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変化編
39 思い返す。
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セルジュは今までの自分の言動を、宿で一人思い返していた。
ラウリーに初めて会った時から、抱きたいと思っていた。それはちんこがぎゅんとしたので間違いない。
ただ今思えば、あの時から純粋な性欲とは少し違っていた。普通に仲良くなりたいとも思っていた。
狩る様に今までの研鑽が垣間見えて見惚れていたのだから、単純に人として興味も湧いていたのだと思う。
剣技はセルジュも幼い頃から習っていたが、美しさが違っていた。無駄のない動きから目が離せなかった。
その後に目が合って、多分その瞬間には惚れていた気がする。
「うわぁ……自分で結論出しておいて、うわぁ、だわ。無自覚で半年近く抱いていたのか……」
惚れた相手をあれだけ抱いて無自覚って鈍感過ぎないかと、セルジュは一人ベッドの上で頭を抱えていた。
人に近付きたいと思って、先に情報を集めたのも初めてだった。南側出身で警戒心が強いと聞いた。
だから観察ばかりして、話しかけられなかった。話しかけた後も慎重に、逃げられないように気を遣った。
わざわざ人に嫌われたいとは思わないが、だからと言って相手の様子を窺うまではしてこなかった。
嫌い、嫌われるとかではなく、性格が合わないんだなで終わっていた。でもラウリーに対しては違う。
絶対に嫌われたくなかった。それは今も変わらない。だから嫌われないように行動していた。
今まで人に尽くされて面倒だと思ったことはあっても、ここまで人に尽くすのは初めてだった。
セルジュは思い当たる行動を一つずつ指折り数えていった。
「ネコの都合を考えて誘ったのは、初めて」
今までは気軽に声をかけて、断わられたらそれまでの事だった。
誘って誘われて、断わって断わられる気軽な関係とか思っていたけれど、ラウリーの誘いを泊まりで居ない時以外で断わったことも無かった。
誘った時や誘われた時に相手が加減して欲しいと言ったら、激しくしたい気分の時は断わることもあった。
けれどラウリーに合わせるから、いつでも抱きたいと思っていた。
「相手の部屋に通い続けるのも、初めて」
こちらだって事後はそのまま寝られた方が楽だ。だからお互い様という気持ちが根底にあった。
抱かれる方が負担が大きいので通う回数を増やすくらいはしていたが、全部通うことはしていなかった。
「居座りたいと思ったのも、初めて」
物件を探すと言ったラウリーにも、同居かとすぐに聞いた。自分と同居すればいいのにと思っていた。
ラウリーが何処に住むのか知りたくて物件探しにまで付いて行ったが、冷静に考えればかなり気持ち悪い。
気持ち悪いと言われなくて良かったと心底思う。そういうのははっきり言うラウリーなので、多分大丈夫。
その時セルジュは何となく同居用の間取りを見たが、想定していた相手は当たり前にラウリーだった。
一人暮らしがいいとラウリーが言っていたが、いつか自分との同居を受け入れさせようと狙っていた。
ただの発散相手に対してなら異常な考え方だったのに、そう思う自分に違和感が全く無かった。
「痕を残されて嬉しかったのも、初めて」
あの時は本当にテンションが爆上がりした。ラウリーが付けた痕が、消えなければいいのにとさえ思っていた。
「極めつけは無意識につけまくっていたあの鬱血痕か……」
セルジュは今まで付けようと思ったことが無かった。
特にラウリーはネコを隠していたから、今までのセルジュならネコバレの恐れを考えて絶対に付けない。
話せば気が合うし、優しく気遣いのある男でさらに惚れて。
性格がさっぱりしていて、真面目で堅実な生活を送っているのも好ましかった。飯も美味いし。
普段はちょっと冷たい雰囲気なのに、気を許してくると変わる雰囲気や態度が嬉しかった。
もっと色々な面が見たいといつも思っていた。しかもそれは、自分の前だけが良かった。
発散なら互いに気持ちが良ければそれでいいはずなのに、最初からラウリーをイかせまくろうと考えていた。
自分の快感よりもラウリーを優先する気しかなかった。
セルジュは普段人に甘えないのに、ラウリーには散々甘えてもいた。なのに嫌われたくなくて我慢もした。
いつもならちょっと強引な行動もしていたが、ラウリーにはいつもいいかとか大丈夫かと聞いていた。
だからつまり、セルジュは最初からラウリーに惚れていて、今は完全にドハマリして執着しているのだと思う。
自分の初めての行動を考えていたらキリがないと思うほど、色々と思い浮かんでくる。
「同居、どころか恋人になって同棲したい。他の奴と寝てほしくない。ほぼ毎日抱きたい。延々と抱きたい」
「抱きしめたい、口づけしたい、挿れたいし、鳴かせたいし泣かせたい。トばして甘えて欲しいし、トんでなくても甘えて欲しい。毎日一緒にいたい」
「何もしなくても一緒にいたい」
これで惚れていない訳がない。
「今まで何で気が付かなかった、俺」
セルジュはもう一度頭を抱えた。ラウリーはモテる。そんな相手に半年近く何もしてこなかった自分が憎い。
最初は発散相手として誘われたとしても、半年もあれば何らかのアプローチくらい出来ていたと思う。
この半年が悔やまれる。
ラウリーに初めて会った時から、抱きたいと思っていた。それはちんこがぎゅんとしたので間違いない。
ただ今思えば、あの時から純粋な性欲とは少し違っていた。普通に仲良くなりたいとも思っていた。
狩る様に今までの研鑽が垣間見えて見惚れていたのだから、単純に人として興味も湧いていたのだと思う。
剣技はセルジュも幼い頃から習っていたが、美しさが違っていた。無駄のない動きから目が離せなかった。
その後に目が合って、多分その瞬間には惚れていた気がする。
「うわぁ……自分で結論出しておいて、うわぁ、だわ。無自覚で半年近く抱いていたのか……」
惚れた相手をあれだけ抱いて無自覚って鈍感過ぎないかと、セルジュは一人ベッドの上で頭を抱えていた。
人に近付きたいと思って、先に情報を集めたのも初めてだった。南側出身で警戒心が強いと聞いた。
だから観察ばかりして、話しかけられなかった。話しかけた後も慎重に、逃げられないように気を遣った。
わざわざ人に嫌われたいとは思わないが、だからと言って相手の様子を窺うまではしてこなかった。
嫌い、嫌われるとかではなく、性格が合わないんだなで終わっていた。でもラウリーに対しては違う。
絶対に嫌われたくなかった。それは今も変わらない。だから嫌われないように行動していた。
今まで人に尽くされて面倒だと思ったことはあっても、ここまで人に尽くすのは初めてだった。
セルジュは思い当たる行動を一つずつ指折り数えていった。
「ネコの都合を考えて誘ったのは、初めて」
今までは気軽に声をかけて、断わられたらそれまでの事だった。
誘って誘われて、断わって断わられる気軽な関係とか思っていたけれど、ラウリーの誘いを泊まりで居ない時以外で断わったことも無かった。
誘った時や誘われた時に相手が加減して欲しいと言ったら、激しくしたい気分の時は断わることもあった。
けれどラウリーに合わせるから、いつでも抱きたいと思っていた。
「相手の部屋に通い続けるのも、初めて」
こちらだって事後はそのまま寝られた方が楽だ。だからお互い様という気持ちが根底にあった。
抱かれる方が負担が大きいので通う回数を増やすくらいはしていたが、全部通うことはしていなかった。
「居座りたいと思ったのも、初めて」
物件を探すと言ったラウリーにも、同居かとすぐに聞いた。自分と同居すればいいのにと思っていた。
ラウリーが何処に住むのか知りたくて物件探しにまで付いて行ったが、冷静に考えればかなり気持ち悪い。
気持ち悪いと言われなくて良かったと心底思う。そういうのははっきり言うラウリーなので、多分大丈夫。
その時セルジュは何となく同居用の間取りを見たが、想定していた相手は当たり前にラウリーだった。
一人暮らしがいいとラウリーが言っていたが、いつか自分との同居を受け入れさせようと狙っていた。
ただの発散相手に対してなら異常な考え方だったのに、そう思う自分に違和感が全く無かった。
「痕を残されて嬉しかったのも、初めて」
あの時は本当にテンションが爆上がりした。ラウリーが付けた痕が、消えなければいいのにとさえ思っていた。
「極めつけは無意識につけまくっていたあの鬱血痕か……」
セルジュは今まで付けようと思ったことが無かった。
特にラウリーはネコを隠していたから、今までのセルジュならネコバレの恐れを考えて絶対に付けない。
話せば気が合うし、優しく気遣いのある男でさらに惚れて。
性格がさっぱりしていて、真面目で堅実な生活を送っているのも好ましかった。飯も美味いし。
普段はちょっと冷たい雰囲気なのに、気を許してくると変わる雰囲気や態度が嬉しかった。
もっと色々な面が見たいといつも思っていた。しかもそれは、自分の前だけが良かった。
発散なら互いに気持ちが良ければそれでいいはずなのに、最初からラウリーをイかせまくろうと考えていた。
自分の快感よりもラウリーを優先する気しかなかった。
セルジュは普段人に甘えないのに、ラウリーには散々甘えてもいた。なのに嫌われたくなくて我慢もした。
いつもならちょっと強引な行動もしていたが、ラウリーにはいつもいいかとか大丈夫かと聞いていた。
だからつまり、セルジュは最初からラウリーに惚れていて、今は完全にドハマリして執着しているのだと思う。
自分の初めての行動を考えていたらキリがないと思うほど、色々と思い浮かんでくる。
「同居、どころか恋人になって同棲したい。他の奴と寝てほしくない。ほぼ毎日抱きたい。延々と抱きたい」
「抱きしめたい、口づけしたい、挿れたいし、鳴かせたいし泣かせたい。トばして甘えて欲しいし、トんでなくても甘えて欲しい。毎日一緒にいたい」
「何もしなくても一緒にいたい」
これで惚れていない訳がない。
「今まで何で気が付かなかった、俺」
セルジュはもう一度頭を抱えた。ラウリーはモテる。そんな相手に半年近く何もしてこなかった自分が憎い。
最初は発散相手として誘われたとしても、半年もあれば何らかのアプローチくらい出来ていたと思う。
この半年が悔やまれる。
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