おとぎの世界で

桃青

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変容のとき

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「ここまで運んだからね」
「ありがとう、タイム」
「じゃ、俺は帰る。これからすることがあるんでしょ」
「そうね、色々と。タイムには感謝しているわ、本当に」
「大げさだなあ。じゃ、いくらくれるの?」
「私達、お金で結びつく関係になりたくないの」
「ジョークに決まってるじゃん。じゃあ、またね! 」
「うん、また」
 私はタイムがスキップして森に消えていくのを見届けてから、二つの馬鹿でかい巾着袋を背負って、自分の家の中へ入りました。テーブルの上にどすどすと袋を置くと、室内の色彩が目に飛び込んできます。色彩があることの楽しさを改めて感じ入りながら、私は考えました。
(シュリに、この草を届けないといけないのだけれど……)
(シュリは今、どうなっているのだろうか。この間行ったときも、かなりてんやわんやしていたよね)
(できるだけ早くいった方がいい。それは確か)
 そこまで思考を辿ってから、私は声に出して言いました。
「シシ! 」
「寝てるよ! 」
「起きているじゃない。シシに予言してほしいの」
「任せとけ! 」
「これから天気はどうなる? 」
「ウッシッシッシッ」
「……笑える事態になるの? 」
「嵐! 絶対嵐! すごーく、すごーく」
「嵐ね。そっか……。となると、シュリの家になるたけ早く行った方がいいか」
「大変になるよ! 」
「本当に? ならなおさらだ」
「行け! トイ」
「分かった。なら準備をする」
 私はそう言って、まず雑用をやっつけ始めました。トイレに行ったり、シシの食料をシシの箱の中へ入れたり、やり残していた家事を済ませたり。それから光り輝く草を前にして、一杯だけ青々草のお茶を飲みながら、思考を整理し、バックパックの中身を整えて、深呼吸をしました。そうやって心を定めると、言いました。
「シシ、行ってくる」
「勝手にしろ! 」
「食料はたくさん入れたけど、籠の中に一杯ナッツが入っているから、足りないときはそこから食べるように。お水もボウル一杯に入れたからね。一週間は軽く持つでしょう」
「勝手な奴! 」
「まあね。ただいつ帰ってこられるか分からないんだ。じゃあね」
 そう言葉を残して、私はバックパックを背負い、二つの袋を肩に背負って、再び家から出ました。
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