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変化編
43 路線変更?
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部屋に着くと普通にまずは携帯食の準備をした。思っていたより手間がかかっていてびっくりした。
ナッツにドライフルーツ、蜂蜜を入れたりして、長持ちさせる為に生地の中にある水分を少なくする。
「まぁでも実際には、すぐ食べる分もあるから全部が全部カラカラにする必要はないけどな」
「確かに。携帯食って必ず持って行くけど、何もないのがいいことだし結局普通に食べること多いもんな」
「そうそう。店のは長持ち重視だから飽きるんだろ」
さて。携帯食はオーブンの中だ。セルジュとしてはラウリーと日常会話を弾ませたい気持ちもあるが。
わざわざ長くヤれるようにとお誘い頂いたのに、ここで会話を弾ませようとするのも違う気がする。
体だけの関係からちゃんとした友人になりたいが、今じゃない。多分。
「どーしたんだ? やっぱり体調悪いんじゃないのか?」
いつもなら直ぐに押し倒すのに、ちょっと考えていたら言われた。ラウリーのイメージ的にもセルジュはいつもそうだったのだろう。
単にラウリーのことで頭が一杯なだけで、体調は本当に悪くはない。
「えー、押し倒していいですか?」
「何だよ、それ」
心底不思議そうな顔をされて、心の中で咽び泣いた。今までの俺が酷い。有難く押し倒すけど。
「まっ、話したくなったら話せよ」
何か悩みがあると思われたっぽい。ある意味悩みはあるが、今は時期尚早な気がするので言わない。
いつもと同じを意識するものの、好きな相手を抱くのと発散は違う。
完全にいつもと違う抱き方をして誘われなくなるのは嫌だけれど、意識してしまえば同じには出来なかった。
「何かいつもと違う?」
「……ねちっこくしようと思って」
「いつもそうだろ……?」
誤魔化そうとしたが何も誤魔化せなかった。体からでも堕としたいのでいつも以上に頑張ったら、ラウリーがデロデロになっていた。満足だ。
泣いているのを落ち着かせている時もそうだったが、落ち着いてからも愛おしくてぎゅうっと抱きしめた。
「むらむらが収まる気配、ないんじゃないの……?」
「……ラウにはいつもむらむらする」
「なん、だよ急に」
「ラウはいつもエロいし、内は凄くイイし、たまらん。何度でも出来る」
「いや、俺が死ぬわ」
「……性格も、好き」
思い切って言ったのに、プイっとされた。耳がほんのり赤い。これは脈ありだと思いたいが残念ながら違う。
単に真正面から好意を示され慣れていなくて、照れているのだ。可愛い。
外では言ってもほぼ無反応だが、二人だけの時だとすぐに赤くなるのもグッとくる。だから二人だけの時にはよく言うようにしている。
ラウリーは元から警戒心が強くて、人間関係は慎重。南側では周囲の人に恵まれなかったのがわかる。
発散相手に選ばれただけでも多少自信を持ってもいいはずだが、選ばれたのはセルジュだけではないと思う。
セルジュとするのは週に一度か二度で、大体ラウリーの休みの前日にがっつりすることが多い。
休みの前日以外は加減しているが、最初の頻度で考えるとセルジュとの合間に誰かを挟んでいると思うのだ。
多分ラウリーの発散頻度は週に二度か三度。互いに別の人と組んで狩りに行っている日に挟んでいる。
相手は多分アランかスノウ。アランはラウリーをよく見ていて、その目が惚れている目に感じるからだ。
ただスノウならああ見えて慎重だから、抱いていたらスキンシップはしないと思う。逆に他の人と差を付けない為にやっている可能性もあるが。
セルジュは毎日でも平気だが、ラウリーはイき過ぎると腰にダメージが残るからこその頻度だと思う。
合間に他の人を挟まなくてもセルジュがちゃんと加減してするのに、と思ってしまう。
翌朝。共同依頼が始まった。道中もスノウがベタベタするのでむっとするが、顔には出さない。
到着後軽く狩りをして解体した後は宿営地で一泊なのだが、夜になると冷えて来た。屋根と壁がある簡易の足付き台で毛布にくるまる。
「寒い。セルジュに引っ付いて寝ようかなぁ」
モナカがそう言ってセルジュの右に陣取ると、なるほどとばかりにラウリーが左側に来た。何この拷問。
抱きしめたいんですが。モナカがスノウを自分側に引っ張ったので、ラウリーが寒そうだから抱きしめたい。
「体温は高い方だけど、俺も寒い。セルジュの上に乗っかりたい」
スノウがアホなことを言いだした。
「アホなこと言うなよ。俺がセルジュにくっ付いて、スノウを抱きしめてあげるよ」
モナカがそう言ってスノウを抱きしめようとして、スノウとどちらが抱きしめるのかの攻防を始めた。
「いや絶対に抱きしめられた方があったかいって」
「いやでも抱きしめた方が寝やすそうだし」
わちゃわちゃしている横で、この流れならセルジュも言っていいのではと考えてしまう。
ラウリーも無言で二人を見ている。いける? いっちゃ駄目?
「どっちでもよくね?」
「「駄目だ!」」
心底不思議そうなラウリーに、二人が反論した。
「じゃあ、俺はラウリーを抱きしめて寝るわ」
「待て。それなら俺がラウリーを抱きしめる!」
「いや、それなら俺が!」
「モナは俺より寒がりなんだから、それだと意味がないだろ?」
「……」
スノウとモナカのズレた言い争いに呆れた目を向けたラウリーは、何も言わずにセルジュの懐に収まって来た。
ああ、幸せ。わざとらしく大袈裟にぎゅっとする。
「さっさと決めて寝ろよ」
セルジュにすっぽり収まっているのに、発言は強くて可愛い。
ナッツにドライフルーツ、蜂蜜を入れたりして、長持ちさせる為に生地の中にある水分を少なくする。
「まぁでも実際には、すぐ食べる分もあるから全部が全部カラカラにする必要はないけどな」
「確かに。携帯食って必ず持って行くけど、何もないのがいいことだし結局普通に食べること多いもんな」
「そうそう。店のは長持ち重視だから飽きるんだろ」
さて。携帯食はオーブンの中だ。セルジュとしてはラウリーと日常会話を弾ませたい気持ちもあるが。
わざわざ長くヤれるようにとお誘い頂いたのに、ここで会話を弾ませようとするのも違う気がする。
体だけの関係からちゃんとした友人になりたいが、今じゃない。多分。
「どーしたんだ? やっぱり体調悪いんじゃないのか?」
いつもなら直ぐに押し倒すのに、ちょっと考えていたら言われた。ラウリーのイメージ的にもセルジュはいつもそうだったのだろう。
単にラウリーのことで頭が一杯なだけで、体調は本当に悪くはない。
「えー、押し倒していいですか?」
「何だよ、それ」
心底不思議そうな顔をされて、心の中で咽び泣いた。今までの俺が酷い。有難く押し倒すけど。
「まっ、話したくなったら話せよ」
何か悩みがあると思われたっぽい。ある意味悩みはあるが、今は時期尚早な気がするので言わない。
いつもと同じを意識するものの、好きな相手を抱くのと発散は違う。
完全にいつもと違う抱き方をして誘われなくなるのは嫌だけれど、意識してしまえば同じには出来なかった。
「何かいつもと違う?」
「……ねちっこくしようと思って」
「いつもそうだろ……?」
誤魔化そうとしたが何も誤魔化せなかった。体からでも堕としたいのでいつも以上に頑張ったら、ラウリーがデロデロになっていた。満足だ。
泣いているのを落ち着かせている時もそうだったが、落ち着いてからも愛おしくてぎゅうっと抱きしめた。
「むらむらが収まる気配、ないんじゃないの……?」
「……ラウにはいつもむらむらする」
「なん、だよ急に」
「ラウはいつもエロいし、内は凄くイイし、たまらん。何度でも出来る」
「いや、俺が死ぬわ」
「……性格も、好き」
思い切って言ったのに、プイっとされた。耳がほんのり赤い。これは脈ありだと思いたいが残念ながら違う。
単に真正面から好意を示され慣れていなくて、照れているのだ。可愛い。
外では言ってもほぼ無反応だが、二人だけの時だとすぐに赤くなるのもグッとくる。だから二人だけの時にはよく言うようにしている。
ラウリーは元から警戒心が強くて、人間関係は慎重。南側では周囲の人に恵まれなかったのがわかる。
発散相手に選ばれただけでも多少自信を持ってもいいはずだが、選ばれたのはセルジュだけではないと思う。
セルジュとするのは週に一度か二度で、大体ラウリーの休みの前日にがっつりすることが多い。
休みの前日以外は加減しているが、最初の頻度で考えるとセルジュとの合間に誰かを挟んでいると思うのだ。
多分ラウリーの発散頻度は週に二度か三度。互いに別の人と組んで狩りに行っている日に挟んでいる。
相手は多分アランかスノウ。アランはラウリーをよく見ていて、その目が惚れている目に感じるからだ。
ただスノウならああ見えて慎重だから、抱いていたらスキンシップはしないと思う。逆に他の人と差を付けない為にやっている可能性もあるが。
セルジュは毎日でも平気だが、ラウリーはイき過ぎると腰にダメージが残るからこその頻度だと思う。
合間に他の人を挟まなくてもセルジュがちゃんと加減してするのに、と思ってしまう。
翌朝。共同依頼が始まった。道中もスノウがベタベタするのでむっとするが、顔には出さない。
到着後軽く狩りをして解体した後は宿営地で一泊なのだが、夜になると冷えて来た。屋根と壁がある簡易の足付き台で毛布にくるまる。
「寒い。セルジュに引っ付いて寝ようかなぁ」
モナカがそう言ってセルジュの右に陣取ると、なるほどとばかりにラウリーが左側に来た。何この拷問。
抱きしめたいんですが。モナカがスノウを自分側に引っ張ったので、ラウリーが寒そうだから抱きしめたい。
「体温は高い方だけど、俺も寒い。セルジュの上に乗っかりたい」
スノウがアホなことを言いだした。
「アホなこと言うなよ。俺がセルジュにくっ付いて、スノウを抱きしめてあげるよ」
モナカがそう言ってスノウを抱きしめようとして、スノウとどちらが抱きしめるのかの攻防を始めた。
「いや絶対に抱きしめられた方があったかいって」
「いやでも抱きしめた方が寝やすそうだし」
わちゃわちゃしている横で、この流れならセルジュも言っていいのではと考えてしまう。
ラウリーも無言で二人を見ている。いける? いっちゃ駄目?
「どっちでもよくね?」
「「駄目だ!」」
心底不思議そうなラウリーに、二人が反論した。
「じゃあ、俺はラウリーを抱きしめて寝るわ」
「待て。それなら俺がラウリーを抱きしめる!」
「いや、それなら俺が!」
「モナは俺より寒がりなんだから、それだと意味がないだろ?」
「……」
スノウとモナカのズレた言い争いに呆れた目を向けたラウリーは、何も言わずにセルジュの懐に収まって来た。
ああ、幸せ。わざとらしく大袈裟にぎゅっとする。
「さっさと決めて寝ろよ」
セルジュにすっぽり収まっているのに、発言は強くて可愛い。
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