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12.慣れぬ爆買い
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次に見つけたセレクトショップで、ロンTを買うことに決めた。店内には色々な物が置かれている。その全てがハイプライスだ。洋服だけでなく、雑貨やアクセサリー、文房具なんかも置いてあり、配置が絶妙で飽きずに見ていられた。
(楽しいね、こういうお店は。ま、お金が使えるという前提があるなら、だけど)
黒の長袖Tシャツを見つけて値段を確認したら、税抜きで五千円。Tシャツが五千円? と心で叫んだけれど、今日の目的が爆買いであることを忘れてはいけない。
(オッケー、オッケー、予算内。買いましょう、買っていこうじゃないか)
Tシャツを手に取ってから、次に何となく文房具のある所へ行く。
(ノートが必要なんだよね。人生三年の計画を書いたり、日記めいたものを書くことができるやつが欲しい。ここで売っているようないい物を使うのも、悪くないかも)
S、M、Lサイズと、三種類のサイズ展開がされていて、一つ手に取ろうとすると、背の小さいおしゃれな女性店員さんが、話しかけてきた。
「こちらのノートは、日記に最適なんです。密かに売れている商品なんですよ」
「へー、そうですか。どうして日記に向いているのですか? 」
「使用されている紙が特殊で、年月を経ても変色しませんし、薄くて丈夫なんです。サイズも用途に合わせて大きさを選べますし、色もパキッとしていて、可愛いですし」
「確かに。良さそうだな」
そう言ってMサイズの値段を確認すると、二千五百円だった。日頃一冊五十円の百均のノートを使っている俺には、刺激が強すぎる値段だったが、頭の中で禁断の呪文を唱える。
(爆買いだ)
目を瞑り、カッと開眼して、SサイズとMサイズとLサイズの三冊のノートを手に取ってから店員さんを見つめ、言った。
「買います」
「あ、はい。ありがとうございます。Tシャツはご試着されますか? 」
「その方がいいですよね? 」
「そうですね。着てみれば、形がより分かると思いますので」
「じゃ、着てみます」
そう言い残し、フィッティングルームへ向かう。五分後には、目をギラギラさせながら、初めてのセレクトショップから出てくる俺がいた。
(今度こそ爆買い……できているよな? たった三冊のノートだけで、七千円近くも使っているんだぞ? 七千円。一億貰う前の、俺の七日分の食費代。段々金銭感覚がバグってきた。七千円をすでに高く感じない俺がいるんだけど。そんな自分が少し怖くもある)
(まだお金が残っているけれど、今日はお腹いっぱいだ、財布はまた別の日に買いに来る。地下街で食品の爆買いをして、俺は家に帰るんだ。家だ、家。マイスイートホーム)
(楽しいね、こういうお店は。ま、お金が使えるという前提があるなら、だけど)
黒の長袖Tシャツを見つけて値段を確認したら、税抜きで五千円。Tシャツが五千円? と心で叫んだけれど、今日の目的が爆買いであることを忘れてはいけない。
(オッケー、オッケー、予算内。買いましょう、買っていこうじゃないか)
Tシャツを手に取ってから、次に何となく文房具のある所へ行く。
(ノートが必要なんだよね。人生三年の計画を書いたり、日記めいたものを書くことができるやつが欲しい。ここで売っているようないい物を使うのも、悪くないかも)
S、M、Lサイズと、三種類のサイズ展開がされていて、一つ手に取ろうとすると、背の小さいおしゃれな女性店員さんが、話しかけてきた。
「こちらのノートは、日記に最適なんです。密かに売れている商品なんですよ」
「へー、そうですか。どうして日記に向いているのですか? 」
「使用されている紙が特殊で、年月を経ても変色しませんし、薄くて丈夫なんです。サイズも用途に合わせて大きさを選べますし、色もパキッとしていて、可愛いですし」
「確かに。良さそうだな」
そう言ってMサイズの値段を確認すると、二千五百円だった。日頃一冊五十円の百均のノートを使っている俺には、刺激が強すぎる値段だったが、頭の中で禁断の呪文を唱える。
(爆買いだ)
目を瞑り、カッと開眼して、SサイズとMサイズとLサイズの三冊のノートを手に取ってから店員さんを見つめ、言った。
「買います」
「あ、はい。ありがとうございます。Tシャツはご試着されますか? 」
「その方がいいですよね? 」
「そうですね。着てみれば、形がより分かると思いますので」
「じゃ、着てみます」
そう言い残し、フィッティングルームへ向かう。五分後には、目をギラギラさせながら、初めてのセレクトショップから出てくる俺がいた。
(今度こそ爆買い……できているよな? たった三冊のノートだけで、七千円近くも使っているんだぞ? 七千円。一億貰う前の、俺の七日分の食費代。段々金銭感覚がバグってきた。七千円をすでに高く感じない俺がいるんだけど。そんな自分が少し怖くもある)
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