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翠玉の章・溺愛√(ハッピーエンド)
カナタの過去、ハナキの過去
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馬車で移動し、かれこれ4日は過ぎた。
アレ以降金鷲の夢は見ない。
馬車で移動し、休憩し、宿場町で宿をとる。
その繰り返しで王都まですぐそこまで迫っていた。
長時間馬車移動は、正直キツイ。
転移陣でスイっと行き来ができるリュートが羨ましくて妬ましい。
思わず泣き言を漏らしたら
カナタ曰く、「アレは一般向けの魔道具ではありません。国宝みたいなものです」
と返される。ロイヤルな方々の専門通路なんですって。
特権階級、すごいね。
移動も4日目にもなると馬にも人にも疲労の色が濃くなってくる。
少し多めに休憩を入れながら向かっていた。
・・・・・・・・
今は森の水辺で小休憩中です。
馬に水を飲ませ休ませ、人間たちも軽食を取る。
私とカナタは皆から少し離れたところに腰を下ろす。
護衛の方の目が届くかつ、2人になれるところをとカナタは連れ出していた。
森の中にある、小さな泉。
湧き出る水は透明で毒性もなさそうだ。
静かで、とても景色が良い。
木が多いところは好きだった。
「いいところだね。孤児院のあるあの森になんか似てる」
「そうですね、孤児院の近くにも水辺がありましたね。」
「うん、よく兄妹達と水遊びして全身ずぶ濡れになったりして、怒られてたよ」
「そんなこともありましたね、一緒に行って、水辺の木に咲く花がほしいと泣くあなたに、私は取ってこようと木に登るのですがですが、足を滑らせ水に落ちてしまって。
ずぶ濡れで帰り叱られるわ、
そのあと熱出したものだから、ハナキは責任感じてまた泣くし。
……て、あなたの中にはまだない記憶でしたかね」
懐かしむ横顔はとても優しくて。
確かに私の中にはない。が、情景は浮かぶようだ。
昔から私はカナタに守ってもらっていたんだね。
「ねえ、もっとカナタのことを教えて。記憶がなくても、聞きたいんだ。」
「もしかしたら、あなたの事も思い出せるのかもしれない、そんな気がして。ダメかな…?」
手に持つサンドイッチを食べる手をとめ、真剣にカナタに訴えて見る。
カナタは意外そうな顔をしつつも、あまり面白い話ではないですよ、と前置きする。
「私は下町のとある女から生まれました。
元はどこかの貴族の屋敷に勤めていて、そこで主人の手つきになったとかで私を身籠りました。」
「しばらくは貧しくともそれなりに幸せに暮らしていましたが、私の力が実現してから、一気にひっくり返りました。」
「祝福ってやつだよね?」
「はい。発現したのは私が4、5歳頃でしょうか。
この力は、制御できないままだと近くのものは誰彼かまわず色と共に感情も流れてくるのです」
頭の中がいつも騒音だらけでおかしくなるかと思いました。と水筒の水を口につけつつカナタは続ける。
相手が心の中の声が問答無用で流れ込んでくる。
知りたくもないことも、知れてしまう力でした。
女も、私を気味の悪い子だと思い始めた」
「女は、日に日に荒れていきました。
子である私に対して、いつも邪魔だ、いっそ死ねばいいと思い続けている事も筒抜けで知ってしまった。」
自分のことなのに他人事のように淡々と語るカナタに、私は言葉をなくしてしまう。
「私を産めば、貴族の庶子だし養育費をもらえるから育ててきたんだと。
しかし、相手の男も最初はのぼせ上がって面倒を見ていても次第に煩わしくなっていったのでしょう。
男からのお金もどんどん減らされていき、女と私は、名実ともに見限られたのです」
横顔が、表情を失っていく。
昔の話だと笑えるほど、簡単ではないだろう。
「そうしてしばらくすると、女は帰ってこなくなった。幼子の私を残して」
「そんな…」
「その後、衰弱して死にかけたところを発見した近所の人に保護されて、あの孤児院に身を寄せることになった、という経緯ですよ」
後に、ご縁がありイグニード夫妻が私を養子に引き取りたいと申し出てくださり、10歳の頃に孤児院をさることになりました」
「私がはいった頃にはもうあなたは居ましたね。赤子の頃に拾われたと聞いています」
「掃いて捨てるほどある、ありきたりな話でしょう? 」
あまり面白い話ではなかったね、と自嘲し、瞳が翳る。
「カナタ……」
私はなんて答えていいのかわからず、言葉を探す。
うまい言葉など出てこない、だから。
「カナタ、私はそばに居るから
そう決めたから」
カナタをギュッと抱きしめた。
言葉にうまくできないから、少しでも伝わればいいな。
そんなふうに願いを込めて、抱きしめる。
カナタは一瞬目を見開いて、そうして優しく細める。
「あなたから抱きついてくれるなんて。
こんな話でもしてみるものですね」
「私には、あなたが必要だよ。
大好き。昔のあなたも、今のあなたも丸ごと抱きしめてあげる」
記憶の蓋はまだ動かない。でも
目の前の彼に愛しさが込み上げてくる。
笑って欲しいと思った。
深く優しい翠玉の瞳を、翳らせて欲しくない。
カナタに回した腕に力を込める。
カナタの腕も私の背に回される.
幸せな圧迫感。
「ハナキ。あなたがいれば私は幸せでいられるんです。
今も昔も。未来にも。ずっと夢を描いていける」
「愛してるじゃ足りない。形容する言葉がない。
あなたがまた私の前に現れて、どれほど嬉しかったか、正しく伝える術が欲しい」
「私の全ては、あなたなんだよ、ハナキ」
掻き抱くように力を込める。
その腕に、カナタの想いが込められているのを感じ、嬉しくなってしまう。
手首の碧石が仄かに光る。
そして、唐突に訪れる白昼夢に意識が持っていかれる私だった。
・・・・・・・・・
森の教会。礼拝堂の観音開きの扉の前で。
目の前にいるのはいつもの少年。
そんな彼の後ろに控えるのは、穏やかで品のいいご夫婦。
「なかないで、ハナ。きっとまた会える」
「うん…絶対だよ。ハナの事、忘れないでね」
翠玉 の瞳の優しい少年。
涙でぐちゃぐちゃな女の子
記憶のカケラ
墨に塗られて埋もれた宝物の記憶。
今までは薄ぼんやり瞳の色だけが強調されていた、少年。
彼の姿から靄が晴れ少年の顔がはっきりと見えた。
泣きそうに笑う、涼しい目元の綺麗な顔立ち。
サラサラの赤みがかった栗毛の、利発そうな少年。
この日がお別れの日だったのだろう。
いつもより上等な服を着て、背筋を伸ばし佇む姿は知らない令息のようで。
「約束するよ、だから……」
私の頭を撫でて、一つの約束を残して。
「……ああ、そうか。そうだったんだ」
また一つ、記憶のパズルがはまっていく。宝物の記憶がより鮮明に彩られ私の中によみがえる。
・・・・・・・・
「ハナキ? 」
「……やっぱりあの夢はあなただったんだね。
『ハナのこと、忘れないでくれた』
カナタの胸に埋まりながら、昔の口調で呟いた。
夢の男の子はカナタなんだろうとは自覚していたが、定かなものはなく。
ぼんやりと重なってた輪郭が確信に変わる。
(弱いはずだね、その瞳に)
ごめんね、カナタ。
「はい……一度も忘れることはありませんでしたよ、あなたとの約束も」
「やっと、果たすことが……」
求めてやまなかったものが、手に届く。
そんな喜びを噛み締める。
その時だった。
アレ以降金鷲の夢は見ない。
馬車で移動し、休憩し、宿場町で宿をとる。
その繰り返しで王都まですぐそこまで迫っていた。
長時間馬車移動は、正直キツイ。
転移陣でスイっと行き来ができるリュートが羨ましくて妬ましい。
思わず泣き言を漏らしたら
カナタ曰く、「アレは一般向けの魔道具ではありません。国宝みたいなものです」
と返される。ロイヤルな方々の専門通路なんですって。
特権階級、すごいね。
移動も4日目にもなると馬にも人にも疲労の色が濃くなってくる。
少し多めに休憩を入れながら向かっていた。
・・・・・・・・
今は森の水辺で小休憩中です。
馬に水を飲ませ休ませ、人間たちも軽食を取る。
私とカナタは皆から少し離れたところに腰を下ろす。
護衛の方の目が届くかつ、2人になれるところをとカナタは連れ出していた。
森の中にある、小さな泉。
湧き出る水は透明で毒性もなさそうだ。
静かで、とても景色が良い。
木が多いところは好きだった。
「いいところだね。孤児院のあるあの森になんか似てる」
「そうですね、孤児院の近くにも水辺がありましたね。」
「うん、よく兄妹達と水遊びして全身ずぶ濡れになったりして、怒られてたよ」
「そんなこともありましたね、一緒に行って、水辺の木に咲く花がほしいと泣くあなたに、私は取ってこようと木に登るのですがですが、足を滑らせ水に落ちてしまって。
ずぶ濡れで帰り叱られるわ、
そのあと熱出したものだから、ハナキは責任感じてまた泣くし。
……て、あなたの中にはまだない記憶でしたかね」
懐かしむ横顔はとても優しくて。
確かに私の中にはない。が、情景は浮かぶようだ。
昔から私はカナタに守ってもらっていたんだね。
「ねえ、もっとカナタのことを教えて。記憶がなくても、聞きたいんだ。」
「もしかしたら、あなたの事も思い出せるのかもしれない、そんな気がして。ダメかな…?」
手に持つサンドイッチを食べる手をとめ、真剣にカナタに訴えて見る。
カナタは意外そうな顔をしつつも、あまり面白い話ではないですよ、と前置きする。
「私は下町のとある女から生まれました。
元はどこかの貴族の屋敷に勤めていて、そこで主人の手つきになったとかで私を身籠りました。」
「しばらくは貧しくともそれなりに幸せに暮らしていましたが、私の力が実現してから、一気にひっくり返りました。」
「祝福ってやつだよね?」
「はい。発現したのは私が4、5歳頃でしょうか。
この力は、制御できないままだと近くのものは誰彼かまわず色と共に感情も流れてくるのです」
頭の中がいつも騒音だらけでおかしくなるかと思いました。と水筒の水を口につけつつカナタは続ける。
相手が心の中の声が問答無用で流れ込んでくる。
知りたくもないことも、知れてしまう力でした。
女も、私を気味の悪い子だと思い始めた」
「女は、日に日に荒れていきました。
子である私に対して、いつも邪魔だ、いっそ死ねばいいと思い続けている事も筒抜けで知ってしまった。」
自分のことなのに他人事のように淡々と語るカナタに、私は言葉をなくしてしまう。
「私を産めば、貴族の庶子だし養育費をもらえるから育ててきたんだと。
しかし、相手の男も最初はのぼせ上がって面倒を見ていても次第に煩わしくなっていったのでしょう。
男からのお金もどんどん減らされていき、女と私は、名実ともに見限られたのです」
横顔が、表情を失っていく。
昔の話だと笑えるほど、簡単ではないだろう。
「そうしてしばらくすると、女は帰ってこなくなった。幼子の私を残して」
「そんな…」
「その後、衰弱して死にかけたところを発見した近所の人に保護されて、あの孤児院に身を寄せることになった、という経緯ですよ」
後に、ご縁がありイグニード夫妻が私を養子に引き取りたいと申し出てくださり、10歳の頃に孤児院をさることになりました」
「私がはいった頃にはもうあなたは居ましたね。赤子の頃に拾われたと聞いています」
「掃いて捨てるほどある、ありきたりな話でしょう? 」
あまり面白い話ではなかったね、と自嘲し、瞳が翳る。
「カナタ……」
私はなんて答えていいのかわからず、言葉を探す。
うまい言葉など出てこない、だから。
「カナタ、私はそばに居るから
そう決めたから」
カナタをギュッと抱きしめた。
言葉にうまくできないから、少しでも伝わればいいな。
そんなふうに願いを込めて、抱きしめる。
カナタは一瞬目を見開いて、そうして優しく細める。
「あなたから抱きついてくれるなんて。
こんな話でもしてみるものですね」
「私には、あなたが必要だよ。
大好き。昔のあなたも、今のあなたも丸ごと抱きしめてあげる」
記憶の蓋はまだ動かない。でも
目の前の彼に愛しさが込み上げてくる。
笑って欲しいと思った。
深く優しい翠玉の瞳を、翳らせて欲しくない。
カナタに回した腕に力を込める。
カナタの腕も私の背に回される.
幸せな圧迫感。
「ハナキ。あなたがいれば私は幸せでいられるんです。
今も昔も。未来にも。ずっと夢を描いていける」
「愛してるじゃ足りない。形容する言葉がない。
あなたがまた私の前に現れて、どれほど嬉しかったか、正しく伝える術が欲しい」
「私の全ては、あなたなんだよ、ハナキ」
掻き抱くように力を込める。
その腕に、カナタの想いが込められているのを感じ、嬉しくなってしまう。
手首の碧石が仄かに光る。
そして、唐突に訪れる白昼夢に意識が持っていかれる私だった。
・・・・・・・・・
森の教会。礼拝堂の観音開きの扉の前で。
目の前にいるのはいつもの少年。
そんな彼の後ろに控えるのは、穏やかで品のいいご夫婦。
「なかないで、ハナ。きっとまた会える」
「うん…絶対だよ。ハナの事、忘れないでね」
翠玉 の瞳の優しい少年。
涙でぐちゃぐちゃな女の子
記憶のカケラ
墨に塗られて埋もれた宝物の記憶。
今までは薄ぼんやり瞳の色だけが強調されていた、少年。
彼の姿から靄が晴れ少年の顔がはっきりと見えた。
泣きそうに笑う、涼しい目元の綺麗な顔立ち。
サラサラの赤みがかった栗毛の、利発そうな少年。
この日がお別れの日だったのだろう。
いつもより上等な服を着て、背筋を伸ばし佇む姿は知らない令息のようで。
「約束するよ、だから……」
私の頭を撫でて、一つの約束を残して。
「……ああ、そうか。そうだったんだ」
また一つ、記憶のパズルがはまっていく。宝物の記憶がより鮮明に彩られ私の中によみがえる。
・・・・・・・・
「ハナキ? 」
「……やっぱりあの夢はあなただったんだね。
『ハナのこと、忘れないでくれた』
カナタの胸に埋まりながら、昔の口調で呟いた。
夢の男の子はカナタなんだろうとは自覚していたが、定かなものはなく。
ぼんやりと重なってた輪郭が確信に変わる。
(弱いはずだね、その瞳に)
ごめんね、カナタ。
「はい……一度も忘れることはありませんでしたよ、あなたとの約束も」
「やっと、果たすことが……」
求めてやまなかったものが、手に届く。
そんな喜びを噛み締める。
その時だった。
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