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出会い編
23 出会い。セルジュ視点
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オーガの件があった後、セルジュは何事もなかったかのようにアズルへ行き、冒険者として生活を始めた。
絶対的な強者に出会ったことで、自分より格上の相手を敬い教えを乞うようになった。
今までもそういう気持ちが無かった訳でも手を抜いていた訳でもないが、セルジュは確かに変わった。
明確な目標を持って、地道な努力を続けるセルジュの成長は著しかった。
アズル滞在中に三度あのオーガと出会った場所に足が向いたが、再び会うことはなかった。
セルジュが変わった点はもう一つ。自分と体格が同等かそれ以上の格上相手に、抱かれてみるようになった。
けれどあの時に感じた何かを、もう一度感じることはなかった。
それでもいつかは何かの正体を教えてくれる相手がいるかもしれないと、相手を探すようになった。
セルジュは順調に成長を続け、強い魔物がいる地域へと徐々に拠点を移していき、西で一番の実力者が集まる町オイデンに辿り着いた。
故郷で冒険者になってから6年。21歳になっていた。一般的な冒険者よりも早いペースだと言える。
セルジュは人見知りする性格ではないので、オイデンにもすぐに馴染んだ。聞いていないのに、近付いてはいけないネコの話まで教えてもらった。
ソロで狩りに出ていると、セルジュと同時期に来た他の冒険者とニアミスすることがある。
そこでセルジュはラウリーに惹きつけられた。黒髪ショートの黒目で、細身の男。無駄のない流れるような動きを、セルジュは美しいと思った。
セルジュは大振りになりやすいし、あれ程的確に魔法を扱えない。魔法の威力も桁違いだった。
セルジュはラウリーを見続けた。狩りが終わりこちらを振り返ったラウリーは、セルジュがただの景色の一部であるかのように獲物に視線を戻した。
整い過ぎて、綺麗とも怖いとも言える男だとセルジュは思った。鋭い視線には刺すような熱さを感じた。
話しかけたいが話しかける勇気がでなかった。けれど気にはなって、さり気なく周囲から情報を集めた。
それからも時々ニアミスすることがあり、話しかけたいが話しかけられない状態が続いた。
セルジュはラウリーを見かければ、必ず目で追うようになった。
それがどういう感情から来る行動なのかは、自分でも最初はよくわからなかった。
狩りの時はバレないだろうと遠慮なく見る度、陰茎に響く。オーガを思い出すとアナルがキュンとするので、抱きたいのだと思い至った。
わかってしまうと明確に視線に違う意味が籠った。
ラウリーは黒い膝下まである服の腰に白い帯を巻いていて、腰の細さが強調されている気がした。
長袖のシャツもズボンも日によって色は違ったが、特に黒いズボンの時。
スリットから狩りの最中にだけ覗く、白い肌が目立ってセルジュの目に焼き付いた。
だがラウリーはネコが無限に寄って来るんじゃないかと思うほどの、鋭い目をした真面目な雰囲気のイケメン。
しかも、かなりネコから人気があるドSのタチらしかった。
その時にうわぁとは思った。やはりネコではなく、しかもよりによってドS。残念な気持ちが強かった。
セルジュはついにタチを屈服させたい性癖まで自身に追加されたのかと、恐れおののいた。
そんな時に機会が巡って来た。新人指導を担当するロイに誘われた共同依頼に、ラウリーがいた。
話しかける機会ではあるが、話しかけることが出来ず。討伐も終わって後は帰るだけになってしまった。
この機会を逃せば次はいつ機会があるかわからない。だからセルジュは追い詰められたかのように声をかけた。
声のかけ方を失敗したし、見返りに泣くまで抱くとかただのセルジュの願望を垂れ流してしまった。
話すきっかけの冗談だと何とか誤魔化したが、内心は本気で焦っていた。
それでも気軽に飯を食えるくらいの仲にはなりたいと、帰り道の間中延々と話しかけ続けた。
性的なことは聞きたくないので、日常的な話題を中心にしたが。
最初はぽつりぽつりと返事がある程度だったが、途中からは普通に話してくれるようになった。
一緒に飯を食うのに成功し、見かければ声を掛け合うような仲になった。
急に距離を詰めると逃げられるような気がして、慎重に近付いていった。
本人がドSのタチなら無理に抱きたいとまでは思わなかったが、親しくなりたいという気持ちもあった。
絶対的な強者に出会ったことで、自分より格上の相手を敬い教えを乞うようになった。
今までもそういう気持ちが無かった訳でも手を抜いていた訳でもないが、セルジュは確かに変わった。
明確な目標を持って、地道な努力を続けるセルジュの成長は著しかった。
アズル滞在中に三度あのオーガと出会った場所に足が向いたが、再び会うことはなかった。
セルジュが変わった点はもう一つ。自分と体格が同等かそれ以上の格上相手に、抱かれてみるようになった。
けれどあの時に感じた何かを、もう一度感じることはなかった。
それでもいつかは何かの正体を教えてくれる相手がいるかもしれないと、相手を探すようになった。
セルジュは順調に成長を続け、強い魔物がいる地域へと徐々に拠点を移していき、西で一番の実力者が集まる町オイデンに辿り着いた。
故郷で冒険者になってから6年。21歳になっていた。一般的な冒険者よりも早いペースだと言える。
セルジュは人見知りする性格ではないので、オイデンにもすぐに馴染んだ。聞いていないのに、近付いてはいけないネコの話まで教えてもらった。
ソロで狩りに出ていると、セルジュと同時期に来た他の冒険者とニアミスすることがある。
そこでセルジュはラウリーに惹きつけられた。黒髪ショートの黒目で、細身の男。無駄のない流れるような動きを、セルジュは美しいと思った。
セルジュは大振りになりやすいし、あれ程的確に魔法を扱えない。魔法の威力も桁違いだった。
セルジュはラウリーを見続けた。狩りが終わりこちらを振り返ったラウリーは、セルジュがただの景色の一部であるかのように獲物に視線を戻した。
整い過ぎて、綺麗とも怖いとも言える男だとセルジュは思った。鋭い視線には刺すような熱さを感じた。
話しかけたいが話しかける勇気がでなかった。けれど気にはなって、さり気なく周囲から情報を集めた。
それからも時々ニアミスすることがあり、話しかけたいが話しかけられない状態が続いた。
セルジュはラウリーを見かければ、必ず目で追うようになった。
それがどういう感情から来る行動なのかは、自分でも最初はよくわからなかった。
狩りの時はバレないだろうと遠慮なく見る度、陰茎に響く。オーガを思い出すとアナルがキュンとするので、抱きたいのだと思い至った。
わかってしまうと明確に視線に違う意味が籠った。
ラウリーは黒い膝下まである服の腰に白い帯を巻いていて、腰の細さが強調されている気がした。
長袖のシャツもズボンも日によって色は違ったが、特に黒いズボンの時。
スリットから狩りの最中にだけ覗く、白い肌が目立ってセルジュの目に焼き付いた。
だがラウリーはネコが無限に寄って来るんじゃないかと思うほどの、鋭い目をした真面目な雰囲気のイケメン。
しかも、かなりネコから人気があるドSのタチらしかった。
その時にうわぁとは思った。やはりネコではなく、しかもよりによってドS。残念な気持ちが強かった。
セルジュはついにタチを屈服させたい性癖まで自身に追加されたのかと、恐れおののいた。
そんな時に機会が巡って来た。新人指導を担当するロイに誘われた共同依頼に、ラウリーがいた。
話しかける機会ではあるが、話しかけることが出来ず。討伐も終わって後は帰るだけになってしまった。
この機会を逃せば次はいつ機会があるかわからない。だからセルジュは追い詰められたかのように声をかけた。
声のかけ方を失敗したし、見返りに泣くまで抱くとかただのセルジュの願望を垂れ流してしまった。
話すきっかけの冗談だと何とか誤魔化したが、内心は本気で焦っていた。
それでも気軽に飯を食えるくらいの仲にはなりたいと、帰り道の間中延々と話しかけ続けた。
性的なことは聞きたくないので、日常的な話題を中心にしたが。
最初はぽつりぽつりと返事がある程度だったが、途中からは普通に話してくれるようになった。
一緒に飯を食うのに成功し、見かければ声を掛け合うような仲になった。
急に距離を詰めると逃げられるような気がして、慎重に近付いていった。
本人がドSのタチなら無理に抱きたいとまでは思わなかったが、親しくなりたいという気持ちもあった。
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