三年で人ができること

桃青

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25.なごやLOVE

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 次の日は、熱田神宮と名古屋城、トヨタ産業技術記念館の三か所を巡った。熱田神宮は名古屋のガイドブックで初めて知ったが、かなり有名というか歴史のある所らしく、三種の神器の剣が収められているとか。何というか、まあ、神社。ここで記念に御朱印を書いてもらった。ちなみに伊勢神宮には、三種の神器の鏡が収められている。
 名古屋城は、ザ・観光地、といった感じ。色々な日本の城を見てきたのだが、城の中にエレベーターがあるし、城の屋根は水色で、金のシャチホコが映えているし、ここまでさあ見てくださいと、主張している城はまれだ。何となく名古屋人の気質が見え隠れする気がする。
 で、実は一番面白かった場所が、最後に行ったトヨタ産業技術博物館で、車がずらりと並んでいる光景は、なかなかの圧巻だった。人は少なかったし、のんびりできるし、ロボットが楽器を演奏してくれるし、下手な博物館より、俗っぽくてずっと面白い。見ているだけでも感慨深いし、もっと存在をアピールしてもいいのに、と思った。
 
 全てを巡った後、名古屋駅に出て、おみやげを買うことにした。消え物を中心に、食べ物などをどんどん買い込む。持ってきた折り畳み式のコンパクトなトートバッグをいっぱいにしてから、ようやく満足して、さあ帰ろうと、新幹線のホームに向かったのだった。
 座席に着いて、疲れと満足感でぼんやりしながら、俺の人生って何だろうと思っていた。
楽しむため? 喜ぶため? もしくはそもそも意味なんてない?
 
なら、何で生まれてきた?
 
そんなことをぐるぐると考える。東京駅に着いて、電車を乗り継いで自宅に向かいながら、今回の旅を思い返して、口をついて出た言葉がこれだった。
「みのりに会おう」
 人恋しいのか、無性に彼女に会いたかった。好きだから? それとも依存的な何かなのだろうか。旅のおみやげを渡すことを言い訳に、彼女に会いに行こう、そう思った。自分達の間に存在する距離感が、この恋路に関して否定的な気持ちにさせたが、今はその否定すら、愛おしい気持ちになった。
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