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翠玉の章・共通√
玻璃の花は翠玉の夢を見る。
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森の木々に囲まれた、小さな教会。
度々現れる鮮明な憧憬。
いつもの少年は私の頭を撫でる。
「泣かないで、ハナ。きっとまた会える」
「約束だよ、だから…」
優しく揺れる、緑の瞳。
(翠玉の、瞳…)
一転して場面は変わる。
粗末な小屋で、だけどやっと手に入れた安心できる場所で。
私は何日も帰らぬ人を待ち続けていた。
雨の日も、雪の日も。
不安で押し潰されようとも。
指先が赤くちぎれそうに傷んでも。
笑顔で帰ってくると
信じていたかった。
「行かないで」
「そばにいて」
(私を、おいていかないで。)
・・・・・・・・・・
「ただいま戻りました…て。
ずいぶん遅くなってしまいましたね」
客室のリビングに着くなり、ふう、と襟元を寛げる。
ハナキの姿がないが
自室にいるのはわかっているので問題はない。
最近なら割と部屋に篭らずリビングで「おかえりー」と笑顔で出迎えてくれる。
そんな彼女が可愛くて
どんなに重要で時間のかかる案件だろうと一秒でも早く片付けて帰りたいと気が逸ってしまう。
「流石にこの時間では部屋に戻ってますよね」
商談で取引先との接待があり、いつもより帰宅が遅くなったカナタ。
お酒も入り、好条件でまとまった商談にそこそこに気分も良く、ほろ酔い気分で部屋に帰るが
今日は朝から立て込んでいて顔を合わせていないので、
カナタはハナキ不足に陥っていた。
一目でもハナキの顔を見たいと部屋をノックするが、返事は返らない。
「ハナ、寝ていますか?」
部屋のドアノブを回したら、鍵がかかっていなかった。
「不用心ですね…」
マスターキーで入った前科があることは高い棚に上げながらも、カナタは苦笑する。
「全く。仕方ない方ですね」
少しは気を許してくれたって事なのか、
あるいは諦めたのか。
寝てしまっているなら仕方がないと静かにドアを閉めようとした時、
「…ないで」
ハナキが何か呟いた。
「ハナ、どうしました?」
間接照明に照らされたベッドサイドまで確認に行くと、
返事がなく。ハナキは規則正しい寝息を立てて眠っていた。
(寝言でしたか。)
「おやすみ、良い夢を」
優しい眼差しでハナキの頭を撫でて、去ろうとした時、
ハナキの閉じられた瞳から、涙が一筋流れ落ちた。
「………て」
また一筋。
泣きながら眠る彼女に、カナタは困惑しながらも枕元に腰掛け、様子を伺う。
「泣かないで、ハナキ」
「あなたを脅かすもの全てから、守るから」
頬を伝った冷たいものを、指先で拭う。
(夢の中にも駆けつけられたらいいのに。)
泣きながら眠るハナキの頭を優しく撫でる。
出会った時はゴワゴワで、薄汚れていた髪色も
今では指通りもよく、輝く様な艶を保持する薄桃色に。
カサカサだった肌艶も血色もよくなり、幾分かふっくらして健康的な魅力に溢れて。
湯浴みや餌付けは確実に効果が出ている。
このまま健やかに過ごしてもらいたい。
しばらく頭を撫で続けていると
涙が途切れ、口元が緩む。
なんとも平和な寝顔に戻ったところで
カナタもホッとする。
かわいいな、
愛しいなと。
守りたいと希う
その気持ちに嘘はないが
相反してまた泣かれてしまうかもしれない。寧ろ泣かせたい。
口にするのも厭われるような欲望も胸を占める。
オモテもウラも。カナタの全部でハナキを想っている。
「私の全ては、ハナキのものだ。
カケラでも伝わればいいのに。」
記憶がなくても、
約束を思い出せなくても。
好きになってはもらえないだろうか。
「…好きだよ、ハナキ。
私を選んで…」
(ムニャムニャ。もう食べられないよ…)
眠っている彼女には聞こえていないのはわかっているのに。
確信が持てなくて、曖昧なままでいる自分は男らしくはない。
拒絶されるのが怖い。無茶苦茶な方法で縛り付けているのも自信のなさの現れで。
「すみません、離してあげられなくて」
自嘲し、カナタは自室に戻ろうと腰を上げようとした。
その時
ガバっ!
「えっ!?」
天地がひっくり返ったかと思う衝撃。
ハナキがカナタの腰をガッチリ捕まえてくる。
「おかえり、…さん…」
まだ夢の中のようだ。
私のことは普段は『さん』付けでは呼ばないし、誰を出迎えてるんだ。と夢に嫉妬しかけるカナタだったが。
「ハナキ、ちょっと、離し…」
「もう、おいてかない…で…」
ぐっ、と胸を突き上げる。
誰にむけてかは定かじゃない。
ハナキの半生は別れが多いものだったのだろう。
「ええ、ずっと一緒に」
抱きついてきたハナキの髪を撫でると
にへらっと子供のように笑ったかと思うと、スースー寝息を立て始めた。
カナタを離さないとばかりに締め上げた腕はなかなか解けず。
「私の気も知らないで…困った人だ」
カナタの忍耐の夜が幕を上げる。
・・・・・・・
ちゅんちゅん、小鳥の囀りと共に朝の光が窓から差し込む。
瞼を柔らかく刺激する光に、意識は浅瀬まで浮上する。
あったかくて、気持ちいい。
安心できる匂いに包まれて、
真っ黒の闇は私を追いかけては来なかった。
私を置いて行ったおじさんに、また会えた。
生きていてくれたんだ。
緑の瞳が優しい、あの人。
(あれ…おじさんの目、緑だったっけ…?)
大きな手が私を撫でてくれた。
場面はいつもの『夢』
森の小さな教会に移る。
のだが…
「泣かないで、ハナ。」
「ーーー好きだよ、ハナキ。私を選んでーーー」
「笑ってよ、ハナ。
大きくなったら絶対ーーー」
「ーーー私の全ては、ハナキのものだ。
ひとカケラでも伝われば良いのに……」
翠玉の瞳の男の子と
悪夢を祓う優しい声が重なって…
意識が光の方に浮き上がり、私は薄ぼんやり目を開ける。
「すごく幸せな夢をみた…ような」
うーん、と体を伸ばそうとしたが、動かない。
ふんわり、嗅ぎ慣れてきたオーデコロンの香り。
「…それは良かった。おはようございます。」
目の前に、うっすら疲れた翠玉が私を映している。
間近にある綺麗な顔を認識するのにちょっと時間がかかってしまった。
目の下にクマがある…
「な、なんで…??」
「昨夜は大変情熱的な夜でしたね、お嬢さん?」
ふわぁ、とあくびをしながら気怠げにカナタは笑いかけた。
「ななななな、なんかした?」
「なんかしたのはあなたの方ですよ。
おねだり上手なお嬢さん?」
「嘘でしょ?えっ」
情熱的ってなんだ。衣服の乱れはないし、カナタも仕事着のスーツのまんまだ。
特段体に痛みも変化もない。
スーツ?
「………」
自分がやらかしたかもしれない。という思いも頭を擡げる。
一気に血の気が引く音がした。
「あの、カナタさん。これは、一体どういう状態なのでしょうか…」
隣のカナタに恐る恐る状況説明を求める私なのだった。
「……聞きたい?」
にっ、と悪魔のような笑みを浮かべたのはいうまでもない。
とんでもないことをしでかしたと気づくのは、もうすぐ。
私は戦々恐々と沙汰を待つ罪人の心が理解できた気がするのだった。
度々現れる鮮明な憧憬。
いつもの少年は私の頭を撫でる。
「泣かないで、ハナ。きっとまた会える」
「約束だよ、だから…」
優しく揺れる、緑の瞳。
(翠玉の、瞳…)
一転して場面は変わる。
粗末な小屋で、だけどやっと手に入れた安心できる場所で。
私は何日も帰らぬ人を待ち続けていた。
雨の日も、雪の日も。
不安で押し潰されようとも。
指先が赤くちぎれそうに傷んでも。
笑顔で帰ってくると
信じていたかった。
「行かないで」
「そばにいて」
(私を、おいていかないで。)
・・・・・・・・・・
「ただいま戻りました…て。
ずいぶん遅くなってしまいましたね」
客室のリビングに着くなり、ふう、と襟元を寛げる。
ハナキの姿がないが
自室にいるのはわかっているので問題はない。
最近なら割と部屋に篭らずリビングで「おかえりー」と笑顔で出迎えてくれる。
そんな彼女が可愛くて
どんなに重要で時間のかかる案件だろうと一秒でも早く片付けて帰りたいと気が逸ってしまう。
「流石にこの時間では部屋に戻ってますよね」
商談で取引先との接待があり、いつもより帰宅が遅くなったカナタ。
お酒も入り、好条件でまとまった商談にそこそこに気分も良く、ほろ酔い気分で部屋に帰るが
今日は朝から立て込んでいて顔を合わせていないので、
カナタはハナキ不足に陥っていた。
一目でもハナキの顔を見たいと部屋をノックするが、返事は返らない。
「ハナ、寝ていますか?」
部屋のドアノブを回したら、鍵がかかっていなかった。
「不用心ですね…」
マスターキーで入った前科があることは高い棚に上げながらも、カナタは苦笑する。
「全く。仕方ない方ですね」
少しは気を許してくれたって事なのか、
あるいは諦めたのか。
寝てしまっているなら仕方がないと静かにドアを閉めようとした時、
「…ないで」
ハナキが何か呟いた。
「ハナ、どうしました?」
間接照明に照らされたベッドサイドまで確認に行くと、
返事がなく。ハナキは規則正しい寝息を立てて眠っていた。
(寝言でしたか。)
「おやすみ、良い夢を」
優しい眼差しでハナキの頭を撫でて、去ろうとした時、
ハナキの閉じられた瞳から、涙が一筋流れ落ちた。
「………て」
また一筋。
泣きながら眠る彼女に、カナタは困惑しながらも枕元に腰掛け、様子を伺う。
「泣かないで、ハナキ」
「あなたを脅かすもの全てから、守るから」
頬を伝った冷たいものを、指先で拭う。
(夢の中にも駆けつけられたらいいのに。)
泣きながら眠るハナキの頭を優しく撫でる。
出会った時はゴワゴワで、薄汚れていた髪色も
今では指通りもよく、輝く様な艶を保持する薄桃色に。
カサカサだった肌艶も血色もよくなり、幾分かふっくらして健康的な魅力に溢れて。
湯浴みや餌付けは確実に効果が出ている。
このまま健やかに過ごしてもらいたい。
しばらく頭を撫で続けていると
涙が途切れ、口元が緩む。
なんとも平和な寝顔に戻ったところで
カナタもホッとする。
かわいいな、
愛しいなと。
守りたいと希う
その気持ちに嘘はないが
相反してまた泣かれてしまうかもしれない。寧ろ泣かせたい。
口にするのも厭われるような欲望も胸を占める。
オモテもウラも。カナタの全部でハナキを想っている。
「私の全ては、ハナキのものだ。
カケラでも伝わればいいのに。」
記憶がなくても、
約束を思い出せなくても。
好きになってはもらえないだろうか。
「…好きだよ、ハナキ。
私を選んで…」
(ムニャムニャ。もう食べられないよ…)
眠っている彼女には聞こえていないのはわかっているのに。
確信が持てなくて、曖昧なままでいる自分は男らしくはない。
拒絶されるのが怖い。無茶苦茶な方法で縛り付けているのも自信のなさの現れで。
「すみません、離してあげられなくて」
自嘲し、カナタは自室に戻ろうと腰を上げようとした。
その時
ガバっ!
「えっ!?」
天地がひっくり返ったかと思う衝撃。
ハナキがカナタの腰をガッチリ捕まえてくる。
「おかえり、…さん…」
まだ夢の中のようだ。
私のことは普段は『さん』付けでは呼ばないし、誰を出迎えてるんだ。と夢に嫉妬しかけるカナタだったが。
「ハナキ、ちょっと、離し…」
「もう、おいてかない…で…」
ぐっ、と胸を突き上げる。
誰にむけてかは定かじゃない。
ハナキの半生は別れが多いものだったのだろう。
「ええ、ずっと一緒に」
抱きついてきたハナキの髪を撫でると
にへらっと子供のように笑ったかと思うと、スースー寝息を立て始めた。
カナタを離さないとばかりに締め上げた腕はなかなか解けず。
「私の気も知らないで…困った人だ」
カナタの忍耐の夜が幕を上げる。
・・・・・・・
ちゅんちゅん、小鳥の囀りと共に朝の光が窓から差し込む。
瞼を柔らかく刺激する光に、意識は浅瀬まで浮上する。
あったかくて、気持ちいい。
安心できる匂いに包まれて、
真っ黒の闇は私を追いかけては来なかった。
私を置いて行ったおじさんに、また会えた。
生きていてくれたんだ。
緑の瞳が優しい、あの人。
(あれ…おじさんの目、緑だったっけ…?)
大きな手が私を撫でてくれた。
場面はいつもの『夢』
森の小さな教会に移る。
のだが…
「泣かないで、ハナ。」
「ーーー好きだよ、ハナキ。私を選んでーーー」
「笑ってよ、ハナ。
大きくなったら絶対ーーー」
「ーーー私の全ては、ハナキのものだ。
ひとカケラでも伝われば良いのに……」
翠玉の瞳の男の子と
悪夢を祓う優しい声が重なって…
意識が光の方に浮き上がり、私は薄ぼんやり目を開ける。
「すごく幸せな夢をみた…ような」
うーん、と体を伸ばそうとしたが、動かない。
ふんわり、嗅ぎ慣れてきたオーデコロンの香り。
「…それは良かった。おはようございます。」
目の前に、うっすら疲れた翠玉が私を映している。
間近にある綺麗な顔を認識するのにちょっと時間がかかってしまった。
目の下にクマがある…
「な、なんで…??」
「昨夜は大変情熱的な夜でしたね、お嬢さん?」
ふわぁ、とあくびをしながら気怠げにカナタは笑いかけた。
「ななななな、なんかした?」
「なんかしたのはあなたの方ですよ。
おねだり上手なお嬢さん?」
「嘘でしょ?えっ」
情熱的ってなんだ。衣服の乱れはないし、カナタも仕事着のスーツのまんまだ。
特段体に痛みも変化もない。
スーツ?
「………」
自分がやらかしたかもしれない。という思いも頭を擡げる。
一気に血の気が引く音がした。
「あの、カナタさん。これは、一体どういう状態なのでしょうか…」
隣のカナタに恐る恐る状況説明を求める私なのだった。
「……聞きたい?」
にっ、と悪魔のような笑みを浮かべたのはいうまでもない。
とんでもないことをしでかしたと気づくのは、もうすぐ。
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