三年で人ができること

桃青

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47.泣き笑い

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むせび泣くというのではなく、ポロリポロリと涙の粒を零す。その姿がいじらしくて、何とも言えない気分になる。自分まで泣きたくなってしまい、その気持ちを何とか押し殺して言った。
「みのりと知り合えてよかった」
「そんなサヨナラみたいなこと、言わないでよ。楽しい旅の思い出が悲しみで染まっちゃう」
「本当にありがとう」
「だからそういうこと、言わないでって」
 気付いたら、二人で泣きながら、お互いの顔を見合っていた。それからどちらともなく笑い出した。みのりは笑いながら言う。
「バスツアーで吹雪に巻き込まれて、温泉までどうにか来て、宿で泣きながら別れの挨拶をして。何をやっているんだろうね、私達」
「みのり、俺達はまだ、生きている」
「分かっているよ。でも来年のことを考えると……。うあああああ」
「もう泣かないでくれ、みのり。そうか、泣き笑いってこういうことを言うのか」
「それはちょっと違うでしょ」

 涙で心がぐしょぬれになった後、冷えた心を温めるべく、また温泉に浸かることにした。その後に山奥らしいご飯を食べ、話し合い、夜には外に出て、星空だって見た。非日常でありながら平凡な時を、俺は存分に楽しむことができた。
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