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変化編
68 おまけ:とある冒険者B
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自分なら大丈夫だと思って噂を気にせずロットへ行き、心が折れる出来事がありスルカに戻った。
皆にほら見ろと思われていると思うと、居心地が悪かった。けれど金を失ったので仕事をしなければならない。Bには冒険者しか出来なかった。
そんな時に現れたのがラウリーだった。ラウリーはロットから戻って来た俺に、教えを乞うた。
その視線に蔑みはない。ラウリーが普通の奴なら、頼られたことが嬉しくて無償で教えていただろう。
それくらい心が弱って自信を失っていた。けれどラウリーは美しかった。
Bはラウリーを蹂躙してその顔を歪ませたいと思った。だからあんな対価を要求した。
「抱かせてくれるなら教えてやるよ」
「……わかった。変な性癖はないだろうな?」
「! ねぇよ。出戻りで今相手がいないだけだ」
嘘だ。その綺麗な顔を歪ませたい。
ラウリーにはまずロットの現状を話した。反応は薄いが、誰かに話したかったのかBは饒舌だった。
そして対価に宿に連れ込んだ。勃たないかもしれないと多少の恐怖心はあったが、問題は無かった。
ラウリーは初めてではないようで歪むことはなかったが、とてもアナルの具合が良かった。
久しぶりだったしすぐにイってしまい、もっとと思ったが断られた。
「最初の段階で、何発もやらせるかよ」
Bはラウリーに夢中になった。熱心に様々なことを教えるようになった。
何度でも何回でも何時間でもラウリーを抱きたい。その一心で親切に何でも丁寧に教えた。
Bはタチとしての自信を取り戻し、毎回どうやってラウリーをイかせようかとばかり考えていた。
けれどロットにそこまで長く居れなかったBが持つ情報は少ない。それにラウリーは冒険者として優秀だった。
あっという間に教えることがなくなり、あまり抱かせてもらえなくなったが強引に友人枠として居座った。
「相手がいないから、溜まってただけなんだよ」
「ふーん?」
後から幾らか言い訳はしたものの、反応は芳しくなかった。
「冗談半分だったんだよ。断わられたら普通に金をもらおうと思ってた」
Bは自然と嘘が幾らでも吐き出せるようになっていた。
「なぁ、ロットは危ない。考え直す気はないか?」
「ないね」
「なぁ、」
「ないよ。俺は行く」
Bはラウリーと共に行く勇気さえ持てず、ラウリーがどうやったらスルカに残るかばかりを考えていた。
けれどラウリーは旅立った。その後にBもラウリーも嫌がらせを受けていたことを知った。
抱けと言って来た同じ職員を拒絶した為に、俺たちは必要な情報を知る事が出来ていなかった。
今行かなくても、もうじきロットの状況は改善される。それを知っていたならラウリーも留まっていただろう。
ラウリーに知らせたいが、今のロットには手紙を送っても無駄だと知っていた。
無事にオイデンへ行って欲しいような、Bと同じく心が折れて戻って来て欲しいような複雑な気持ち。
けれどずるいBは、ラウリーが心が折れて戻って来ることを願っていた。そうすれば幾らでも慰められる。
戻ってくればまた抱ける。ラウリーをBがいないと生きられないと言うまで、依存させたかった。
静かな吐息混じりの嬌声と薄っすらと上気したラウリーの頬が、今も脳裏に焼き付いて離れない。
四か月ほど経った時。
嫌がらせで情報を渡さなかった職員が解雇された。あの職員は金持ちの家の奴で、誰も逆らえなかった。
だから情報を集めたら、オイデンから告発があったとのことだった。それでBは気が付いた。
僅かな期間で無事にラウリーはオイデンに行ったのだ、と。
あの時自分が勇気を出して一緒に行っていれば、今は一緒にオイデンに居たのだろうか。
ロットはギルド長が変わり、同時に多くの冒険者が集まった。
そこにはもちろんBもいた。オイデンへラウリーを追いかけ、プロポーズするつもりだった。
待っていて欲しいと手紙を送るつもりだったが、ラウリーに手紙は届かないと知った。
オイデンに辿り着くような冒険者には、顔見知り程度でもお近付きになろうと大量の手紙が届く。
だからオイデンではギルド経由での手紙の受取りをしていなかった。Bはラウリーの居所を知らない。
だから待っていてくれるのを、ただひたすらに願うしかなかった。
Bはオイデンへの紹介状をもらうべく努力はした。けれど周囲との実力差に愕然とした。
何人もの冒険者が、Bより先にオイデンへ行くことが決まった。
その冒険者に手紙を託そうかとも思ったが、それがラウリーと知り合うきっかけになるのは嫌だった。
受け入れが始まれば、オイデンにはロットからの冒険者がいる。だからBは貯めた金で観光客として行った。
オイデンで見たラウリーは、Bと一緒にいた時よりも何倍も楽しそうで。
隣にはタチだと思う男がいた。その男の目にはラウリーしか映っていなかった。
呆然とラウリーを見るしか出来なくなったBに気が付いたその男は、ちらりとBを見た。
けれどその視線もすぐに外された。ライバルにさえならないと言われたような気持になった。
ラウリーはオイデンで既に中堅入りしていると知り、ラウリーに声をかけることなく戻った。
やる気も薄れてしまったBはロットでオイデンへ行く冒険者を見るのも嫌になり、ルートから外れた拠点に移った。
彼の冒険者としての道はここまで。
皆にほら見ろと思われていると思うと、居心地が悪かった。けれど金を失ったので仕事をしなければならない。Bには冒険者しか出来なかった。
そんな時に現れたのがラウリーだった。ラウリーはロットから戻って来た俺に、教えを乞うた。
その視線に蔑みはない。ラウリーが普通の奴なら、頼られたことが嬉しくて無償で教えていただろう。
それくらい心が弱って自信を失っていた。けれどラウリーは美しかった。
Bはラウリーを蹂躙してその顔を歪ませたいと思った。だからあんな対価を要求した。
「抱かせてくれるなら教えてやるよ」
「……わかった。変な性癖はないだろうな?」
「! ねぇよ。出戻りで今相手がいないだけだ」
嘘だ。その綺麗な顔を歪ませたい。
ラウリーにはまずロットの現状を話した。反応は薄いが、誰かに話したかったのかBは饒舌だった。
そして対価に宿に連れ込んだ。勃たないかもしれないと多少の恐怖心はあったが、問題は無かった。
ラウリーは初めてではないようで歪むことはなかったが、とてもアナルの具合が良かった。
久しぶりだったしすぐにイってしまい、もっとと思ったが断られた。
「最初の段階で、何発もやらせるかよ」
Bはラウリーに夢中になった。熱心に様々なことを教えるようになった。
何度でも何回でも何時間でもラウリーを抱きたい。その一心で親切に何でも丁寧に教えた。
Bはタチとしての自信を取り戻し、毎回どうやってラウリーをイかせようかとばかり考えていた。
けれどロットにそこまで長く居れなかったBが持つ情報は少ない。それにラウリーは冒険者として優秀だった。
あっという間に教えることがなくなり、あまり抱かせてもらえなくなったが強引に友人枠として居座った。
「相手がいないから、溜まってただけなんだよ」
「ふーん?」
後から幾らか言い訳はしたものの、反応は芳しくなかった。
「冗談半分だったんだよ。断わられたら普通に金をもらおうと思ってた」
Bは自然と嘘が幾らでも吐き出せるようになっていた。
「なぁ、ロットは危ない。考え直す気はないか?」
「ないね」
「なぁ、」
「ないよ。俺は行く」
Bはラウリーと共に行く勇気さえ持てず、ラウリーがどうやったらスルカに残るかばかりを考えていた。
けれどラウリーは旅立った。その後にBもラウリーも嫌がらせを受けていたことを知った。
抱けと言って来た同じ職員を拒絶した為に、俺たちは必要な情報を知る事が出来ていなかった。
今行かなくても、もうじきロットの状況は改善される。それを知っていたならラウリーも留まっていただろう。
ラウリーに知らせたいが、今のロットには手紙を送っても無駄だと知っていた。
無事にオイデンへ行って欲しいような、Bと同じく心が折れて戻って来て欲しいような複雑な気持ち。
けれどずるいBは、ラウリーが心が折れて戻って来ることを願っていた。そうすれば幾らでも慰められる。
戻ってくればまた抱ける。ラウリーをBがいないと生きられないと言うまで、依存させたかった。
静かな吐息混じりの嬌声と薄っすらと上気したラウリーの頬が、今も脳裏に焼き付いて離れない。
四か月ほど経った時。
嫌がらせで情報を渡さなかった職員が解雇された。あの職員は金持ちの家の奴で、誰も逆らえなかった。
だから情報を集めたら、オイデンから告発があったとのことだった。それでBは気が付いた。
僅かな期間で無事にラウリーはオイデンに行ったのだ、と。
あの時自分が勇気を出して一緒に行っていれば、今は一緒にオイデンに居たのだろうか。
ロットはギルド長が変わり、同時に多くの冒険者が集まった。
そこにはもちろんBもいた。オイデンへラウリーを追いかけ、プロポーズするつもりだった。
待っていて欲しいと手紙を送るつもりだったが、ラウリーに手紙は届かないと知った。
オイデンに辿り着くような冒険者には、顔見知り程度でもお近付きになろうと大量の手紙が届く。
だからオイデンではギルド経由での手紙の受取りをしていなかった。Bはラウリーの居所を知らない。
だから待っていてくれるのを、ただひたすらに願うしかなかった。
Bはオイデンへの紹介状をもらうべく努力はした。けれど周囲との実力差に愕然とした。
何人もの冒険者が、Bより先にオイデンへ行くことが決まった。
その冒険者に手紙を託そうかとも思ったが、それがラウリーと知り合うきっかけになるのは嫌だった。
受け入れが始まれば、オイデンにはロットからの冒険者がいる。だからBは貯めた金で観光客として行った。
オイデンで見たラウリーは、Bと一緒にいた時よりも何倍も楽しそうで。
隣にはタチだと思う男がいた。その男の目にはラウリーしか映っていなかった。
呆然とラウリーを見るしか出来なくなったBに気が付いたその男は、ちらりとBを見た。
けれどその視線もすぐに外された。ライバルにさえならないと言われたような気持になった。
ラウリーはオイデンで既に中堅入りしていると知り、ラウリーに声をかけることなく戻った。
やる気も薄れてしまったBはロットでオイデンへ行く冒険者を見るのも嫌になり、ルートから外れた拠点に移った。
彼の冒険者としての道はここまで。
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