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変化編
44 共同依頼。
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寒いからセルジュにくっついて寝たら温かいだろうなとは思ったけれど、無理だと諦めていた。
それがモナカのお陰で実現可能なことになった。すっぽりと収まるとやはり温かい。よく眠れそうだ。
ただ二人のどうでもいい争いは続いている。昨日イき過ぎてやや残る疲れを完全に回復させたいラウリーとしては、今日は早く寝たかった。
「モナが俺に抱かれたらいいんだ!」
「スノウが俺に抱かれたらいいんだよ?」
しばらくセルジュと二人で静かにしていたが、二人の争いに終わりは見えなかった。だがラウリーは寝たい。
「……これ以上騒ぐなら、壁の外で二人で抱き合って寝ろ」
不機嫌を隠さなかったラウリーの言葉に、二人は大人しく抱き合って寝ることにしたようだった。静かになって気持ち良く寝た。
翌朝目が覚めると、半分くらいセルジュが上に乗っていた。顔が真横にあるが、よくされているので驚くことは何もない。
ラウリーの頭を抱えている手をトントンとしてから持ち上げると、セルジュは寝たままでも上からどいてくれる。
「ふぎゅっ……」
モナカがセルジュにくっついて寝ていたようで、寝返りをうたれて下敷きになっていた。
しかもモナカは両腕ごとがっちりスノウに背中から抱き込まれていた。動けないのかもがいている。
多分だが、モナカはスノウのことを特別に好いていると思う。特別というのは恋人になりたいという意味で。
スノウがラウリーに過剰なスキンシップをしていると、怖い顔で引き剥がしに来る。あれは嫉妬だと思う。
でもその時に睨むのがラウリーではなくてスノウなのが、ラウリー的にはかなり好感度が高かった。
ネコに一方的に絡まれて触られている時でも、ラウリーを睨んでくるタチは多かった。
根拠はそれだけではないけれど、多分そう。スノウもモナカのことは好きだと思うが、こちらは特別な好きかは微妙な感じ。
モナカがタチだから、考えたこともない的な雰囲気を感じる。でもずっと一緒には居たそうな感じっていう。親友か、恋人か……。
「ふっ、ぐっ」
モナカの呼吸がそろそろ限界そうなので、ラウリーがセルジュの腕を掴んでひっくり返し下敷きから解放した。
「はーっ、はーっ。空気が上手い。ラウリーありがとぉ。死ぬとこだった」
「どういたしまして」
二人共がタチだから拗れているだけで、どちらかがネコならとっくに恋人になっている気がする。
それくらいに二人はいつも一緒で、仲が良い。モナカがスノウにがっちり抱き着かれていることに気が付いて、動揺している様が面白い。
「離せよ、スノウ!」
「んん~」
朝勃ちしていたらしいスノウがアレをモナカの尻にぐりぐり押し付けたことで、キレたモナカに頭突きをお見舞いされている。
モナカに好意があってもなくても、駄目なやつ。
「何で殴るんだよ~」
自分がしたことをわかっていないらしいスノウが、またモナカに抱き着こうとして逃げられている。
まだ寝ぼけているのだろう。オイデンに来る前には考えられないほど、緩くて平和な朝の始まりだ。
狩りでは完全に目がイっているモナカが狩りまくっていた。今回はあまり熊がいなくて良かった。
いればいるだけ狩っただろうが、午後にはオイデンへ戻るので狩り過ぎると解体が大変過ぎる。
今朝の出来事を含めたモナカのストレス発散だと思う。スノウがいつも通り過ぎて余計にストレスなのだろう。
何となくだけれど、心の中でだけモナカを応援した。
「モナ、解体頑張れよ~」
「わかってるよ!」
解体は大変だったが、とても平和なままオイデンへ戻った。
「また一緒に行こうねぇ」
「またな~」
この四人で狩りに行くのは、ラウリーも好きだった。気を遣わなくていいし、二人共性格が良い。
冒険者仲間というのが、本来はこういうものなのだとわからせてくれる。まぁあちらは一部拗らせているが。
夕飯後、二人はそそくさと飯屋から移動していった。今から今日のネコを探しに行くのだろう。
それはモナカ的にはどんな気持ちなのだろうと思いつつ、ラウリーもセルジュの誘いに乗った。
泊まりで行く共同依頼の時は、翌日を休みにしておくことが多い。
昨日はぐっすり眠れたので明日もソロに出ても良かったが、休むことも大事だ。
セルジュとだと体の休みになるかは微妙なところだが、気持ち的には満足するので問題はない。
それに最近セルジュの様子がおかしいので、気になるというのもある。
何も言っては来ないけれど、事後にご満悦な顔をしているのでまぁ大丈夫なのだろうとは思う。
むらむらが収まらないことに悩んででもいるのだろうか? 二日連続でセルジュに包まれて寝た。
信頼関係が出来ているからか熟睡できるので、悪くない。
信頼できる仲間が出来て、狩りも順調にこなせている。ある意味先が見えて来たとも言える。
オイデンの先にあるのは中央都市。各地方にあるオイデンのようなギルドから選ばれた冒険者だけが行ける。
中堅冒険者として扱われ、見込みがあればギルド長から声がかかると聞いているがラウリーにはない。
早めに声をかけ、みっちりと必要な経験を積ませてくれると聞いている。何かが足りないのだとしても、ラウリーはそれが何か知りたかった。
そろそろ直接ギルド長に聞いてみてもいいかもしれない。
それがモナカのお陰で実現可能なことになった。すっぽりと収まるとやはり温かい。よく眠れそうだ。
ただ二人のどうでもいい争いは続いている。昨日イき過ぎてやや残る疲れを完全に回復させたいラウリーとしては、今日は早く寝たかった。
「モナが俺に抱かれたらいいんだ!」
「スノウが俺に抱かれたらいいんだよ?」
しばらくセルジュと二人で静かにしていたが、二人の争いに終わりは見えなかった。だがラウリーは寝たい。
「……これ以上騒ぐなら、壁の外で二人で抱き合って寝ろ」
不機嫌を隠さなかったラウリーの言葉に、二人は大人しく抱き合って寝ることにしたようだった。静かになって気持ち良く寝た。
翌朝目が覚めると、半分くらいセルジュが上に乗っていた。顔が真横にあるが、よくされているので驚くことは何もない。
ラウリーの頭を抱えている手をトントンとしてから持ち上げると、セルジュは寝たままでも上からどいてくれる。
「ふぎゅっ……」
モナカがセルジュにくっついて寝ていたようで、寝返りをうたれて下敷きになっていた。
しかもモナカは両腕ごとがっちりスノウに背中から抱き込まれていた。動けないのかもがいている。
多分だが、モナカはスノウのことを特別に好いていると思う。特別というのは恋人になりたいという意味で。
スノウがラウリーに過剰なスキンシップをしていると、怖い顔で引き剥がしに来る。あれは嫉妬だと思う。
でもその時に睨むのがラウリーではなくてスノウなのが、ラウリー的にはかなり好感度が高かった。
ネコに一方的に絡まれて触られている時でも、ラウリーを睨んでくるタチは多かった。
根拠はそれだけではないけれど、多分そう。スノウもモナカのことは好きだと思うが、こちらは特別な好きかは微妙な感じ。
モナカがタチだから、考えたこともない的な雰囲気を感じる。でもずっと一緒には居たそうな感じっていう。親友か、恋人か……。
「ふっ、ぐっ」
モナカの呼吸がそろそろ限界そうなので、ラウリーがセルジュの腕を掴んでひっくり返し下敷きから解放した。
「はーっ、はーっ。空気が上手い。ラウリーありがとぉ。死ぬとこだった」
「どういたしまして」
二人共がタチだから拗れているだけで、どちらかがネコならとっくに恋人になっている気がする。
それくらいに二人はいつも一緒で、仲が良い。モナカがスノウにがっちり抱き着かれていることに気が付いて、動揺している様が面白い。
「離せよ、スノウ!」
「んん~」
朝勃ちしていたらしいスノウがアレをモナカの尻にぐりぐり押し付けたことで、キレたモナカに頭突きをお見舞いされている。
モナカに好意があってもなくても、駄目なやつ。
「何で殴るんだよ~」
自分がしたことをわかっていないらしいスノウが、またモナカに抱き着こうとして逃げられている。
まだ寝ぼけているのだろう。オイデンに来る前には考えられないほど、緩くて平和な朝の始まりだ。
狩りでは完全に目がイっているモナカが狩りまくっていた。今回はあまり熊がいなくて良かった。
いればいるだけ狩っただろうが、午後にはオイデンへ戻るので狩り過ぎると解体が大変過ぎる。
今朝の出来事を含めたモナカのストレス発散だと思う。スノウがいつも通り過ぎて余計にストレスなのだろう。
何となくだけれど、心の中でだけモナカを応援した。
「モナ、解体頑張れよ~」
「わかってるよ!」
解体は大変だったが、とても平和なままオイデンへ戻った。
「また一緒に行こうねぇ」
「またな~」
この四人で狩りに行くのは、ラウリーも好きだった。気を遣わなくていいし、二人共性格が良い。
冒険者仲間というのが、本来はこういうものなのだとわからせてくれる。まぁあちらは一部拗らせているが。
夕飯後、二人はそそくさと飯屋から移動していった。今から今日のネコを探しに行くのだろう。
それはモナカ的にはどんな気持ちなのだろうと思いつつ、ラウリーもセルジュの誘いに乗った。
泊まりで行く共同依頼の時は、翌日を休みにしておくことが多い。
昨日はぐっすり眠れたので明日もソロに出ても良かったが、休むことも大事だ。
セルジュとだと体の休みになるかは微妙なところだが、気持ち的には満足するので問題はない。
それに最近セルジュの様子がおかしいので、気になるというのもある。
何も言っては来ないけれど、事後にご満悦な顔をしているのでまぁ大丈夫なのだろうとは思う。
むらむらが収まらないことに悩んででもいるのだろうか? 二日連続でセルジュに包まれて寝た。
信頼関係が出来ているからか熟睡できるので、悪くない。
信頼できる仲間が出来て、狩りも順調にこなせている。ある意味先が見えて来たとも言える。
オイデンの先にあるのは中央都市。各地方にあるオイデンのようなギルドから選ばれた冒険者だけが行ける。
中堅冒険者として扱われ、見込みがあればギルド長から声がかかると聞いているがラウリーにはない。
早めに声をかけ、みっちりと必要な経験を積ませてくれると聞いている。何かが足りないのだとしても、ラウリーはそれが何か知りたかった。
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