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変化編
41 馬鹿になる。
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「おはよー」
ギルドに行くと既にラウリーがいたので、いつも通りを心がけて声をかけた。挨拶だけでこんなに緊張するとは思わなかった。
「おはよ。新しい情報はなかったから、予定通り行こうぜ」
「おう。確認してくれてありがとう」
「ん」
町から徒歩一時間弱の狩り場に向かう。二人の組み合わせなら、楽に稼げる鹿の亜種が今日の狙いだ。
「セルジュ? 顔色良くないな?」
ギルドから出た途端、ラウリーに指摘されてしまった。
「あー、昨日ちょっと眠れなくて」
「珍しいこともあるもんだな。大丈夫なのか?」
「ああ。三徹くらいまでなら普通に動けるから、問題ない」
「えっ、本気?」
「えっ? そうだけど。ギルド長にも体力だけなら化け物級だって言われたけど」
「ふわぁ。えげつないな……」
ラウリーはこの時、セルジュのえっちの強さについて思い出していた。
体力のあるタチが満足するまでヤるには、ネコにも相応の体力が求められる。だから冒険者は同じく体力のある冒険者を相手に選ぶことが多い。
体力のあるネコもそれが当たり前になるので、普通の人が相手では満足出来なくなる人が多い。
ラウリーは一般の人との経験は一人としかないが、その人は一般の中では鍛えていたし強かった。
ラウリーもその頃は今ほど体力も無かったので満足出来ていたが、今その人とすれば物足りないだろう。
オイデンまで来る冒険者は皆実力と共に体力もある。だからある意味バランスが取れている。
いつの間にか自分が化け物級を相手にしていたとは思わなかった。でもそう言われると、強さに納得がいった。
「? えげつないって、何が?」
「あー、いやほら、ちょっと寝ただけですげぇ回復するし」
セルジュはそれは体力の事なのかちんこの事なのかと思ったが、今日は踏み込めない気分なので逃げた。
「あぁ、それも含めて化け物級だって言われた。傷の治りも早いらしい」
「いーよな、体力あるの。いや待て。いいのか?」
ラウリーは強過ぎると満足するまでヤるのも大変そうだと思った。抱かれる側なら特に。
毎日シても満足出来るのか? えっ、ラウリーは毎回大満足だが、セルジュはいつも不完全燃焼?
だから翌日もそのままなだれ込みたいのかと、居座りたがる理由がようやくわかった気がした。
受け入れる側でも、疲れ過ぎたらしんどいだけだと聞いたことがある。
ラウリーは何故か何度でも気持ち良くイきまくれるから、セルジュも白けないのかもしれない。なるほどなぁ。
「体力があり過ぎて困ったのは、加減を知らない幼少期くらい? 困ってたのは俺じゃなくて親だったけど。親は一般の仕事してたし」
「あー。一般人が化け物級の素質のある子を養育するのは大変そうだな」
「ああ。それで近所の元冒険者に、預けられっぱなしだった」
ラウリーはセルジュも家族との縁が薄いのかと思うと、これ以上話を広げられなかった。
「そっか」
セルジュはあれ? と思った。このままラウリーのことも聞けるかと思ったのに、そんな雰囲気じゃない。
今日は沢山会話をしようと思っていたのに、どうしたらいい?
「やっぱり体調悪い?」
「いや、体調は全然」
「あっ、まさか。まだムラムラ収まんないんだな? だったらちゃっちゃか今日の分稼いで、長めにヤる?」
「うぁい!」
間髪入れずに返事をしてしまった自分が憎い。でもそんな誘われ方をしたら断われない!!
早過ぎる返事にラウリーは一瞬呆けたような顔をしていたが、その後ゲラゲラ笑いだした。
「あはははは! うぁい! って何だよ。うぁいって!」
笑った顔が可愛い。好きだ。
「あ、見っけ」
今日の獲物が探索にかかって、急に真顔になったラウリーが格好良過ぎる。好きだ。
セルジュの探索にはまだかからないので、それについては切ない。
「あっち」
付いて行ったら今日の狙いがいた。こいつは頭から枝分かれした二本の角がいい値段になる。肉も売れる。
セルジュが突進を受け止めて動きを止めると、ラウリーが魔法で角を切り落として首もちょんぱしてくれる。
手際が良くて無駄がない。好きだ。
「角の大きさはまぁまぁだな」
血抜きも兼ねて前脚に袋を引っかけて首を入れ、後ろ脚を肩にかける。これは体力馬鹿のセルジュの役割。
「あっちにももう一頭いるから、ちゃちゃっとやっちまおうぜ」
「おう」
本当にちゃちゃっと狩りが終わり、リュックをラウリーに任せてセルジュが前と後ろに鹿の亜種を担いだ。
「ぷっ、蛮族……」
「笑うなよ、気にしてるんだから」
「悪かったよ」
本当に悪いとは思っていないのは丸わかりだが、楽しそうに笑うラウリーにきゅんとする。好きだ。
自覚してしまえば、ラウリーが何をしていても好きだという感情しかわかない。頭が馬鹿になったみたいだ。
途中で豚の亜種を気絶させて、それは小さめだったのでラウリーが棒で担ぐことになった。
セルジュの蛮族とは違い、棒を担いでいるだけで妙に格好良い。好きだ。好き過ぎて好きが止まらない。
午前中だけで充分な稼ぎになった。今日は昼飯を食べながら明日からの共同依頼の打ち合わせもする。
明日からスノウとモナカの四人で一泊二日の熊狩りに行く予定だ。長くはヤれるが日付が変わる前、早めに終わらせないと駄目だな。
ギルドに行くと既にラウリーがいたので、いつも通りを心がけて声をかけた。挨拶だけでこんなに緊張するとは思わなかった。
「おはよ。新しい情報はなかったから、予定通り行こうぜ」
「おう。確認してくれてありがとう」
「ん」
町から徒歩一時間弱の狩り場に向かう。二人の組み合わせなら、楽に稼げる鹿の亜種が今日の狙いだ。
「セルジュ? 顔色良くないな?」
ギルドから出た途端、ラウリーに指摘されてしまった。
「あー、昨日ちょっと眠れなくて」
「珍しいこともあるもんだな。大丈夫なのか?」
「ああ。三徹くらいまでなら普通に動けるから、問題ない」
「えっ、本気?」
「えっ? そうだけど。ギルド長にも体力だけなら化け物級だって言われたけど」
「ふわぁ。えげつないな……」
ラウリーはこの時、セルジュのえっちの強さについて思い出していた。
体力のあるタチが満足するまでヤるには、ネコにも相応の体力が求められる。だから冒険者は同じく体力のある冒険者を相手に選ぶことが多い。
体力のあるネコもそれが当たり前になるので、普通の人が相手では満足出来なくなる人が多い。
ラウリーは一般の人との経験は一人としかないが、その人は一般の中では鍛えていたし強かった。
ラウリーもその頃は今ほど体力も無かったので満足出来ていたが、今その人とすれば物足りないだろう。
オイデンまで来る冒険者は皆実力と共に体力もある。だからある意味バランスが取れている。
いつの間にか自分が化け物級を相手にしていたとは思わなかった。でもそう言われると、強さに納得がいった。
「? えげつないって、何が?」
「あー、いやほら、ちょっと寝ただけですげぇ回復するし」
セルジュはそれは体力の事なのかちんこの事なのかと思ったが、今日は踏み込めない気分なので逃げた。
「あぁ、それも含めて化け物級だって言われた。傷の治りも早いらしい」
「いーよな、体力あるの。いや待て。いいのか?」
ラウリーは強過ぎると満足するまでヤるのも大変そうだと思った。抱かれる側なら特に。
毎日シても満足出来るのか? えっ、ラウリーは毎回大満足だが、セルジュはいつも不完全燃焼?
だから翌日もそのままなだれ込みたいのかと、居座りたがる理由がようやくわかった気がした。
受け入れる側でも、疲れ過ぎたらしんどいだけだと聞いたことがある。
ラウリーは何故か何度でも気持ち良くイきまくれるから、セルジュも白けないのかもしれない。なるほどなぁ。
「体力があり過ぎて困ったのは、加減を知らない幼少期くらい? 困ってたのは俺じゃなくて親だったけど。親は一般の仕事してたし」
「あー。一般人が化け物級の素質のある子を養育するのは大変そうだな」
「ああ。それで近所の元冒険者に、預けられっぱなしだった」
ラウリーはセルジュも家族との縁が薄いのかと思うと、これ以上話を広げられなかった。
「そっか」
セルジュはあれ? と思った。このままラウリーのことも聞けるかと思ったのに、そんな雰囲気じゃない。
今日は沢山会話をしようと思っていたのに、どうしたらいい?
「やっぱり体調悪い?」
「いや、体調は全然」
「あっ、まさか。まだムラムラ収まんないんだな? だったらちゃっちゃか今日の分稼いで、長めにヤる?」
「うぁい!」
間髪入れずに返事をしてしまった自分が憎い。でもそんな誘われ方をしたら断われない!!
早過ぎる返事にラウリーは一瞬呆けたような顔をしていたが、その後ゲラゲラ笑いだした。
「あはははは! うぁい! って何だよ。うぁいって!」
笑った顔が可愛い。好きだ。
「あ、見っけ」
今日の獲物が探索にかかって、急に真顔になったラウリーが格好良過ぎる。好きだ。
セルジュの探索にはまだかからないので、それについては切ない。
「あっち」
付いて行ったら今日の狙いがいた。こいつは頭から枝分かれした二本の角がいい値段になる。肉も売れる。
セルジュが突進を受け止めて動きを止めると、ラウリーが魔法で角を切り落として首もちょんぱしてくれる。
手際が良くて無駄がない。好きだ。
「角の大きさはまぁまぁだな」
血抜きも兼ねて前脚に袋を引っかけて首を入れ、後ろ脚を肩にかける。これは体力馬鹿のセルジュの役割。
「あっちにももう一頭いるから、ちゃちゃっとやっちまおうぜ」
「おう」
本当にちゃちゃっと狩りが終わり、リュックをラウリーに任せてセルジュが前と後ろに鹿の亜種を担いだ。
「ぷっ、蛮族……」
「笑うなよ、気にしてるんだから」
「悪かったよ」
本当に悪いとは思っていないのは丸わかりだが、楽しそうに笑うラウリーにきゅんとする。好きだ。
自覚してしまえば、ラウリーが何をしていても好きだという感情しかわかない。頭が馬鹿になったみたいだ。
途中で豚の亜種を気絶させて、それは小さめだったのでラウリーが棒で担ぐことになった。
セルジュの蛮族とは違い、棒を担いでいるだけで妙に格好良い。好きだ。好き過ぎて好きが止まらない。
午前中だけで充分な稼ぎになった。今日は昼飯を食べながら明日からの共同依頼の打ち合わせもする。
明日からスノウとモナカの四人で一泊二日の熊狩りに行く予定だ。長くはヤれるが日付が変わる前、早めに終わらせないと駄目だな。
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