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翠玉の章・溺愛√(ハッピーエンド)
しばしのお別れ、暗躍する金の鷲
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ミズキの体調も考慮して、名残惜しいがお開きになる。
「ハナキにはこれを。王都で会いましょうね」
ミズキが手渡してくれたのは碧石のついた細いチェーンのブレスレットだ。
「これは?綺麗だね」
「これは思念を交換・共有できる魔道具です。私とあなた専用の通信機、とでも思ってください。
もしも、あなたがわたくしを必要とする時、これを握って私に呼びかけてください。
きっと、力になりますから。
必ずですよ?王都への移動の際は必ず身につけていてくださいね」
しっかりと念を押すミズキに、わたしは頷く。
「離れていてもミズキと繋がってるみたいで、嬉しい。大事にするね、ありがとう」
もらったブレスレットをギュッと握るわたしに、フルフルするミズキ。
「もう、可愛いんだから。ハナキも一緒に連れて帰りたいわ……転移陣同じ顔でも通るの難しいかしら……」
ミズキは私を思わず抱きしめる。
カナタの眉がピクリと少し動いたようなきはするが、それは気づかないフリをする。
「それは色々な意味で無理だと思うよ、ミズキ」
空気を読んで見かねたリュートはそうとりなすが、ミズキはにっこり微笑みお茶を濁す。
「………巫女姫様、ハナキはわたしが責任持って連れて参りますので、王都でお待ちいただければと存じます」
黒い圧のある笑顔で慇懃無礼にミズキに礼をするカナタに、リュートは苦笑いだ。
「うふふ、冗談ですわ。カナタ様に射殺されるのはご免被りたいですもの」
「ねー、カナタってばハナちゃん絡むと激ヤバでしょ?さ、僕たちおじゃま虫は消えなきゃ。駆除されちゃう」
きゃっきゃとはしゃぐロイヤルカップル。
(…この人たちも気安くて仲がいいなぁ。)
楽しそうに軽口を叩き合う姿を見てほっこりする。
そんなこんなで。
リュートはミズキと共に、一足先に転移陣を使って王都に戻ることにきめた。
「事が事だからねぇ、色々根回し作戦会議、必要じゃない? 」
私の存在を一刻も早く確かめないとならない。
その処遇も。
カナタがガッチリ抱え込む気ではいる様だが。
リュートとミズキ、ロイヤルなお方が動かねばスムーズにいかないことも多いのだろう。
カナタもこちらでの仕事はあらかた片付いたので、王都に戻るのは問題ないそうで、
支度ができたら出発する予定である。
わたしの部屋の、溢れる服とかはどうするのかと思ったら、イグニード商会の支店のエミリさんや他メイドさんたちがやってきて、あれよこれよと旅支度を整えてくれた。ありがたい。
あの片っぽだけのイヤリングは、どうしても捨てて置けずに持ってきてしまった。
使えるわけじゃないのに。
気がかりを捨てていくのも忍びなく、もともと持ってた私のリュックにいれた。
慌ただしく帰り支度を始め、敏腕メイドさん達はあっという間にまとめ上げてしまって驚いた。
夜になり、部屋は私とカナタの2人に戻る。
今日も自分の部屋に戻れるわけはなく。
就寝準備も済ませ私はカナタの部屋で過ごしている。
「はあ。今日も濃い1日でした。
ミズキに会えてよかった。一緒にいてくれてありがとね、カナタ」
「いいえ、あなたが嬉しそうでよかったですよ。
…私としては、もう少しあなたの記憶が戻ればよかったのにともどかしい思いではありますが」
ふかふかのベッドに転がりながら、今日の出来事を反芻する。
「そればかりは私もどうにもできないよ」
それはそうですけど、と口を尖らせるカナタの様子は少し子供っぽくて笑ってしまう。
「急ですが、明後日には発てそうですね。なるべく急いで戻らないとならなそうですしね。
……はあ。もう少しゆっくりあなたと過ごしたかったですね」
「けっこう一緒にいたじゃない?なんだかんだで、このまちで過ごす時間は楽しかったよ。」
追い掛けられて、連れ回されて、鬼ごっこして。
…好きな人が出来て。
新しい道ができた。
大変濃い1ヶ月で。
無機質だった私の世界がキラキラと輝いた。
カナタ玻璃の花みたいに、なれたのだろうか。
(だとしたら、嬉しいな)
「ハナキ。恋人同士になってから全然ゆっくりできてません」
そりゃそうだ。昨日今日と忙しかった。
カナタは共寝しながら恨みがましく文句を垂れた。
「王都に帰ったら、やることがありすぎるのは目に見えてます。
こうやって、あなたを抱きしめていられる時間も大幅に削られる…」
背中から私を抱きしめ、私のうなじに顔をうずめる様に抱き寄せる。
「ば、バカじゃないの……もう。
ずっと一緒にいるんでしょ?これからいくらでもできるじゃない」
首筋に感じるカナタの息遣いに心臓が跳ねる。
「へえ?いくらでもしていいんですか?
それはそれは、楽しみですね? 」
首筋に歯をあてるように甘噛みしながら、たいそう楽しげにカナタは煽る。
「ん……そう言う意味じゃな…」
私の非難はカナタの唇に封じられる。
恨みがましく見たところでカナタには通じない。
熱をはらんだ翠玉の瞳に翻弄される。
私はこの目にとても弱い。
「あなたは本当に可愛いね。何度味わっても、足りない。もっともっと、欲しくなる」
私はぐずぐずに溶かされて、熱に当てられまた夢も見ないで落ちていく。
カナタの匂いに、ぬくもりに守られた、幸せな眠りに。
・・・・・・
「…あなたの全部を染めてしまいたいのに、ね」
規則的な寝息を立てるハナキの髪をひとふさ指に絡める。
触れ合いが深くなるほど、カナタの熱を受け止めきれずに気をやる彼女はとても愛い。
ゆっくりでいい、自分の全部を受けとめるには時間がかかるだろうから。
そう思ってはいるが、焦る気持ちも相反する。
カナタの意識に滑り込むのは金鷲だ。
無理強いも、彼女の意識がない中で契るのも本意じゃない。
なるべく近くでハナキに魔力を送り込むようにしているが、いつまた金鷲が出てくるか、気が気ではない。
気を抜くと、ハナキの玻璃の花に金の闇が纏わりつくから。
カナタの魔力は祝福で増幅しているだけで潤沢な方ではなかった。
胎の内から魔力を満たす……契っていない状態だと押し負けるかもしれない。
掻っ攫われてたまるか。
もう誰にも奪わせない。
たった一つの望みを。
常に魔力を供給しているので、疲労もかなり蓄積しているが、ハナキには気付かせないようにしたい。
(私はいつでもカッコつけていたいんだ。ハナの前では。)
金鷲が何者なのかはまだわからない。
執拗にハナキを狙う。
悪夢を見出した時期を思うと、例の事件と関わりがあるに間違いはないが、
どんなに探って洗い出しても、姿が見えてこない。
(私への嫌がらせ、ではなく、初めからハナキが目的だった…?)
(ハナキが刻の巫女姫と関わりがあると気づいたものがいる)
国内か、それ以外か。
その線もなくはない。
因果の糸が集中する。
愛しい眠り姫。
あなたを私の中で護りたい。
あなたを脅かすものは須く、排除すると決めた。
「姿を表せ、金鷲…」
カナタはハナキを腕に抱いたまま、怜悧な刃の様に鋭い視線で、空を睨む。
・・・・・・
「翠玉の君、思ったよりしつこいな。
姫になかなか接触できない。まさか契ったか…? 」
「夢に介入できないなら、方法はまだあるよね。欲しいものは、奪いとるべきだろう?」
「さあ、束の間の幕間は終わりだよ。終章の始まりだ」
黒いローブに身を包む、褐色の肌の青年は、片っぽの翠玉のイヤリングにそっと口付ける。
「姫、会いにいくよ。
君のいる世界は、そこじゃない」
猛禽の金の瞳が獰猛に光る。
ざあっと、吹いた風にフードが捲られる。
現れたのは
危険を孕む魅力に満ちた、艶やかな黒髪に、金の目をした異国情緒溢れるな美青年。
大層美しい金の鷲だった。
「ハナキにはこれを。王都で会いましょうね」
ミズキが手渡してくれたのは碧石のついた細いチェーンのブレスレットだ。
「これは?綺麗だね」
「これは思念を交換・共有できる魔道具です。私とあなた専用の通信機、とでも思ってください。
もしも、あなたがわたくしを必要とする時、これを握って私に呼びかけてください。
きっと、力になりますから。
必ずですよ?王都への移動の際は必ず身につけていてくださいね」
しっかりと念を押すミズキに、わたしは頷く。
「離れていてもミズキと繋がってるみたいで、嬉しい。大事にするね、ありがとう」
もらったブレスレットをギュッと握るわたしに、フルフルするミズキ。
「もう、可愛いんだから。ハナキも一緒に連れて帰りたいわ……転移陣同じ顔でも通るの難しいかしら……」
ミズキは私を思わず抱きしめる。
カナタの眉がピクリと少し動いたようなきはするが、それは気づかないフリをする。
「それは色々な意味で無理だと思うよ、ミズキ」
空気を読んで見かねたリュートはそうとりなすが、ミズキはにっこり微笑みお茶を濁す。
「………巫女姫様、ハナキはわたしが責任持って連れて参りますので、王都でお待ちいただければと存じます」
黒い圧のある笑顔で慇懃無礼にミズキに礼をするカナタに、リュートは苦笑いだ。
「うふふ、冗談ですわ。カナタ様に射殺されるのはご免被りたいですもの」
「ねー、カナタってばハナちゃん絡むと激ヤバでしょ?さ、僕たちおじゃま虫は消えなきゃ。駆除されちゃう」
きゃっきゃとはしゃぐロイヤルカップル。
(…この人たちも気安くて仲がいいなぁ。)
楽しそうに軽口を叩き合う姿を見てほっこりする。
そんなこんなで。
リュートはミズキと共に、一足先に転移陣を使って王都に戻ることにきめた。
「事が事だからねぇ、色々根回し作戦会議、必要じゃない? 」
私の存在を一刻も早く確かめないとならない。
その処遇も。
カナタがガッチリ抱え込む気ではいる様だが。
リュートとミズキ、ロイヤルなお方が動かねばスムーズにいかないことも多いのだろう。
カナタもこちらでの仕事はあらかた片付いたので、王都に戻るのは問題ないそうで、
支度ができたら出発する予定である。
わたしの部屋の、溢れる服とかはどうするのかと思ったら、イグニード商会の支店のエミリさんや他メイドさんたちがやってきて、あれよこれよと旅支度を整えてくれた。ありがたい。
あの片っぽだけのイヤリングは、どうしても捨てて置けずに持ってきてしまった。
使えるわけじゃないのに。
気がかりを捨てていくのも忍びなく、もともと持ってた私のリュックにいれた。
慌ただしく帰り支度を始め、敏腕メイドさん達はあっという間にまとめ上げてしまって驚いた。
夜になり、部屋は私とカナタの2人に戻る。
今日も自分の部屋に戻れるわけはなく。
就寝準備も済ませ私はカナタの部屋で過ごしている。
「はあ。今日も濃い1日でした。
ミズキに会えてよかった。一緒にいてくれてありがとね、カナタ」
「いいえ、あなたが嬉しそうでよかったですよ。
…私としては、もう少しあなたの記憶が戻ればよかったのにともどかしい思いではありますが」
ふかふかのベッドに転がりながら、今日の出来事を反芻する。
「そればかりは私もどうにもできないよ」
それはそうですけど、と口を尖らせるカナタの様子は少し子供っぽくて笑ってしまう。
「急ですが、明後日には発てそうですね。なるべく急いで戻らないとならなそうですしね。
……はあ。もう少しゆっくりあなたと過ごしたかったですね」
「けっこう一緒にいたじゃない?なんだかんだで、このまちで過ごす時間は楽しかったよ。」
追い掛けられて、連れ回されて、鬼ごっこして。
…好きな人が出来て。
新しい道ができた。
大変濃い1ヶ月で。
無機質だった私の世界がキラキラと輝いた。
カナタ玻璃の花みたいに、なれたのだろうか。
(だとしたら、嬉しいな)
「ハナキ。恋人同士になってから全然ゆっくりできてません」
そりゃそうだ。昨日今日と忙しかった。
カナタは共寝しながら恨みがましく文句を垂れた。
「王都に帰ったら、やることがありすぎるのは目に見えてます。
こうやって、あなたを抱きしめていられる時間も大幅に削られる…」
背中から私を抱きしめ、私のうなじに顔をうずめる様に抱き寄せる。
「ば、バカじゃないの……もう。
ずっと一緒にいるんでしょ?これからいくらでもできるじゃない」
首筋に感じるカナタの息遣いに心臓が跳ねる。
「へえ?いくらでもしていいんですか?
それはそれは、楽しみですね? 」
首筋に歯をあてるように甘噛みしながら、たいそう楽しげにカナタは煽る。
「ん……そう言う意味じゃな…」
私の非難はカナタの唇に封じられる。
恨みがましく見たところでカナタには通じない。
熱をはらんだ翠玉の瞳に翻弄される。
私はこの目にとても弱い。
「あなたは本当に可愛いね。何度味わっても、足りない。もっともっと、欲しくなる」
私はぐずぐずに溶かされて、熱に当てられまた夢も見ないで落ちていく。
カナタの匂いに、ぬくもりに守られた、幸せな眠りに。
・・・・・・
「…あなたの全部を染めてしまいたいのに、ね」
規則的な寝息を立てるハナキの髪をひとふさ指に絡める。
触れ合いが深くなるほど、カナタの熱を受け止めきれずに気をやる彼女はとても愛い。
ゆっくりでいい、自分の全部を受けとめるには時間がかかるだろうから。
そう思ってはいるが、焦る気持ちも相反する。
カナタの意識に滑り込むのは金鷲だ。
無理強いも、彼女の意識がない中で契るのも本意じゃない。
なるべく近くでハナキに魔力を送り込むようにしているが、いつまた金鷲が出てくるか、気が気ではない。
気を抜くと、ハナキの玻璃の花に金の闇が纏わりつくから。
カナタの魔力は祝福で増幅しているだけで潤沢な方ではなかった。
胎の内から魔力を満たす……契っていない状態だと押し負けるかもしれない。
掻っ攫われてたまるか。
もう誰にも奪わせない。
たった一つの望みを。
常に魔力を供給しているので、疲労もかなり蓄積しているが、ハナキには気付かせないようにしたい。
(私はいつでもカッコつけていたいんだ。ハナの前では。)
金鷲が何者なのかはまだわからない。
執拗にハナキを狙う。
悪夢を見出した時期を思うと、例の事件と関わりがあるに間違いはないが、
どんなに探って洗い出しても、姿が見えてこない。
(私への嫌がらせ、ではなく、初めからハナキが目的だった…?)
(ハナキが刻の巫女姫と関わりがあると気づいたものがいる)
国内か、それ以外か。
その線もなくはない。
因果の糸が集中する。
愛しい眠り姫。
あなたを私の中で護りたい。
あなたを脅かすものは須く、排除すると決めた。
「姿を表せ、金鷲…」
カナタはハナキを腕に抱いたまま、怜悧な刃の様に鋭い視線で、空を睨む。
・・・・・・
「翠玉の君、思ったよりしつこいな。
姫になかなか接触できない。まさか契ったか…? 」
「夢に介入できないなら、方法はまだあるよね。欲しいものは、奪いとるべきだろう?」
「さあ、束の間の幕間は終わりだよ。終章の始まりだ」
黒いローブに身を包む、褐色の肌の青年は、片っぽの翠玉のイヤリングにそっと口付ける。
「姫、会いにいくよ。
君のいる世界は、そこじゃない」
猛禽の金の瞳が獰猛に光る。
ざあっと、吹いた風にフードが捲られる。
現れたのは
危険を孕む魅力に満ちた、艶やかな黒髪に、金の目をした異国情緒溢れるな美青年。
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