76 / 83
その後
76 久しぶりの。
しおりを挟む
同棲後は泊まりがけの共同依頼に来客もパラパラあり、忙しくて夜にまとまった時間が取れない日が続いた。
ラウリーの体力の問題もあるが、セルジュと普通に一緒に寝るだけで満たされていたのも大きい。
だが折角恋人と同棲しているのだから、がっつりシたい。そして今日、ようやく面倒な新人たちが片付いた。
補佐ではあるがロイやクルトを更に尊敬してしまうほどには、新人指導にはかなり神経を使った。
スノウ狙いのネコとそのネコに惚れていたタチは、オイデンにいる資格を取り消された。
指導の邪魔になっていたのが主な理由で、やる気なしとみなされた。
ネコは仕事よりもタチを探すことに執着しているし、それをタチが妨害して二人は今も揉めている。
オイデンで受け入れられる冒険者の人数には限りがある。色恋優先で狩りに興味がない冒険者に、オイデンに留まる資格はない。
魔法が出来ないフリをしていたネコは、実力不足としてこちらも資格を取り消された。
男を漁りたいだけなら、普通に長期滞在の観光客としてオイデンに出入りすればいいだけだ。
どちらも紹介した指定ギルドの面子を潰したから、表向きはなくても裏でそれなりの待遇があるだろう。
また冒険者としてオイデンに来る可能性は、ほぼない。何の為に来たのかよくわからない人たちだった。
変態は一応育成システムに組み込まれることにはなったが、その育成からラウリーとスノウは外れた。
誰かが共闘してくれないとその後がないが、タチからは嫌がられているしネコからは嫌われているらしい。
ネコから愛されているスノウを痩せさせたのが、ネコから大きな反感を買う原因になったようだった。
どうするかは本人次第だが、共闘相手を見つからなければ前の拠点に戻った方が稼げる。
目が死んでいたタチだけが、オイデンに優しく迎えられる結果となった。彼は今先輩たちと組めるように、ビシバシ指導されている。
既に共闘相手も紹介されていて、魔法が苦手らしいのでラウリーもそのうち共闘することになるだろう。
スノウは依頼が終わっただけでも大分楽になったようで、まずは体を戻すようにと言われている。
痩せたスノウを心配した人たちが結束しているらしいので、そのうち元気になるだろう。モナカがライバルが多過ぎると文句を言っていたが。
「ラウリーさん、隣いいですか?」
スノウとモナカ、セルジュの四人で飯を食べていたら、普通に変態がやって来た。楽しい食事の時間が、一瞬で剣呑な雰囲気に変わった。
「断わる」
「えっ!?」
驚かれる意味がラウリーにはわからなかった。
「新人指導の共同依頼はもう終わったから、俺がお前の面倒を見る理由はなくなった」
「え、でも……」
「でももクソもない」
その言葉を最後に、ラウリーは完全に変態を無視した。
今までは望まれれば飯を一緒に食っていたし、多少のお触りも我慢していた。けれどもう我慢する理由がない。
不快だという意思表示は常にしていた。それでも不快なことを続けてきた変態に、優しくする理由もない。
この時たまたま飯屋に居合わせた人たちは、ラウリーの本気の拒絶を知って肝が冷えた。
普段でも目線だけで人を殺せそうだったが、あれはほぼ通常モードだったのだと改めて理解した。
「おい、突っ立ってないでどっか行けよ。邪魔だ」
誰にでも優しいスノウがそう言い、同じく優しいモナカが手でしっしと追い払う仕草をする。
誰とでも友好的なセルジュでさえ、変態を一瞥もせずに普通にラウリーとの会話を再開させた。
こいつ終わったなと飯屋にいる誰もが思った。
スノウもモナカもセルジュも、交友関係が広い。ラウリーは親しい友人は少ないが、慕われてはいる。
しかもラウリーは住人人気が異常なほどに高い。あっという間に町中に噂が広がるだろう。
変態はこの場から立ち去るしか無かった。
「やっとすっきりしたな?」
セルジュの言葉にラウリーはきつくなっていた視線を緩めた。
「マジでもう、関わりたくない」
「関わらないでいいだろ」
「そうだよ」
その後は四人で楽しく食事をした。それからは狩りも通常に戻り、ギルドもいつもの雰囲気を取り戻した。
そして二人はようやく纏まった休みを同時に取ることが出来た。二人共二連休。よく働いた。
「流石に気疲れしたわ」
「だな。俺も」
「セルジュでも疲れるの?」
「疲れた。ラウの癒しが足りない」
「へぇ?」
「ヤろ?」
二連休だからと、早めに戻れたラウリーが食材の買い物は多めにしておいた。疲れもあるし明日でいいかなと思っていたのだが。
「ヤるか」
敢えてにやりと笑ってから抱き寄せて口づけをした。
セルジュが慌てたようにラウリーを抱えて部屋に連れ込んで服を脱がすので、ちょっと笑いそうになった。
「逃げねぇよ」
「わかってるけど、なんか」
それだけシたいと思ってくれていることも嬉しいが、性欲の強いセルジュが今まで我慢していたのだと思うとついにやけてしまう。
ラウリーの体力の問題もあるが、セルジュと普通に一緒に寝るだけで満たされていたのも大きい。
だが折角恋人と同棲しているのだから、がっつりシたい。そして今日、ようやく面倒な新人たちが片付いた。
補佐ではあるがロイやクルトを更に尊敬してしまうほどには、新人指導にはかなり神経を使った。
スノウ狙いのネコとそのネコに惚れていたタチは、オイデンにいる資格を取り消された。
指導の邪魔になっていたのが主な理由で、やる気なしとみなされた。
ネコは仕事よりもタチを探すことに執着しているし、それをタチが妨害して二人は今も揉めている。
オイデンで受け入れられる冒険者の人数には限りがある。色恋優先で狩りに興味がない冒険者に、オイデンに留まる資格はない。
魔法が出来ないフリをしていたネコは、実力不足としてこちらも資格を取り消された。
男を漁りたいだけなら、普通に長期滞在の観光客としてオイデンに出入りすればいいだけだ。
どちらも紹介した指定ギルドの面子を潰したから、表向きはなくても裏でそれなりの待遇があるだろう。
また冒険者としてオイデンに来る可能性は、ほぼない。何の為に来たのかよくわからない人たちだった。
変態は一応育成システムに組み込まれることにはなったが、その育成からラウリーとスノウは外れた。
誰かが共闘してくれないとその後がないが、タチからは嫌がられているしネコからは嫌われているらしい。
ネコから愛されているスノウを痩せさせたのが、ネコから大きな反感を買う原因になったようだった。
どうするかは本人次第だが、共闘相手を見つからなければ前の拠点に戻った方が稼げる。
目が死んでいたタチだけが、オイデンに優しく迎えられる結果となった。彼は今先輩たちと組めるように、ビシバシ指導されている。
既に共闘相手も紹介されていて、魔法が苦手らしいのでラウリーもそのうち共闘することになるだろう。
スノウは依頼が終わっただけでも大分楽になったようで、まずは体を戻すようにと言われている。
痩せたスノウを心配した人たちが結束しているらしいので、そのうち元気になるだろう。モナカがライバルが多過ぎると文句を言っていたが。
「ラウリーさん、隣いいですか?」
スノウとモナカ、セルジュの四人で飯を食べていたら、普通に変態がやって来た。楽しい食事の時間が、一瞬で剣呑な雰囲気に変わった。
「断わる」
「えっ!?」
驚かれる意味がラウリーにはわからなかった。
「新人指導の共同依頼はもう終わったから、俺がお前の面倒を見る理由はなくなった」
「え、でも……」
「でももクソもない」
その言葉を最後に、ラウリーは完全に変態を無視した。
今までは望まれれば飯を一緒に食っていたし、多少のお触りも我慢していた。けれどもう我慢する理由がない。
不快だという意思表示は常にしていた。それでも不快なことを続けてきた変態に、優しくする理由もない。
この時たまたま飯屋に居合わせた人たちは、ラウリーの本気の拒絶を知って肝が冷えた。
普段でも目線だけで人を殺せそうだったが、あれはほぼ通常モードだったのだと改めて理解した。
「おい、突っ立ってないでどっか行けよ。邪魔だ」
誰にでも優しいスノウがそう言い、同じく優しいモナカが手でしっしと追い払う仕草をする。
誰とでも友好的なセルジュでさえ、変態を一瞥もせずに普通にラウリーとの会話を再開させた。
こいつ終わったなと飯屋にいる誰もが思った。
スノウもモナカもセルジュも、交友関係が広い。ラウリーは親しい友人は少ないが、慕われてはいる。
しかもラウリーは住人人気が異常なほどに高い。あっという間に町中に噂が広がるだろう。
変態はこの場から立ち去るしか無かった。
「やっとすっきりしたな?」
セルジュの言葉にラウリーはきつくなっていた視線を緩めた。
「マジでもう、関わりたくない」
「関わらないでいいだろ」
「そうだよ」
その後は四人で楽しく食事をした。それからは狩りも通常に戻り、ギルドもいつもの雰囲気を取り戻した。
そして二人はようやく纏まった休みを同時に取ることが出来た。二人共二連休。よく働いた。
「流石に気疲れしたわ」
「だな。俺も」
「セルジュでも疲れるの?」
「疲れた。ラウの癒しが足りない」
「へぇ?」
「ヤろ?」
二連休だからと、早めに戻れたラウリーが食材の買い物は多めにしておいた。疲れもあるし明日でいいかなと思っていたのだが。
「ヤるか」
敢えてにやりと笑ってから抱き寄せて口づけをした。
セルジュが慌てたようにラウリーを抱えて部屋に連れ込んで服を脱がすので、ちょっと笑いそうになった。
「逃げねぇよ」
「わかってるけど、なんか」
それだけシたいと思ってくれていることも嬉しいが、性欲の強いセルジュが今まで我慢していたのだと思うとついにやけてしまう。
0
お気に入りに追加
34
あなたにおすすめの小説
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜
・不定期
【完結】ここで会ったが、十年目。
N2O
BL
帝国の第二皇子×不思議な力を持つ一族の長の息子(治癒術特化)
我が道を突き進む攻めに、ぶん回される受けのはなし。
(追記5/14 : お互いぶん回してますね。)
Special thanks
illustration by おのつく 様
X(旧Twitter) @__oc_t
※ご都合主義です。あしからず。
※素人作品です。ゆっくりと、温かな目でご覧ください。
※◎は視点が変わります。
オッサン、エルフの森の歌姫【ディーバ】になる
クロタ
BL
召喚儀式の失敗で、現代日本から異世界に飛ばされて捨てられたオッサン(39歳)と、彼を拾って過保護に庇護するエルフ(300歳、外見年齢20代)のお話です。
精霊の港 飛ばされたリーマン、体格のいい男たちに囲まれる
風見鶏ーKazamidoriー
BL
秋津ミナトは、うだつのあがらないサラリーマン。これといった特徴もなく、体力の衰えを感じてスポーツジムへ通うお年ごろ。
ある日帰り道で奇妙な精霊と出会い、追いかけた先は見たこともない場所。湊(ミナト)の前へ現れたのは黄金色にかがやく瞳をした美しい男だった。ロマス帝国という古代ローマに似た巨大な国が支配する世界で妖精に出会い、帝国の片鱗に触れてさらにはドラゴンまで、サラリーマンだった湊の人生は激変し異なる世界の動乱へ巻きこまれてゆく物語。
※この物語に登場する人物、名、団体、場所はすべてフィクションです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる