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出会い編
19 悩む。
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その後ロイの勧めもあってセルジュと共闘で狩りをするようになったが、その度に抱いてくれと言おうかどうかラウリーは悩んだ。
相手を吟味したいラウリーは、ネコだと知られて表面だけを取り繕ったタチに寄って来られたく無かった。
タチだと勘違いされているし、それに体の相性が良ければ泣くことを多くの人に知られたくもない。
だから相手は慎重に選びたい。口が堅くて信頼できる人。セルジュはそれに当てはまると思う。
今日も共闘後に飯を一緒に食べている。言いたいが、言えない。
「なぁ、ラウの迎えがロイさんだったって聞いたんだけど、ほんと?」
「……ああ。南側からだから、警戒されていたんだろうな」
ラウリーはあの時のことを思い出しかけて、かき消すことに成功した。
「まさか?」
だがやはりセルジュはそっとしておいてはくれなかったので、巻き込むことにした。
「……その日はロイさんには向かい風だった。宿営地で名前を呼ばれて振り返ったら、半分以上出てた」
「ぶっ!! けほっ、初対面がえぐいな」
「ああ。紹介状を確認してもらってさぁ行こうかとなった時、」
「いや、もういい」
「道中も風でずっと腰布が浮いてて、」
「ごめん、聞いた俺が悪かった」
「わかってくれたならいい。まぁ、ずっとそんな感じだった」
ロイが迎えの人が持つ正式な書類を持っていなかったら、ラウリーは付いて行かなかったと思う。
オイデンは別の意味でヤバそうだとその時は思っていた。ただオイデンのギルドは普通で、拍子抜けした。
「えーと、それで最近南側の話を聞いたんだが、そんなに酷いのか?」
「どうだろ? ずっと居たからあんまわかんないって言うか。けどオイデンで戸惑うことが多いから、きっとそうなんだろうな」
「何か職員まで勤務中に誘ってくるんだって?」
「ああ、普通だな。断わると無視されるとかはわりとある」
「そんなの、どーすんだよ」
セルジュが顔を顰めた。
「抱かれる側だと酷いことをされることも多いから、皆普通にタチとして痛めつける趣味があるけどいいか? とか平気で言ってたな」
セルジュが絶句した。実際にそういう趣味の奴も結構いた気がする。
だから躱し文句だと思って構わないと言ったら、本当に首を絞められた話とかも聞いた事がある。
タチのフリして断っていたのに、ネコバレして大変な目に遭っていた奴とかもわりと見たなぁ。
本当にタチなのに、タチに無理矢理抱かれる奴とか。今思えば、よく無事でいられたな。
セルジュには刺激が強そうだから言わないが。善良そうな奴にはちょっと言いにくい。
ラウリーはまず誘われない努力をしていた。話しかけただけで殺されそうと思われるような雰囲気とか。
もしかして今はそれが原因でドSのタチだと思われている? でもドSって別に本気のサドって意味じゃないよな?
「うぇ。俺西で産まれて良かったよ」
「そうだなぁ。セルジュに南は無理そうだ。心を病んでそう」
「ラウは大丈夫なのか?」
「えっ、俺?」
「そう。こう、なんつうか、警戒心が強いだろう?」
「あー、まぁそれはもう癖かな」
故郷の南部では無視どころでは済まなかった。権力者側の誘いを断わる権利は皆無だった。
「褒めてやろうか? 今までよく頑張ったなって」
「いらねぇよ」
強引に頭をわしわしと撫でられた。ちょっと嬉しいからやめて欲しい。
時々変なことしてくるが、モノとは関係なくセルジュの体や顔は元からラウリーの好みのタイプだ。
性格も多分。人懐こくて警戒心がなくて不安になるが、とにかく素直。警戒しないでいいと思わせてくれる。
南側だとそれも演技だという罠もあったが、ここでそれはないだろう。セルジュの評判はいい。
「可愛いなぁ」
「目が腐ってんのか」
ラウリーは自分が口では断っているのに、実際に撫でられたら手を跳ね除けたりせず受け入れていた。
だからそういう意味で言われていることに、気が付いていなかった。
セルジュは狩りの最中もさり気ない気遣いをする男だった。気付かない程度のささやかなフォローは当たり前。
今は仲間だから当然だと、へばった奴の荷物を持ってやることもあった。間違いなく、いい奴だと思う。
「じゃ、また明日よろしくな」
「おぅ、こっちこそ」
付き合いもあっさりとしていて、引き際も常にいい感じだ。帰りたいなと思う前に宿へ帰れる。
セルジュに対して、好みでもない相手を恥をかかせない為だけに抱かせるのも申し訳ないなという思いはある。
でも、そろそろ限界かも。
結腸にハメられるモノを持つ、口も堅くて信頼出来る人としょっちゅう一緒にいるのだ。
善意に付け込むのは申し訳ないが、ラウリーはもう自慰だけでは満足できなくなって来ていた。
相手を吟味したいラウリーは、ネコだと知られて表面だけを取り繕ったタチに寄って来られたく無かった。
タチだと勘違いされているし、それに体の相性が良ければ泣くことを多くの人に知られたくもない。
だから相手は慎重に選びたい。口が堅くて信頼できる人。セルジュはそれに当てはまると思う。
今日も共闘後に飯を一緒に食べている。言いたいが、言えない。
「なぁ、ラウの迎えがロイさんだったって聞いたんだけど、ほんと?」
「……ああ。南側からだから、警戒されていたんだろうな」
ラウリーはあの時のことを思い出しかけて、かき消すことに成功した。
「まさか?」
だがやはりセルジュはそっとしておいてはくれなかったので、巻き込むことにした。
「……その日はロイさんには向かい風だった。宿営地で名前を呼ばれて振り返ったら、半分以上出てた」
「ぶっ!! けほっ、初対面がえぐいな」
「ああ。紹介状を確認してもらってさぁ行こうかとなった時、」
「いや、もういい」
「道中も風でずっと腰布が浮いてて、」
「ごめん、聞いた俺が悪かった」
「わかってくれたならいい。まぁ、ずっとそんな感じだった」
ロイが迎えの人が持つ正式な書類を持っていなかったら、ラウリーは付いて行かなかったと思う。
オイデンは別の意味でヤバそうだとその時は思っていた。ただオイデンのギルドは普通で、拍子抜けした。
「えーと、それで最近南側の話を聞いたんだが、そんなに酷いのか?」
「どうだろ? ずっと居たからあんまわかんないって言うか。けどオイデンで戸惑うことが多いから、きっとそうなんだろうな」
「何か職員まで勤務中に誘ってくるんだって?」
「ああ、普通だな。断わると無視されるとかはわりとある」
「そんなの、どーすんだよ」
セルジュが顔を顰めた。
「抱かれる側だと酷いことをされることも多いから、皆普通にタチとして痛めつける趣味があるけどいいか? とか平気で言ってたな」
セルジュが絶句した。実際にそういう趣味の奴も結構いた気がする。
だから躱し文句だと思って構わないと言ったら、本当に首を絞められた話とかも聞いた事がある。
タチのフリして断っていたのに、ネコバレして大変な目に遭っていた奴とかもわりと見たなぁ。
本当にタチなのに、タチに無理矢理抱かれる奴とか。今思えば、よく無事でいられたな。
セルジュには刺激が強そうだから言わないが。善良そうな奴にはちょっと言いにくい。
ラウリーはまず誘われない努力をしていた。話しかけただけで殺されそうと思われるような雰囲気とか。
もしかして今はそれが原因でドSのタチだと思われている? でもドSって別に本気のサドって意味じゃないよな?
「うぇ。俺西で産まれて良かったよ」
「そうだなぁ。セルジュに南は無理そうだ。心を病んでそう」
「ラウは大丈夫なのか?」
「えっ、俺?」
「そう。こう、なんつうか、警戒心が強いだろう?」
「あー、まぁそれはもう癖かな」
故郷の南部では無視どころでは済まなかった。権力者側の誘いを断わる権利は皆無だった。
「褒めてやろうか? 今までよく頑張ったなって」
「いらねぇよ」
強引に頭をわしわしと撫でられた。ちょっと嬉しいからやめて欲しい。
時々変なことしてくるが、モノとは関係なくセルジュの体や顔は元からラウリーの好みのタイプだ。
性格も多分。人懐こくて警戒心がなくて不安になるが、とにかく素直。警戒しないでいいと思わせてくれる。
南側だとそれも演技だという罠もあったが、ここでそれはないだろう。セルジュの評判はいい。
「可愛いなぁ」
「目が腐ってんのか」
ラウリーは自分が口では断っているのに、実際に撫でられたら手を跳ね除けたりせず受け入れていた。
だからそういう意味で言われていることに、気が付いていなかった。
セルジュは狩りの最中もさり気ない気遣いをする男だった。気付かない程度のささやかなフォローは当たり前。
今は仲間だから当然だと、へばった奴の荷物を持ってやることもあった。間違いなく、いい奴だと思う。
「じゃ、また明日よろしくな」
「おぅ、こっちこそ」
付き合いもあっさりとしていて、引き際も常にいい感じだ。帰りたいなと思う前に宿へ帰れる。
セルジュに対して、好みでもない相手を恥をかかせない為だけに抱かせるのも申し訳ないなという思いはある。
でも、そろそろ限界かも。
結腸にハメられるモノを持つ、口も堅くて信頼出来る人としょっちゅう一緒にいるのだ。
善意に付け込むのは申し訳ないが、ラウリーはもう自慰だけでは満足できなくなって来ていた。
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