三年で人ができること

〇前置きツー

　俺は親友の塩山晴彦に会いに行く途中だった。晴彦は、小さな店を構えて、そこで占い師の仕事をしており、彼に来年のついての話を聞く……というか、占ってもらうのが、毎年の恒例行事になっている。ケチをつけようのない優等生だったあの男が、びっちりレールに乗って生きていたはずだったのに、気付いたら、こんなフワフワした神託を言う仕事に就いていた。誰がこんな未来を想像したろう。彼の占いは、キーワード並べとでもいうのか、膨大なデータの中から、彼が見つけ出した答えをポンポン並べたり、説明したりして、その中から自分にとってピンと来たものを拾っていくというのが、基本スタイルだった。
（当たっているのかいないのか分からないけれど、晴彦と話して、あいつの言葉を聞くと、すっきりするんだよな）
　そんなことを考えながら、気付くと着いていた駅前ロータリーで、せかせか歩く人達に紛れ、駅に向かい歩いてゆく。自分は良い占い結果が出ても、悪い結果が出ても、毎年がそんなに変わらないことを知っているつもりでいた。もちろん晴彦のことは信頼している。ただ付き合いが長い分、占いで一喜一憂することはあまり意味がないと、俺は悟っていた。今日晴彦に会う前まで、そう思っていたはずだったが―。