おとぎの世界で

桃青

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カベーとは

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「カベーは何をしているの」
「よげん」
「予言? 」
「せかいを、みている」
 そう言って私を見つめます。とても小さな黒い目と、苔のような深緑色の肌は、無機質でありながら、強烈な透明感があるのです。思わず私は言葉を繰り返しました。
「世界を、見ている」
「ひかりが、きえる」
「光が消える? 」
「へんかが、おこる」
「変化が起こる」
「うまれ、かわる」
「それって、カベーの予言なの? 」
 私の言葉にシシが相槌を打ちました。
「予言だ! 予言だ! 」
「ひかりがきえたとき、すべてがていしする。そして、また、うごきだす。あたらしくかがやきだした、ひかりにむかって」
「もし世界が停止したなら、その時何が起こるの」
「んーーーーーーーー」
 巨大な声でそう唸ってから、カベーは空を見上げました。私はカベーに手を置き、もう一度、真剣に問いかけました。
「カベー、教えて。停止するってことは、この世界は、終わってしまうの? 」
「それはそれぞれ」
「それぞれ? 」
「おわりはないけど、だめなものはだめ」
「うう、よく分からない」
「ひかりが、だいじ」
「―光が世界を救う鍵? 」
「きりが、きえた。カベーも、きえる」
 そういったカベーは、ズーンと立ち上がり、巨大な体をふらふらと揺らしながら、のしっ、のしっ、と歩いて、野原の中へ吸い込まれるように、姿を消していきました。

 私は野原に座り込み、少々呆然としながら言いました。
「何だか凄いものに出会った。でも光が世界を救うって、具体的にどういうことだろう」
「トイ! 」
「―何、シシ」
「光る草! 見つけろ! 」
「光る草……。ああ、そうか。植物で光を放つものを探すのね。……って、ああ、これは凄い」
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