数が増え、とてもシュリ一人の手に負えないような気がします。少年はこの事態に動じることもなく、先を行って、前回も来た大部屋のドアの前に立ち、
「どうぞ」
と言って私を促すので、そっとドアを開けて中に入ると、大きな部屋の中にずらっと楕円型に並べられた椅子に、人や生き物が座り、私を見つめています。どうしたものだろうと私が立ちすくんでいると、聞き慣れた声がしました。
「トイ」
「あ、シュリ」
「こちらに来てください」
「は、はい」
慌ててシュリの元へ行くと、彼女は声を落として私に言いました。
「今、賢者たちの話し合いの途中なのです」
「なら、この方たちは皆、賢者。この世界を導くという……」
「そうです。外の様子を見ましたか? 」
「うん。人や生き物が途方に暮れて、ウロウロしていた―」
「そうなのです。私の力だけではどうすることもできず、賢者たちを招集することにしました。トイも良かったら、そこで私たちの話し合いを聞いていてくれませんか? 」
「分かった」
そこまで二人で話すと、シュリは再び賢者たちと向き合い、声を張ってこう言いました。
「彼女はトイ。私が頼りにしている人です。彼女にも私たちの話し合いを聞いてもらいましょう。では話を続けましょうか」
「どうぞ」
と言って私を促すので、そっとドアを開けて中に入ると、大きな部屋の中にずらっと楕円型に並べられた椅子に、人や生き物が座り、私を見つめています。どうしたものだろうと私が立ちすくんでいると、聞き慣れた声がしました。
「トイ」
「あ、シュリ」
「こちらに来てください」
「は、はい」
慌ててシュリの元へ行くと、彼女は声を落として私に言いました。
「今、賢者たちの話し合いの途中なのです」
「なら、この方たちは皆、賢者。この世界を導くという……」
「そうです。外の様子を見ましたか? 」
「うん。人や生き物が途方に暮れて、ウロウロしていた―」
「そうなのです。私の力だけではどうすることもできず、賢者たちを招集することにしました。トイも良かったら、そこで私たちの話し合いを聞いていてくれませんか? 」
「分かった」
そこまで二人で話すと、シュリは再び賢者たちと向き合い、声を張ってこう言いました。
「彼女はトイ。私が頼りにしている人です。彼女にも私たちの話し合いを聞いてもらいましょう。では話を続けましょうか」
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
あなたの子ですが、内緒で育てます
椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」
突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。
夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。
私は強くなることを決意する。
「この子は私が育てます!」
お腹にいる子供は王の子。
王の子だけが不思議な力を持つ。
私は育った子供を連れて王宮へ戻る。
――そして、私を追い出したことを後悔してください。
※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ
※他サイト様でも掲載しております。
※hotランキング1位&エールありがとうございます!
冷宮の人形姫
りーさん
ファンタジー
冷宮に閉じ込められて育てられた姫がいた。父親である皇帝には関心を持たれず、少しの使用人と母親と共に育ってきた。
幼少の頃からの虐待により、感情を表に出せなくなった姫は、5歳になった時に母親が亡くなった。そんな時、皇帝が姫を迎えに来た。
※すみません、完全にファンタジーになりそうなので、ファンタジーにしますね。
※皇帝のミドルネームを、イント→レントに変えます。(第一皇妃のミドルネームと被りそうなので)
そして、レンド→レクトに変えます。(皇帝のミドルネームと似てしまうため)変わってないよというところがあれば教えてください。
【完結】亡き冷遇妃がのこしたもの〜王の後悔〜
なか
恋愛
「セレリナ妃が、自死されました」
静寂をかき消す、衛兵の報告。
瞬間、周囲の視線がたった一人に注がれる。
コリウス王国の国王––レオン・コリウス。
彼は正妃セレリナの死を告げる報告に、ただ一言呟く。
「構わん」……と。
周囲から突き刺さるような睨みを受けても、彼は気にしない。
これは……彼が望んだ結末であるからだ。
しかし彼は知らない。
この日を境にセレリナが残したものを知り、後悔に苛まれていくことを。
王妃セレリナ。
彼女に消えて欲しかったのは……
いったい誰か?
◇◇◇
序盤はシリアスです。
楽しんでいただけるとうれしいです。
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
夫から国外追放を言い渡されました
杉本凪咲
恋愛
夫は冷淡に私を国外追放に処した。
どうやら、私が使用人をいじめたことが原因らしい。
抵抗虚しく兵士によって連れていかれてしまう私。
そんな私に、被害者である使用人は笑いかけていた……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる